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勘違いの果て  作者: SSiNN
17/40

17.居候

~雨田隆一~


『残念、射手座の人は…』

 …体が痛い。

 テレビの音に起こされた。

 …確か、昨日は映画を見てたんだっけ?…華麗と一緒に…

 立ち上がろうとすると太ももあたりに変な重みを感じた。

「…華麗?」

ピンクのパジャマを着ていた華麗が俺の太ももを枕にしていた。

 そういえば昨日、華麗が俺の家に泊まりに来ていたんだった。

「…好きだよぅ、…ぅー」

 幸せそうな顔をしている。多分、華麗は夢の中で大野に告白しているのではないだろうか…華麗にとって理想的な状況で…

 体を起こしてキッチンに向かった。

 朝食の準備だ。


「華麗、狸寝入りするな。」

「…ばれてた?」

「…適当に言っただけ」

 朝食の準備をした段階で一回声をかけていた。それでも起きてくる様子がないので声をかけた。

 まさか寝たふりをしているとは思わなかった。

 もし寝ていなかったら…


「リュー、今何時?」

「6時半、ここから歩いて学校に行くと…一時間くらいだったから…もうすぐ出ないといけないな。」

「それじゃあ、急いで食べないといけないね。」

「…急いで食べてのどに詰まらせるなよ。」

「分かってるよ。」


 しばらくしてから朝食を食べて学校の準備を終わらせた。

 華麗より先に俺が準備を終わらせてしまって開いた時間さっき見ていた夢を思い出していた。

『月がきれいだ。』

 あれは本当に言ってよかったのだろうか…

 華麗が気づかず、俺の思いを告げるためにはややこしすぎたのでは…

「リュー、準備できたよ。」

「そうか。」

「今から歩いて間に合うの?」

「…多分」

 もう過ぎたことだ。行ってしまったことは仕方がない。

 俺はもう、華麗を好きな気持ちをあきらめよう。

「?」


~都留飛菜子~


 学校に着いても雨田の姿がない。

 こんなに早く来ても誰の姿もない。とても静かだ。

 とりあえず雨田から借りている本でも読んで待とう。


 しばらくすると少しずつ人が来た。

 その中に雨田の顔ない。

 多分、今日はゆっくり来ているのだろう。

 そう思い再び小説を読み始めた。

「都留さん、華麗たちは?まだ来てない?」

「…大野君、まだだけど…どうしたの?」

「もうすぐホームルームが始まるからさ、あいつら遅れるんじゃないかって」

「二人とも遅いね。」


 しばらくしてから廊下を走る音がしたと思ったら華麗ちゃんが勢いよく扉を開けて入ってきた。

「フー、間に合ったー」

「雨田は?」

 着いたばかりの華麗ちゃんに大野君が聞いた。

「多分、もうすぐ来ると思うよ。」

 それから少しして雨田が教室に入ってきた。

 華麗ちゃんが言ったようにすぐに来た。

「おはよう、飛菜子。」

「おはよう。」

「華麗は?」

「さっき来たけど?」

「…」

「…珍しい?」

「何が?」

「雨田がいきなり華麗ちゃんの話をするの」

「そうかもな。」

 土曜日も雨田に合っているけれど…どこか雨田がいつもと違うような気する。


「えーと、今日も欠席はいないな。今日は連絡事項がいくつかある。」

 いつものように谷川先生が朝のホームルームで連絡事項を話している。

 その間、雨田は持ってきた本を読んでいた。

 いつも思うのだけど、先生が目の前で話してるのに堂々と本を読んでいる度胸はどこから来るんだろう…先生も時々睨んでる時があるし…

 先生が雨田を無視しながらホームルームを進めて連絡事項をすべて連絡した時にちょうどチャイムが鳴った。

「飛菜子」

 先生が出て行ってから華麗ちゃんが私の席に歩いてきた。

「どうしたの?華麗ちゃん」

「今日、飛菜子の家に行ってもいい?」

「いいけど…どうしたの?いきなり、」

「ちょっと飛菜子に料理を教えてほしくて…」

「いいよ。」

「ほんと!!ありがとう。」

 華麗ちゃんが本当にうれしそうな顔をして喜んでいる。


~雨田隆一~


『おい、お前』

『…』

『聞いてんのか?おい!!』

『…うるさい』

『聞こえてんじゃねぇか。無視してんじゃねえよ』

『…?、無視はしてませんが?』

『俺、お前に何回も呼びかけたよなぁ』

『名前を呼ばれていないんで』

『お前の名前なんか知らねぇよ。それよりもだ、お前のところの竹取って女をうちの部に寄越せ。』

『何でですか?』

『あの女はな、文武両道で何をやらせても大抵は好成績なんだよ。お前みたいなやつがいる部活においておくのがもったいないぐらいの女なんだよ。』

『彼女は自分で内に来たので彼女自身に行ってください。』

『言ったよ。じゃあ、『雨田先輩に許可を取ってください』ってなぁ。』

『竹取に断られてるのに俺に言われても…』

『うるせえ。』

 …随分と昔の訳の分からない理由で殴られてような夢を見た。

「(あの後、何があってのか思い出せない。)」

 確かに竹取は文武両道の天才みたいなやつだった。

 それなのに文芸部に来たから『竹取を寄越せ』という先輩たちで一時期部室が荒れた。

 当時、その処理を竹取から丸投げされたことが一番覚えてる。

『先輩、頼みます。』

 あれのせいで訳の分からない先輩に殴られた。

 …まぁ、他にも俺と同じように丸投げされたやつが4人位いたな。…かわいそうに

 天竺御石は俺違って先輩に殴られる前に先生に見つかったな。

 珠枝結城は逃げてた。

「あぁ、懐かしい…」

「何が懐かしいんだ?」

 …いやな予感がする。

「…」

「やっと起きたか。」

「…」

 顔を上げると神代先生が目の前でこちらを睨んでいるように見えた。

「もう授業は始まってるぞ。」

「すみません。」

 時計を見ると授業が始まって3分くらいの時間だった。

 休憩中に寝てしまって今起きたらしい。

「ちゃんと起きとかないと後で職員室に呼び出すぞ。」

 先生がそう言って授業を始めた。


 神代先生の授業が終わり、ちょうど午前中最後の授業だったので食堂に向かった。

「おーい、華麗」

「ん?何?」

「これ」

「鍵?」

「俺の家の鍵」

「…ありがとう。」

「家が直ったとしても返さなくていいからな。」

「なんで?」

「華麗に何かあった時いつでも来ていいからな。」

「…ありがとう。」

「雨田と華麗ちゃん、何を話してるの?」

「昨日から華麗が俺の家に居候してるんだよ。」

「…はい?」

「えーと、私の家に昨日トラックが突っ込んでしまって今住めないからリューの家に泊まってるんだよ。」

「…ちょっと雨田」

「ん?」

「ちょっとこっちに来て、」

「分かった。」

 何やら飛菜子に呼び出された。


~都留飛菜子~


 分からない。

「…ちょっと雨田」

「ん?」

「ちょっとこっちに来て、」

「分かった。」

「華麗ちゃん、ちょっと雨田と話があるから先に行ってて」

「分かったよ。」

 華麗ちゃんが雨田の家に泊まる理由が…分からない。

 華麗ちゃんは大野君が好きだったはず。

 それなら華麗ちゃんは大野君の家に泊まった方がいいと思うし、それに…雨田は華麗ちゃんに振られてるわけだし…

「本当に華麗ちゃんが昨日から雨田の家に泊まったの?」

「そうだよ。」

「…確認なんだけど…華麗ちゃんは大野君のことが好きなんだよね?」

「…そうだけど。」

「それなら大野君の家に泊まればよかったんじゃないの?」

「あ、それは俺も思った。昨日、それを聞いたら叔母さんに言われたって言ってた。」

「どういうこと?」

「俺も分からないけど…多分勉強とかかな?おばさん、俺によく華麗に勉強の面倒を見るのを頼んで来てたから…」

 華麗ちゃんのお母さんに言われたのなら…

「雨田と都留さんは食堂行かなくていいの?」

 考えてる私の後ろから大野君が声をかけてきた。

「大野、ちょっと先に行っててくれ」

「分かった。」

 そういって大野君が歩いて行った。

「私たちも行こうか」

「…聞きたかったんだ?」

「…ごめん、分からない。」

本当に…

この物語はフィクションです。


書きダメが欲しい…

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