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勘違いの果て  作者: SSiNN
20/40

20.睡魔

~都留飛菜子~


 眠たい。

 学校に着いてから少しして授業が始まった。

 はじめは普通に授業を受けることができていたけど、三限目の途中から睡魔が襲ってきた。

 睡眠時間が短いことが原因だけれど…

「どうした?飛菜子。大丈夫か?」

「眠たいだけだよ。」

「もしかして昨日のあれからあんまり寝れてない?」

「あの後、ちょっとしてから眠れたけど」

「そういえば、寝落ちして悪かったな。」

「やっぱり」

「やっぱり?」

「最後空白のメールだったから」

「ごめん」

「いいよ。それより雨田は眠くないの?」

「うん。あの時、一度寝て起きた後だったからな。」

 …ということは雨田はあの時寝てる途中に起きてしまっていたということか。

「そりゃ眠くないわけだね。」

「そうだろ?」

「そうだよ。」

 周りに大野君も華麗ちゃんもいない。

 今なら雨田に聞ける。

「雨田は今でも華麗ちゃんが好き?」

 やっと聞けた。

「飛菜子…急な質問だな。」

「気になってるんだもん。」

「…友達としては好き、恋愛的感情は今はもう諦めてるよ。」

「(そうなんだ。…なんだか安心してる?!)」

 多分、これが気になって気になって眠れなかったから…だと思う。

「飛菜子は好きな奴いるのか?」

「…はい?」

 いきなり何を聞いてるの?

「いや、飛菜子がそういう質問したから俺も聞く権利くらいあるよな。」

「た、確かにそうだね。…好きな人は…いないよ。」

「そうか。」

 今の質問で目が覚めた。

 私の好きな人は今はいないはず…というかそういう人が今まででちゃんとした恋愛をしたことがなかったから分からないけど。

「(初恋、しいて言えばお父さんかな?)」

「そうなの?」

「き、聞いてた?」

「…聞こえた。」

「忘れて!!」

「わ、分かったよ。」

 は、恥ずかしい。

 考えていたことを口に出してしまった。

「えーっと直近の記憶を消す方法…」

「もしかして携帯で検索してるの?」

「うん。」

「多分それって意識しないようにしたらより記憶してしまうんじゃ…」

「確かに」

「…じゃあ、雨田の初恋は?華麗ちゃん?」

「…なんでこの質問?」

「えーと、私の初恋を知ってしまったから」

「…」

 理由は無茶苦茶だけど…

 キーンコーンカーンコーン

「チャイムなったから席戻るわ。」

「あ、雨田」

 逃げたな。

「(雨田が初恋の女の子を言わないのは華麗ちゃんじゃないからかもしれないなぁ。

 どんな子だったんだろー)」

・雨田が中学のころから華麗ちゃんが好きならそれより前

「(雨田の後輩…竹取って子?)」

 またしばらく眠れない理由が出来てしまった。

 朝起きたらクマが出来ててメイクで隠したのに…


 四限目は私は睡魔に襲われることなく授業が進んだ。

「飛菜子、さっきまで眠そうだったのに今は大丈夫そうだね。」

「うん、さっきまではかなり眠かったよ。」

「大丈夫なんだ。」

「うん。」

「昨日悪夢でも見た?」

「眠れなかっただけだよ。」

「そうなの?」

「そう。」

「飛菜子、そろそろ食堂に行こう」

「雨田、ちょっと待って準備してない。」

「分かった。」

「私も準備しないと…」

 華麗ちゃんも準備をしていなかったみたいだ。

「華麗もか、」

「大野と待ってるから急がなくていいぞ。」

「うん。」


 四人で食堂に行くと開いている席が少ししかなかった。

「どうする?」

「四人座れる席はあるけど…」

「じゃあ、俺と雨田で注文してくるから二人で席取ってて」

「そうしよう。」

「お金は…後でいいから」

 そういって雨田と大野君が歩いて行った。

「行っちゃった。」

「そうだね。」

「華麗ちゃん。」

「あの二人メニュー決めずに行ったけど…」

「ほんとだ。どうしよう。」

「二人にメール送って頼もう」

「そうだね。」

 そういって私が携帯を開くと同時に通知音が鳴った。

{雨田}{二人とも何頼む?}

「雨田も行ってから気づいたみたい。」

「…」

「どうしたの?」

「なんでもないよ。」

{飛菜子}{日替わりのメニューは何?}

{雨田}{チャーハン}

「私、これにするけど華麗ちゃんは?」

「私もそれでお願い。」

{飛菜子}{私と華麗ちゃんがチャーハンでお願い。}

{雨田}{了解}

 しばらく華麗ちゃんと二人でいろいろと話していると雨田と大野君が帰ってきた。

「ありがとう。」

「どういたしまして」

「お金は…おごりでいい」

「いいの?」

「うん。」

「分かったよ。」

 雨田がそういうならそれでいい…のかな?

 まぁ、みんな食べ始めてるしそれでいいか…


~大野一~


「最近また、リューと飛菜子の距離が近いような気がする。」

「何があってそう思うんだ?」

「…食堂でメニューを聞くのに飛菜子にメールしてた」

「…メールのグループ作るか」

「それに…」

「(なずその嫉妬心を抱く前に打開策を考えた方がいいと思うけど。)」

 恋愛相談というのはかなり大変なお願いで正直めんどくさいと思う。

 それでもこういう時こいつの顔がカワイイと思ってしまう。

「飛菜子にリューが昼をおごってたし。」

「(確かにそうかもしれないけど)」

 実際、俺は華麗にお金もらってるからな。

「…どうしよう。」

「それなら俺と付き合ってみるか?」

「…え?」

 さっきとは違い、『意外』という言葉が読めるような顔をしている。

「冗談だよ。」

「め、珍しいー、大野がそういう冗談を言うの」


~都留飛菜子~


『それなら俺と付き合ってみるか?』

『…え?』

 昼食の後、お手洗いに行こうと廊下を歩いていると空き部屋扉から華麗ちゃんと大野君の声が聞こえてきた。

「(もしかして大野君って華麗ちゃんが好き?)」

 話を途中しか聞いてはいないため断言をできないけど…

『冗談だよ。』

『め、珍しいー、大野がそういう冗談を言うの』

「(冗談なの?!)」

 私は最初に聞いた大野君の声が冗談に思えなかった。

 それに冗談という声も冗談を言うような声でもない気がした。

「(華麗ちゃんは大野君が好きなら…今のことを聞いて私と同じこと考えないのかな?)」

 最後、華麗ちゃんが焦っていたようにも聞こえた。いきなり告白されて冗談だと言われたような正常の反応のようだった。

「(もしかして、華麗ちゃんは大野君が自分のことを好きだということに気付いていない?)」

 そう考えたらうまく筋が通ると思う。

 自分の恋に自信がなかった華麗ちゃんが雨田に恋愛相談をしようとしてること。

 その日、入学式から半月ほど時間がかかっていること…

『そろそろ次の授業が始まりそうだな。』

『じゃあ、解散。』

 …不味い、聞き耳を立てていたことがばれる。別にばれても問題はないはずだけど。

 そう思って最初の目的のお手洗いに逃げることにした。


 5限目からも普通に授業があった。

 私は午前中に集中できなかったので午後だけはいつも以上に集中した。

 最近、雨田は授業中に暇そうだ。

 最初の頃は教科書の関係のないところを読んでいたけど最近は読んでいない。

 おそらく教科書すべてを読み終えたのかもしれない。

「(雨田に集中するんじゃなくて勉強に集中しないと…)」

 それからもしばらく集中し、ふと気が付くと別のことを考えていた。

 雨田の昔のこと、華麗ちゃんのこと、大野君のこと…

 あまり集中できていない証拠だろうか?

 そんなことを考えていたら今日の授業が終わった。

「(いつもは集中できてるのに…気になることが多くて集中できなかった。)」

「帰ろう、飛菜子」

「…華麗ちゃん。」

「もしかして用事あった?」

「ないけど。」

「私と一緒に帰ろ」

「いいよ。」

 私は華麗ちゃんの誘いに乗りまた二人で帰ることになった。

 雨田は昨日と同じで大野君と一緒に帰るようだ。


~雨田隆一~


 学校を出て少ししたあたりで大野と別れた。

 飛菜子は華麗と一緒に帰るみたいだし今日も一人で家に帰ることになった。

 ペダルをこぎながら家に帰るまでまだ読んでいない飛菜子から借りた本の結末を考えた。

「(家に帰ったら華麗はいないし最後まで読もう。)」

 華麗達は今歩いて一時間の道を歩いている。

 俺はいつもゆっくるこいでいるペダルを少し早めに漕いで家に帰った。

 家に着くと昨日と違って誰もいない。

 華麗が帰ってくるまでリビングで本を読むことにした。

 それから一時間ほどで華麗が帰ってきた。

「お帰り、華麗。」

「ただいま」

 現在、17時。

 ご飯にするにしても少し早いな。

「何する。」

「何って?」

「晩を食べるまでの時間。」


~都留飛菜子~


 家のある住宅街に着いた。

 それまでは寄り道をしながらバスに乗って帰ってきた。

「(雨田は自転車で先に家についてるから小説でも読んでるのかな。)」

 私よりも長い期間本を読んでいる雨田なら多分華麗ちゃんが家にいない間本を読んでいるはず。

 そんなことを考えながら私も家に入った。

 家にはいつもと同じで一人小説を読むことになる。

「(何にしよう。恋愛系、SF系…)」

 確か今日は朝に父さんに晩はいいと言われたので簡単なものにするから余った時間で小説でも読もう。

この物語はフィクションです。

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