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勘違いの果て  作者: SSiNN
15/40

15.日常(2)

~雨田隆一~


 腹がなって目が覚め時計を見ると昼前になってしまっていた。

 つまり、夜遅くに寝てそこから何も食べていないことになる。

 さすがに朝昼のご飯を食べないのはさすがに不味い。

 ゆっくり体を起こして家に残っているインスタント食品を探すことにした。

「…ない、…ない、…ない、…ない…」

 どこにもない。冷蔵庫、物置、家のどこにもない。

「腹が減ったのに家のどこにも食べるものがどこにもないなんて…」

 自分で作ろうとしても食材がいない。

「…仕方がない。買いに行くか…早くいかないと腹が減って餓死してしまう。」

 財布の中にあるお金を確認してすぐに出発することにした。


 腹が減った。買い物+食事ができるところといえばすぐにモールが出てきたためモールに来たのはいいものの途中でどこかで昼食を食べスーパーに行けばいいことに気が付いた。

 かなり頭が回っていなかったみたいだ。

 フードコートに行き適当に目に着いたカレーを食べることにした。

 食べている途中、周りに制服姿の男女が大量に発生していた。

「あれ見て、あそこに座ってる男の子。まだ若いのに一人でご飯食べてるよ。」

「そうだね。僕たちと違って一人ボッチみたいだね。」

「なんかかわいそう」

「そうだね。僕たちと違って恋人のいる幸せを知らなさそうだね。」

 頭が悪そうな会話をするカップルが俺のことをバカにしていたのでさすがに腹が立った。

 別に一人でもいいじゃないか。なんであんな奴らにバカにされる必要があるんだよ。約二週間前に振られたような奴にそんなことを言うなよ、そもそも、振られたといっても告ってもいないんだけど…

 …俺も華麗と付き合っていたらあんな感じにバカみたいな会話をしていたのかもしれないと思うとよくわからない感情になってくる。

 いい加減、もう立ち直った方がよさそうだ。

 考え事をしながらカレーを食べているといつの間にか食べ終わっていた。少しだけ足りない気がするため追加で頼みに行く途中、視界の端に中学の制服を着た華麗の姿が見えた気がした。振り向いて探してみるとそこには華麗は見つからず気のせいだったのかもしれない。

「………」


 それからしばらく気晴らしにモールを適当に歩きまわることにした。

 モールを歩いていてもすることが見つからず、目的のインスタント食品を買って帰ろうとした時、

「雨田」

 後ろからいきなり声をかけられて振り返ると飛菜子がいた。

 確か昨日はおじいちゃんの家で止まって今日帰ってくるって言っていたはずだ。

「飛菜子、今帰って来てたのか?」

「うん」

「飛菜子は買い物か?」

「お父さんが眼鏡を買ってるから時間つぶしに歩いてるだけだよ。」

「飛菜子、まさか道に迷ってないよな。」

「…」

「迷った?」

「…本屋さんに行きたかったんだけどね。途中で自分の場所が分からなくなっちゃって…」

「ここの本屋の場所は分かるから一緒に行くか?」

「うん」

 そういって俺は本屋がある場所に向けて歩き出した。その後ろを飛菜子がついてくる。

「…そういば、ここってこんなに人が多いの?」

「分からない。普段はもう少し人が少ないんだけど…なんでこんなに多いんだ?」

「…私も分からないよ。」

 俺が分からないものが最近引っ越して来た飛菜子が分からないか…

「雨田、今日何かあった?」

「…どうしてそう思った?」

「雨田がいつも以上に疲れてそうな顔をしてるから、」

「…」

「どうしたの?」

「別に、…さっきバカみたいな連中にバカにされただけだが?」

「…どんな感じの人だったの?」

「ザ・カップルみたいなやつらだったよ。」

「…」

「そんな人たちにバカみたいなことを言われて『こうはなりたくないなぁ』って思った」


 適当に話して歩き本屋に着いた。

「ねぇ、この前の推理小説っていつ発売だっけ?」

「確か…明後日ぐらいだったはず、」

「明後日は月曜日だね。」

「月曜の放課後になったら帰りに寄るか?」

「一緒に帰るんだし寄るよ?」

「そうだな。でも、もし帰り道にある本屋に置いていなかったらいくつか巡ることになるけど…」

「それでも行くよ。」

 そういって飛菜子が歩き始めた。

 俺も適当にあたりを歩いて本を探した。

 小説コーナーを見ているといつも思うことは

『このあたりの本はもう読んでいる。』

 そもそも、家にある小説は数える気が失せるほどあったはずだ。

 しかも何度か家にある小説を買ったことを忘れて買ったこともある。

 図書館にある本を読みつくしたこともあったはずだ。小さな図書館だったが…

 …しばらく本屋を歩き回りった。

「ねぇねぇ、雨田」

「…どうした」

「あれって…西田君だよね。」

「確かにそうだな。」

「隣にいるのは…」

「西田がめんどくさいって言っていた女の子かもな。」

「表情を見る限り楽しそうだけど?」

「…とりあえずここにいたらあいつらの邪魔になりそうだからどこかに行こうか?」

「確かにそうだね。本は見たしそろそろ…」


~西田春樹~


 瀬川林が薦めてきた参考書を買い、瀬川も用事が終わっていたのか今日は買い物の荷物持ちを任せなかった。いつもなら軽く二,三件の店を回るから調子が狂う。

「(自分はこいつの犬にでもなってしまったのか)」

「どうしたん?」

「なんでもない。」

「(こいつの犬になったら損しかない気がする…)」

「なんか変なこと考えてない?」

「別に」

「嘘」

「は?なんでそんなことが言えるんだよ。」

「西田が何か変なことを考えていそうな顔してたよ」

「どんな顔?」

「…目の焦点があってない顔」

「そんな顔してたか?」

「した」

「…(全く自覚がない。そもそも…)」


~雨田隆一~


「西田がなんか変な顔をしてるんだけど」

「確かにそうだね。」

 少しの間西田ともう一人の様子を見ていて思ったことがあった。

「(痴話喧嘩か?)」

 なぜか西田になれのようなものが見える。

 もう一人の方が何か言いそれを処理する。それが慣れてるように見えた。

「(こういう付き合い方もあるんだなぁ)」

 さっき見たようなカップルみたいなやつらのようなことではなく西田たちのような関係ならいいのではないだろうか…

「あの二人って確か中学が一緒なんだよね。」

「そうだったはずだけど?」

「…」

「…?…中学が一緒ってだけで恋愛関係に発展するとは限らないぞ。」

「そうだよね。」

「(飛菜子今俺がなんで華麗に振られたのか考えていたんじゃないのか?)」

プルプル

「飛菜子、電話が鳴ってるぞ」

「あ、ほんとだ」


『もしもし、飛菜子。もうすぐ買い物が終わりそうだから帰ってきて。』

「分かった。」

『道分かる?』

「多分、」

『今どこにいるかわかる?』

「本屋さんを出て少ししたところ」

『…迷ったら電話して』

「分かった。」


「(会話からして飛菜子のお父さんかな飛菜子一人で帰れるからこっちにきそうだな。)」

「電話終わったよ。」

「今から帰るのか?」

「うん。」

「駐車場まで歩いて帰る。」

「道は?」

「案内してほしい」

「…分かったよ。」

 結局いつものように俺が先に歩いて飛菜子がついてくる状況になった。


「飛菜子、ここでいいのか?」

「うん。そこにうちの車があるし、…ありがとう。」

「どういたしまして。」

「…そうだ。おじいちゃんの家に行った時のお土産買ったんだけどどうする?」

「今渡されても帰るとき困るから、家に帰った時でいいか?」

「じゃあ家に帰ったら連絡してね。」

「了解。」

「じゃあ、また後でね。」

 そういって飛菜子が車のある方へ歩いて行った。


 飛菜子が帰った後、インスタント食品を多めに買った。

「…この後、これをもって家に帰らないといけないのか…」

 ここに来た時に気付けばよかった。家からここまでの距離が長いことに…

 買ってしまったものは仕方がない。持って帰ろう。

 手にある袋を自転車のかごに乗せてこの場所から出発した。

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