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勘違いの果て  作者: SSiNN
14/40

14.日常(1)

~丸山華麗~


 タイミングが悪い。

 今まででこんなことがなかったのになんであのタイミングで…

 リューに告白しようと決めていたのに…

「まぁ、昨日のことは運が悪かったな。」

「ほんとだよ。大野、せっかく手伝ってもらったのに…」

「別にいいよ。それより、次もやるのか?」

「うん、やるよ。」

「…そうか」

「その時も何か手伝ってほしい時はお願いしてもいい?」

「分かったよ」

「約束は守るから。」


~都留飛菜子~


 古い記憶の夢を見た。従弟の昭介と喧嘩をした夢を…

 互いに幼かったため喧嘩の理由がしょうもない。

 なぜそのような夢を見たかといえば、今は父方の実家泊まっているからだ。

 何年も前からこの時期になれば親戚がこの家に集まり泊まるというのが決まっていた。

 目が覚めてしまっているので顔を洗うために洗面所に向かうために起き上がる。すると隣に寝ていた従妹の寝顔があった。

 時間的にまだ早いため起こさずにはやから出た。

 何年も前からこの家に泊まっているのでどこに何があるかは大体覚えることができている。家の中で迷うことはない。

 顔を洗い居間に行くとおじいちゃんが新聞紙を開いていた。

「おはようおじいちゃん」

「飛菜子か、もう起きたのか…」

「おじいちゃんも早起きでしょ?」

「そうだな。」

 そういっておじいちゃんは新聞を読み始めたので私は持ってきた本を読むことにした。

 そうして静かに時はすぎ、眠っていた人たちが起き始めた。

「おはようお義父さん、飛菜子ちゃん。」

「おはよう」

「おはようございます。」

「いつも悪いね。加奈が飛菜子ちゃんと一緒に寝たいと言って聞かなくて。」

「別にいいですよ。それくらい。」

「ほんとに?」

「はい、」

「あの子わがまま言ってない?」

「聞いてません。」

「それじゃあ、次も頼んでいい?」

「いいですよ。」

 そんな話をしているといつの間にか加奈ちゃんが起きてきた。

「おはよう。飛菜子ちゃん。」

「おはよう。」

「いつ起きたの?」

「少し前に起きたよ。」

「起きたときにいなかったからびっくりしたよ。」

 それからしばらくしてこの家にいる人の大半が起きたので叔母さんに呼ばれて手伝い、出来上がると寝ている人たちを起こす。

 私は任された仕事が終わっていたためまだ眠っているであろう昭介を起こしに行くように言われた。

 私の従弟の昭介は朝に弱い。毎度毎度最後まで眠っている。

「(今回はどうやって起こそうかな。)」

 ある時は携帯にイヤホンを付け耳に当てて大音量で音楽を流した。

 また、あるときはベッドから落として起こした。まぁそれで喧嘩になったからしないようにしているのだけれど…

 今回イヤホンはない、そもそも目覚ましを大音量で流しても寝ている昭介をイヤホンなしでは多分無理だ。

 昭介が寝ている部屋に向かう途中、加奈ちゃんが声をかけてきた。

「昭兄を起こしに行くの?」

「うん、そうだよ。」

「今回はどうやって起こすの?」

「まだ考えてない。いつもはどうやって起こしてるの?」

「天気が良くて今日は布団を干すっていう日は頭から水をかける。それ以外は…口と鼻と塞いで息をできなくして起こすとかいろいろ」

「…じゃあこれにしようかな。」

「………それいいかもね。」


 しばらくして寝巻がびしょびしょになった昭介が起きてきた。

「おはよう。昭介。なんでそんなに濡れてるの?」

「あいつら二人に寝てるときに口に水を入れられたんだよ。」

「部屋濡らしてないでしょうね。」

「濡らしてない。」

「何怒ってるの?」

「口の中に水を入れられておぼれかけたからだよ。」

「それはいつまでも寝てる昭介が悪いよ。」

「もっとましな起こし方ないのか?」

「ない。大音量の目覚ましが鳴ってる中熟睡してる昭介を起こす方法があるなら教えてほしいくらいだよ。」

「こらこら二人とも喧嘩しない。」

「「喧嘩はしてません。」」

 昔からそうだった。お互い自分が悪いと分かっていても決してそれを認めないから喧嘩をする。

 朝食を食べ終わり、みんながそれぞれ自由に過ごしている。

 私は手持ちの小説、昭介は携帯のゲーム、加奈ちゃんは適当にテレビを見ていた。

 もうじき手持ちの小説が読み終わる頃、加奈ちゃんが暇で暇で仕方なかったらしく散歩に行こうと言い出した。

 それを聞いた叔母さんが昭介も一緒に行くように言ったため加奈ちゃん、昭介と散歩に行くことになった。

 歩き始めて少ししたところで、

「加奈、どこに向かってるんだ?」

「適当に歩いてるだけだよ。」

「飛菜子がいるんだから目的地を決めた方がいいと思うぞ。迷子になってしまう。」

「兄がいるんだし大丈夫でしょ。」

「私だってこのあたりの道は覚えてるよ。」

「じゃあ、ここからまっすぐに向かうと何がある?」

「高速?」

「途中には?」

「何もないでしょ。」

「コンビニが一軒あるんだよ。」

「…あった?」

「あるよ。」

 確かにそんな記憶があるけど…


~西田春樹~


 去年まで同じクラスだった瀬川林がいきなり電話をかけてきたと思ったら俺にも分かりやすそうな参考書を見つけたから来いと…

 高校に入っても相変わらずめんどくさい。

 特に予定のなかったので行くことにした。あいつがもうその場所にいるみたいだから現地集合だ。

 電車に乗り数駅やっと目的のモールに着いた。

 モールに着くとなぜか制服でいちゃつく若者が多くいた。何かしらのイベントがあるシーズンではなかった気がするんだが…

 適当にあたりを見渡してみてもあいつの姿が確認できないためメールでどこにいるか聞いてみることにした。


<おい、今どこにいる>


<中にいるよ。>


<分かった。>


 メールを確認して中に入るとあいつがいた。

「…」

「いきなり呼び出しといて無視か」

「…」

「おーい」

「…無視はしてないけど何その恰好」

「服がどうした?」

「ちょっとダサいなぁ」

「別にお前に俺の服のセンスをバカにされる筋合いはない」

「私と一緒に歩くのにその服を選ぶ?」

「選ぶわ。別にお前に恥をかかせても俺には痛くもかゆくもないんだからな。」

「じゃあ、まずは服から買う?」

「なんで?」

「外に出るために服がないんでしょ?」

「なんでそうなる。」

「勘」

「確かに俺は自分の服を選ぶことはないがお前に選ばれるつもりもない。」

「?じゃあその服は誰が買ったの?」

「母親」

「それでいいの?なんかこの服のデザイン気に入らないとか」

「ない。あるんなら俺が選んでる。」

「そう。」

「それよりも早く目的の本屋に行こうぜ。」

「もしかして用事あったの?」

「別に何も」

「(それならなんでそんなに私といるのがいやそうにするの?)」

「どうした。」

「別に何も…早く行こうか」

「そうしよう」

 そういって瀬川が早足で歩き始めた。

 俺はこいつを友達として認識していると思うけど、こいつは俺のことを犬みたいに認識しているのではないだろうか。

 毎回呼び出されたと思ったら荷物持ちにされているし…

 ゆっくり歩いていると瀬川が早歩きだったからかかなり距離があった。早歩きで追いつくと瀬川が言っていた本屋に着いた

「西田、遅いよ。」

「お前が早いんだよ。」

「そうかな…」

「お前そんなに早歩きだったか?」

「分かんない。」

 そういって瀬川がまた歩き始めた。

 参考書までまっすぐに行くと思ったのだが違うようで雑誌、小説、漫画など関係のない場所ばかり歩いている。

「おい、参考書はどこだよ。」

「そうだったね、忘れてた。」

「自分が呼び出した理由を忘れるなよ」

「確か…そこにあったはず。」

「これか?」

「そうそれ。」

 参考書の値段を確認すると手持ちの金で買えるくらいの金額だった。

「西田、お金持ってきてる?」

「ちょうど参考書が買える金額はあるぞ。」

「もしかして高かった?」

「いきなり呼び出されたからな。財布の中身を確認してなかった。」

「ごめn」

「まぁ、家にはまだあるから大丈夫そうだし、お前がわかりやすそうっていうなら買うわ。」

「…」

「じゃあ、レジ行ってくる。」

「行ってらっしゃい。」


~都留飛菜子~


 おじいちゃんの家に来た用事はもう終わっているので、昼食を食べたらすぐに帰る予定だった。

「飛菜子ちゃん、もうそろそろ帰るんだね。」

「そうだよ。加奈ちゃん。」

「また会ったときは昨日みたいに遊んでね。」

「うん。いいよ。」

 そういって加奈ちゃんと別れた。加奈ちゃんは自分の家の車に乗り込んだ。

「飛菜子、体調には気を付けるんだぞ。」

「うん、分かったよ。おじいちゃん。」

「何かあったら連絡しろよ。宗太もじゃ」

「分かったよ。」

「…」

「それじゃあ、僕たちは帰るよ。」

「帰りに事故するなよ。」

「さようなら、おじいちゃん。」


 車に乗って家に帰る途中、

「飛菜子、ちょっと買いたいものがあるからそこのショッピングモールに寄っていい?」

「いいよ。」

「何を買うの?」

「メガネを買うんだよ。最近また視力が落ちてるみたいだから。」

「今いくつ?」

「0.1だったと思う。」

 そう言てお父さんがモールの駐車場に車を止めた。

「飛菜子も待っている時間があるから本屋に行っててもいいんだよ。」

「そうする。」

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