この農民は マイペースで最強だった
「私たち 大丈夫かしら?」
「ここがダンジョンか? 洞窟なのに明るいな。ミリーこれなら大丈夫だ」
「トシユキは クワ一本しか持ってないじゃない? もうダメ キュー・・」
私たちは王様直々に刑を執行されて ダンジョンに放り込まれた。
入り口には牢獄の鉄格子、もう キュー バッタンよ。
「ミリー ここのトンネルは真っすぐだな 管理がやりやすそうだ。 早速 畑にしよう。肥溜めも作っておくか?」
「ちょっとまって! 肥溜めって私はレディーよ」
この人はトシユキ。畑を耕していただけなのに なぜか名前が異世界人だからって理由だけで異世界人狩りよ。
そういう私も 女神疑惑を掛けられて捕まっちゃったんだけど
背がちっこいって 村でバカにしていた連中を見返してやろうと思って調子に乗り過ぎちゃったわ。
「もう!」
「どこにいくんだ?」
「こないで! のぞかないで!わかった?」
「クワもってくか?」
「そんな やさしさいらないわ! それよりトシユキはそのクワを使って壁を作るのよ。1階層目はワームっていう毒液を吐き出すモンスターがいるわ。岩だって溶かしちゃうんだから生き物が毒液を浴びたらひとたまりもないわよ」
私は一人でダンジョン探索に向かうことにした。
きゃーーー!
ドサ ドサ ドサ
ワームよ なんで ワームの巣があるのよ。
終わった。完全に終わったわ。
「トシユキー! ワームが来るわ あなただけでも逃げるのよ」
私は声を飛ばした。
私の次はトシユキがワームのエサになってしまう運命かもしれないけど
せめて私が食べられている間に アナタだけでも・・逃げて・・。
「って! 何の穴よ?!」
「肥溜めだ」
トシユキは トンネルが真っすぐな事をいいことに縦穴を掘って道を塞いでいた。
終わった。
裏切られたのね キュー・・・。
「ミリー ほら クワの柄につかまれ」
え?
「うん」
私は 穴を無事に飛び越えることができた。
その後に続いて ワームたちが追いかけてきて 穴に落ちていった。
ドロ ドロ ドロ
うわぁ。。 穴に落ちたワームが穴の中で毒液を吐いて溶けていくわ。
グロイ。。。
「危なかったな。ミリー?」
「トシユキ 見直したわ」
「害虫を駆除するのは農民の仕事だ。それよりやることができた。」
ドロドロドロ~
「うわ~ そんなグロイもので何するの?」
「ミリーがトイレしている間に 畑を耕した。 そして魔物のドロドロをかけてやれば こうなる」
トシユキが ドロドロを畑にかけると 葉物野菜が成長した。
それにしても成長速度が速すぎるわ これが農民スキルなのね。
一体何の野菜なのかしら?
「いやし草だ。 そしてこれが 飛びレタス。ワームのドロップアイテムの種だ」
「ワームのドロップ?いつの間に? ドロドロに入っていたのね」
「ミリー レタスを一つ食べて そこの肥溜めをジャンプしてみろ」
「いやよ。肥溜めに落ちるくらいなら死んだ方がマシよ」「
「そうか」
その後・・・
「こないで! のぞかないで!わかった?」
モグモグ・・・。
一度だけジャンプ力が上げることができる飛びレタスは 私の必需品になった。