第三章 鬼(ウラ)/1
卒業式も終わり、後は四月五日がやってくるのを待つのみとなった。
門出を意味する合唱が飛び交う体育館は、あの卒業式独特の雰囲気に包まれていた。高校に上がる事に期待を抱き胸を膨らまし、普段は早く卒業したいなどと豪語していた生徒も卒業式当日は伏せた目をしていた。泣く生徒もいた。特に女子に多かったように感じる。退場を終えた後、先生方のアーチを通り、校舎を後にした。中には泣き崩れてしまった子もいて、涙でくしゃくしゃの先生の肩を借りて歩いて行った生徒もいたほど。
それなりに……いや、きっと普通よりも盛り上がった卒業式であったのだと思う。そして盛り上がるのならばきっとその旅立つ学校自体も良いものだったのだろう。
けれど、友達と簡単な別れを済ますだけの俺には、特に胸から込み上げて来るものはなかった。
それは単に、学校の肝である人との関わり合いを避けてきたのだから、仕方がないのだと思う。そして、避けてしまうのも、こんな眼を持っているのだから仕方がないのだと思う。
卒業式のその数日後、つまり今、俺は江代町へと越して来ていた。というのもつまり、父親の転勤が決定してしまったからだ。父は市はおろか県さえ違う土地へと務める事になり、逆に俺は県は変わらないものの市は違う高校に通うことになった。ということは、転勤する両親について行かないということで、一人暮らしをする為のアパートを借りた。ワンルームの古いアパートだが、家賃も安いし造りも意外にしっかりしている為、特に不満はなかった。むしろ、一人暮らしを行えることに胸を撫で降ろすくらいだ。その見返りを考えれば、受験勉強に費やし有名私立進学高校に入学した甲斐はあるというものだ。
周りが地元の公立高校へと足を進める中で、俺はかなり珍しい部類のようだった。心細くないのか、と言われたが、俺には心細くなるほど他人と関われなかったのである。
だからそう、見知らぬ土地に独り越してきた俺は暇なのだ。別に故郷の友達へ電話をする気も起きないし、かと言って部屋でごろごろしているのはもう飽きたし、ある程度料理も出来るようになったからもういいやと言った感じ。当然、勉強など。
だから少し煩い扉を開け、見慣れぬ道を歩むことを決めた。
――
三月にしては冬の様に寒かった。雪でも降るのではないだろうか、という雰囲気の空に覆われた日。
そんな中、散歩ぐらいの軽い気持ちでコートを羽織りながら住宅街を抜けていく。三月なのに、真冬に着るようなコート。そして、迷ってしまったら洒落にならないので、自分の部屋のアパートに大きく印をつけた周辺地図はしっかりとポケットへとおさめながら。
見知らぬ景色は、何だか尚寒く見えた。
よくあるデザインの集合住宅や、何処にでもあるようなアパートやマンションばかりで見飽きた頃、不意にそれらの建物がばったりと途絶えてしまった。
「……?」
目を左右に振れば、立ち並ぶのは住宅建設物に変わり、雑木林。
どうして町中に、と思うと同時に取りい出したるは周辺地図。ばさ、と広げ見てみれば、地図の上でもぽっかりと確かに林は描かれていた。
それは地図で見てもとても奇妙な存在感。建物建物建物建物、という羅列の間、穴が空いたようにぼっかりとあるのだ。ぽっかりではない、ぼっかりだ。それだけ異質だった。地図の上だけの面積を見れば、林ではなく森なのかも知れない。
へぇ……と興味深げに実物の林と地図上の林を交互に見ていると、実物の林の左の方、道が一本あることに気がついた。
当然、暇だった俺はそこを歩くことにした。一本道で導かれている林ならば迷う事は難しく、来た道を辿り返すことは容易だろう。そう思い、歩を進めていく。
抱いた感想は異質。だがそれは魔界のような禍々しさではなく、むしろ聖域のような清楚さ。町の雑多から隔離された空間。周りに立ち並ぶ木々は、賑やかな喧騒を十二分に吸い取ってくれているらしい。
俺は何だか、この林を気に入りそうだった。
そして更に歩いて行けば、開かれた視界には大きな屋敷があった。重圧的な木彫りの扉を構えた和風造りの立派な建物。武家屋敷、なのかもしれない。
慌てて地図を広げ見てみれば、確かに馬鹿に広い林の中にぽつんと、それでも一般の住宅なんかよりは遥かに大きい建造物の印が描かれていた。
そして良く見れば、この林は私有地。つまりは、真ん中にぽつんとある家を囲むぼっかりとした雑木林は全て、そのぽつんとした家の庭なのであろう。
有り得ん、と心の中で呟きながら俺は足早に林を抜けていった。
▽
林から少し息を上げながら抜け出し、次にどうしようかと思案していると、コンビニに行こうじゃないか、という案が頭に浮かんだ。よって、大通りの方面へと向かうことにした。
――
横断歩道を挟み対角上、女性がいた。
いや、女性がいることは当然、珍しくもない。現に六つの歩行者用横断歩道を持ったこの十字路には、女性も男性も含め幾人もいた。
艶やかな黒髪をショートカットにバッサリ切っている、ずば抜けた美人。対岸だというのに一目で分かるくらいに目立って美人、というほどの容姿を抜かせば特に気にする点は見当たらない筈。見当たらない筈だが、在った。
眼を凝らし、視てみれば、ベージュのコートの袖口から何とも派手なブレスレットを手首に嵌めているのが見えた。金に無地のように見えるそれを嵌めている、まぁ、そのブレスレットも派手と言えば派手なのだが、一見は普通のアクセサリーだ。だから特に違和感、注目すべき点はない筈だ。
しかし、何故かそれに惹かれる。強い存在感を放ちながらも、それは拒絶するように影が薄くも感じる。
そう、気を抜けば透けてしまいそうな雰囲気。けれどそれは俺の視界にしっかりと映っているのだから存在しているのだろう――と思ってからそんなことはないことに気づいた。
女性は邪魔くさそうに何度も手首のそれを擦っていた。と、遂に外してしまった。右手の指で掴み、そのまま残りの指でだるそうに首を掻いている。その姿はジーパンでカジュアルに決めていた彼女にはよく似合っているように見えた。
などと、段々観察の方向が違ってきていることに気づき、咳払いして目を逸らした。
何だか奇妙な感覚に囚われるも、スクランブル交差点の信号が変わったことにより、それ以上の観察は中断させられてしまった。
▽
目当てのコンビニにい辿り着き、雑多な品々を買い揃え、店を出た所で酷く場違いな人物と出会った。
「あれ? レギナさん?」
「……やあ、ナギ君か! ああ、そうか――卒業、おめでとう」
何て爽やかな笑顔と共に握手を求めて、来る背の高い二十代前半の外人さん。
握手に応じると、腕を振る度に後ろで一本に結われた少し長い金髪が揺れる。
レギナの愛称で慕われている目の前の紳士の本名は、レギナルト・グレゴール・ファウスト。かの有名なファウストと同姓を持っている、とても博識の神父だ。
そしてそう、彼がこの場で場違いだというのは神父服のままここまで来ているということ。
だが、それはこの町での光景として珍しいものではない。
手を離すと、レギナさんは屈み、俺の目の高さまで顔を下げて、
「そして、合格おめでとう」
綺麗な青の目が朗らかに笑った。
そのレギナさんの人柄を遺憾なく表現した笑顔は何だかとても暖かい。俺は彼以上の微笑みと言うのを未だ見た事がない。
「ありがとうございます」
何ともくすぐったいが、頭を撫でられることに悪気はしない。
一頻り撫で終わると、レギナさんは立ち上がった。さっきまで同じ高さにあった筈の目は、あっという間に高いところまで昇っていった。きっと、俺とレギナさんでは頭一つ分ともう少しぐらいの身長差はある。けれど、その長身からは見下ろされているという印象を相手に抱かせない。何故かは分からないけれど、きっと仁徳か何かなのだろう、と俺は思った。
実際、彼は周囲からの彼の印象はその通りなのだ。
だけどとりあえず、自分が疑問に思ったことを聞いてみる事にする。当然、何故神父姿でここにいるのかを。
「レギナさんはどうしてこんな所に? というか、その恰好のまま、ここまで?」
「いやぁ、お婆ちゃんにウメボシが食べたいって言われちゃってねぇ。だからお使いに来たんだよ」
困ったように、そして少し照れくさそうにレギナさんは笑う。
お婆ちゃんとは、きっと参拝に来る信徒の事なのだと思う。彼が司祭を担当する、この町唯一の教会には現在、実に住民の四割が足を運んでいるという。元々キリスト教が染まっていた町とは言え、ここまで参拝客が増えたのは明らかに目の前の紳士が促進剤となっている筈である。彼の笑顔と、彼の掛ける言葉には何とも人の心を温かくさせる、まるで魔法がかかっているようだから。
そして、その紳士であるレギナさんは、困っていると相談された信徒の家に訪れるということを行っている。その理由は様々で、仕事の悩みや人間関係の悩みなどの重いケースや、夫婦喧嘩の際の愚痴、ご老人の介護など様々である。
だからきっと、今言ったお婆ちゃんもお世話をしに行ったとか話し相手へとなりに行ったとかそんな辺りなのだと思う。
そんな重要なことを、或いはそんな些細なことすら頼めるほど、彼の人柄は柔らかい。
「大変ですね」
「いやあ、そんなことはないよ」
といつもレギナさんは言うけれど、そんなことはあるだろうし、とても凄い事だと思う。それを笑顔で行っているからこそ、彼の務める教会には人が集まる。最近では、若い人も行くようになったとも聞く。もちろんミッション系の学校だけでなく一般の学校もだ。
だからそれらはきっと、彼の人間性の表れなのだ。
そこでふと、引っ越した今の家が意外と教会から近い事に気づいたので、それを言う事にする。
「あ、そういえば、俺、こっちの方に引っ越してきたんですよ」
「おぉ、そうなのかい? だったら教会に顔出しておくれよ。いつでも歓迎するからさ」
またも柔らかい、人触りのいい笑顔を浮かべる。確かに、何か足を運びたくなってしまうというものだ。
それじゃ、お婆ちゃんが待ってるからと神父姿でコンビニの自動ドアを潜っていくレギナさん。何ともまぁ、シュールな光景だと思ってしまうのが常。でもこれが、江代町では既に名物となりつつある。
ガラスの向こうでは、何人かの人にレギナさんは声を掛けられていて、その度に笑顔で返事をしている。江代町ではよくある光景。きっと俺は彼以上に素晴らしい神父がいると言われても、正直信じられない。
それほどまでに、レギナさんは素晴らしい青年なのだ。
▽
家を出てから一時間と経っていないのに、何だか更に気温が下がって来てしまった気がする。息を吐けば、白く立ち昇るほど。手袋が欲しいな、何て思いながらポケットへ両手を突っ込み、渇いたアスファルトを靴で踏みしめ、歩いて行く。歩くたびにぱたぱたコンビニの袋が揺れていた。
迷わないよう、元の道を辿っている。
大通りを抜け、住宅街へと入り、またも林に辿り着いた。
一度立ち止まり、雑木林を見つめる。存在感のある巨大な雑木林。
それを見ていると、何だが妙な感覚に駆られた。この林が私有地だということは、俗に言う塀と同義なのだろう。これだけ乱立した林が、数分歩くような面積重なれば置くなど全く見えない。
そうして、林の中に静かに身を隠すように佇む一軒の巨大な屋敷。誰が見ても一目瞭然に、豪邸だという事が分かる。扉に装飾された和風の街灯や、垂らされた房。そして扉に刻まれた角を模したような家紋。昔は大名だったとか、そう言うのなのかも知れない。
何となく、目の前に広がる林の奥にある、あの屋敷が気になっている。けれど目の前の林は私有地なのだ。先程は不可抗力とは言え、今となっては知っているのだから入ってはいけないだろう。これはけじめの問題だ。
……そう、だから本当に何となく。どうせ出てきたのだからもう少し歩いてみよう、と林の外周を回っただけ。
そしてそこに丘があったから、また何となく登っただけ。
そよぐ蕾の開き始めた緑葉達に誘われ、歩く。何本もの太い幹の木を横目に、歩く。風で揺れ、ざわめく音を聴きながら、歩く。
それにしても知らなかった。こんな所に桜の木が集まった場所があったなんて。緑の葉の間に僅か桃色の蕾がちらつく。
それを寒い中見ているのは何だか妙な感覚。
突然、木枯らしが舞った。
いや、三月である意味では木枯らしと言う名付けはおかしいが、けれどもそれは春の木枯らし。落ちている葉や花びらを巻き上げて、木々を抜け奥へ奥へと運んでいく。
何度も思う。とても幻想的な世界。
上を見れば、雪が降るような灰色の雲が覆いかぶさっていて、まるで冬。けれど前を見れば、蕾が開き始めた斑なの桜。
季節が多重している不可思議な感覚。それは自分が感じている体感温度と視覚のギャップが相まって。
だから、吸い込まれるように足は奥へ奥へと進んでいった。
少し勾配のある坂を上り、上へ上へ。
――
そして、不意に鼻の頭に何かが落ちる。白いそれはとても軽くて、俺の体温に触れると消えてしまった。
「……雪?」
ポケットから手を取り出し掬う様に外気にさらした。本当に冬場のような寒さの中、確かに雪が舞っていた。
上を見上げれば、灰色の雲から幾千もの雪が生産され、この身に降り注いでいる。
それをじっと見ていたら、何か空へと吸い込まれるんじゃないかという様な錯覚を覚えるほど、幻想的。
けれど変わらず、俺の脚が吸い込まれるのは上へ上へ。
――
登りきれば、広場があった。
今までは乱雑に並べられていた桜の木だが、ここに限っては違う。
目の前に、緑の草の絨毯を敷き詰め、圧倒されるような巨大な桜の木。その大きさは今まで見てきた木々の何倍もある。そしてそれを囲むように円陣を組んだ桜の列。
そして、木々や草花、視界を覆う白い雪。それらは溶けず、地面へと連なっていく。
俺はその入口に立っている。
巨木の根元には黄色の花や白い花が咲き乱れている。木枯らしは変わらず花弁と雪を運んでいる。
何だか、夢の中にいるような。初めて見た、銀と彩の世界。
――
けれどそれより更に目を奪われた存在はいた。
根元に寄り掛かる、小さな人影。
――そう、彼女だ。何という美しさ。あれは本当にヒトなのかと。
猩々緋の着物の彼女は雪の舞う木枯らしに、カラスの濡れ羽色のような長い長い髪を靡かせている。
その流麗さに、思わず息を呑む。
揺れる髪から覗かせる出来過ぎた顔立ちは、猩々緋の着物と相まって誘われるような美しさが滲み出いている。
「お姫、様――?」
聖域のような幻想世界で、深窓の姫君は巨木の根元で俯いていた。
殆ど口を開けた様な頬面で、数秒見つめた時、そこで気づいた。完全に無意識で心の内を声に出していたことを。
木枯らしに揺れる髪を抑えながら、少女は立ち上がった。
正面に、少女は俺を見据えてきた。
その少女に、俺は圧倒される。可愛い、とか。美しい、とか。そんな陳腐な言葉では表現できない存在。
そして更に驚いたことは、彼女は無色だった。
視える色は何もない。何処までも透けているそれは、透明色の何物でもない。
その在り方に、思わず俺は見惚れた。
色のない眼で名も知らぬ少女は見つめてくる。その深い眼に見つめられ、息を呑み、半歩後ずさった。
まるで心臓を掴まれたように、跳ねあがる。それは決して、恐怖から来る反応ではなく。
――そう、ただ美しく。
その儚く、可憐な瞳で見つめたまま一歩、少女は雪と花弁の中近づいてきた。
途端に、瞳に色が灯った。
血の様に紅い瞳。地に染めた様に紅い瞳。血を塗ったように紅い唇。
だがそれも、一瞬ぶれただけ。
「……気の、せい?」
無表情だった彼女の顔に、表情が形成されていく。何だか、意識が覚醒したかの様。
その表情を見て、何となく彼女が立ち去るような気がした。
だから、
「――君は!」
だから、思わず声を掛けた。何を話すかなんて決めてないくせに、吹き荒ぶ木枯らしに負けぬよう、声を上げて。
少女の表情が、驚いたように固まった。
それでも俺は続けた。
「……君は」
けれど、何を話せばいいのかよく分からない。ただ分かっていることは、俺は彼女の事を知りたいんだということ。
穢れを知らない無色以上の透明色。その一瞬の彼女の在り方に、俺の心は間違いなく惹かれていた。
「君は……」
怪訝な顔で少女は見つめて来る。
俺と彼女の距離は二十歩以上。何だかその距離がもどかしい。
そのまま紡ぐ言葉を探していると。
「――あ」
彼女は走り去ってしまった。
着物をはためかせ、雪と花弁舞う木枯らしの中、猩々緋の彼女は消えていく。
伸ばした手は虚しく、俺と彼女の距離を埋めることは叶わない。――近ければ、彼女の手を掴めたのに、と。
残ったイメージは紅。澄の様に済んだ筈の彼女に視えた一瞬の紅。そしてあの透明色。
彼女の消えた聖域で、花弁と木枯らしは変わらず吹いていた。
雪と彼女は、聖域にはもういない。
けれど、花弁に被さる季節外れの雪と、俺の中に彼女の姿は確かに残っていた。
色と白が混ざる幻想世界で。
咲き散らばる花達と、降り注ぐ季節外れの雪の中。
――俺と彼女は、確かに出会った。
「本編の雰囲気を多大に壊す恐れがあります。「いやだって本編より面白いし」と言う方や「あ、ラプラス? 何それワロスwww」ていう方はフォーリンエンジェル!」
↓
↓
「――ながれぼしにかぁけたねがい、かなうのがいまぁなら〜」
「ど、どうしたんだ、羽羅」
「このさきぃに、あたぁらしぃい、ふたぁぁりがいるぅぅぅ」
「お、おい、諾までか!?」
「「いかなくちゃぁ〜―――――」」
――
「……で、どういうつもりなんだよ、お前ら。どうしてくれる。いろいろ危ないんだぞ、ホントに。色々」
「だって……俺達どうなっちゃうのさ!」
「そうよ! いきなり過去編に飛んじゃってさ!」
「だから、祈りの為に流れ星見ながら歌ってたのか?」
「「(こくこくっ!)」」
「…………(ほろり)」
――
「……でもまぁ、ハッピーエンドとは限らないけどね」
「「なっ!?」」
「だって、作者ハッピーエンドよりバッドエンドのが好きらしいし」
「どんな鬼畜だ」
「どんなSよ」
「あ、いや、訂正が入ったぞ。『トゥルーエンドが好き』」
「分かる人が際どい気がするわね」
「要はハッピーとバッドの中間、みたいな感じですよね」
「まぁそうだな……『プラスに終わったけど、儚い感じが良い』だって。……作者歪んでんじゃねぇのか?」
▽
「――で、何で今回は過去編が急に挿入されたわけ? 許されるかは分からないけど正直に話しなさいよ。事によっちゃ許さないわよ。時間的にはまだ私は諾の首絞めてるんだからね!」
「羽羅……お前何か発言が訳分から――まぁいいや」
「あ、そうだ……俺死ぬじゃん」
「まぁ死んだら死んだでそれで……」
「おい!」
「いやぁ、まさかの二章で主人公死亡ってのも新しいと思うぞ、うん。良いんじゃないか?」
「良くない!」
――
「……でだ。まぁプロット組んでる段階だと普通に二章やって三章のつもりだったらしいんだな。でも書いてる内に、読者に色々不明な点を過去への伏線として残しつつ、二章のクライマックスに行ってもイマイチ盛り上がらないんじゃないか、って気づいたらしい」
「いや、それは場合によってはありだと思うんですが」
「いやどうもな、その不明点というか伏線というか、それが結構二章の核らしいんだ。っていうか作品全体の核?」
「……? どういう意味よ?」
「例えれば……そうだなぁ……いきなり仮面ラ○ダーが出てきてショ○カーとか怪○とか倒しまくった後に、実はベ○トで変身してたのでした! って感じ」
「それは何かもう……ただ訳分かんないだけじゃないですか」
「あぁ、だから止めたと」
「プロット書いてもこの程度の計画力なのね……」
▽
「何だか本編より面白いらしいと巷で噂の登場人物紹介(兼本編解説っぽい)コーナー。いつか後書きの限界へと挑戦すると共に本編の文字数より多くしてみるのが作者の目標らしいぞ」
「何でだよ!」
「まぁ……冗談(多分)は置いといて……ほら、来たわよ千姫(紙をぴらりと見せる)」
「……多分、長くなるぞ? 私は」
「何で?」
「いやぁ……うん。それでも付き合ってやろうというかたはどうぞ ↓ 」
↓
↓
『名前、生年月日その他諸々個人情報を提示して下さい』
「九十九千姫。生年月日は絶対に言わん。A型。身長は165。髪は茶で後ろで結って前に垂らしてるのが基本だな。眼はカラーコンタクトで灰だ。……あぁ、スリーサイズは上から84の55の83だぞ(にやにや)」
「おお……グラマー」
「くっ、むかつくわね。身長165って言った時はそれでいじってやろうかと思ったのに」
「残念だったな。これが大人の魅力ってもんだ。これはメインヒロインが私になる可能性もありえるなぁ?(諾の顎を擦る)」
「いい度胸してるじゃないの……」
「そう言いつつ何気に諾を蹴っ飛ばさない。あいつが流れ星になったじゃないか」
「――はっ! でも若さで勝てる!」
「(――ピキッ)」
――
「で、何でカラーコンタクトなのよ」
「それも一応理由があるんだ」
「へぇ」
「本編には関係ないがな」
「はぁ?」
「うむ。無駄な設定ってやつだな…………あぁ、あと神意会所属の第六級だ」
「出たわね……神意会。名前だけちらつかせてる怪しげな組織」
「別に怪しくないさ。警察みたいなもんだ」
「千姫がぁ? 警察ぅ?」
「何だ、その眼は」
「だって貴女よく“嗤って”るじゃない。とてもそんな心あるお人には見えないんだけど」
「それも三章で明かされるのさ(予定)」
「予定は未定ね。……そういや第六級っていうのは?」
「なんだろうなぁ……神意会での階級だな」
「まんまね。……で、権力のほどは?」
「……どちらかと言えば雑兵だ」
「プッ――――クスクス」
「うっさい! 私は元々戦闘向きの魔術師じゃないんだ!」
「……あぁ、そう言えば千姫って魔術師なのよね」
「無論だ。何だと思っている」
「ん〜…………我儘所長――――あら、石棒出してどうするつもりよ」
「――くそっ。アイツに戦闘で勝てるわけがねぇ!」
――
「で、結局階級って何よ。あとカラーコンタクト」
「いや……それはいつかまた載っけるって。流石に後書きに乗せるボリュームじゃないらしい。カラコンは知らん」
▽
『趣味は?』
「水晶磨き」
「何処の成金よ」
「いや、物理的じゃなくて魔術的にでもだな……」
「そんなことしても無駄なんじゃない? 雑兵さん。――――だから石棒出してどうするつもりよ」
「…………羽羅の性格が変わってやがる。……諾拾ってくるしかないな」
「あ、忘れてた」
――
「――――と言う訳なんだ」
「はあ……」
「はあってお前――彼氏からなんか言ってやれよ!」
「か、彼氏だなんて……」
「何かキャラ崩壊してるな、羽羅」
▽
『千姫を一言で表すと?』
「先生」
「男女」
「羽羅……お前なぁ……」
「何よ、その通りじゃない。多分読者の方々もコイツ口調ふらふらしてんなって思ってる筈よ……ほら、『書いてるこっちもやりにくい』って」
「作者が無駄に設定組むからだろうが!」
「……俺ホント空気ですね」
「あ、いや、だって貴方まんまなんだもの」
「確かに、私は説明キャラだからな。無難すぎるんだよ」
「…………どうしろと」
▽
「終わってみると意外と長くも無かったわね」
「そうだね。むしろ最初の本編補足が多かった」
「………………で、主要キャラが全員終わったこの後は何するんだ?」
「「―――――ッ!?」」
「…………志藤でも呼ぶか?」
「えぇ〜〜〜〜〜〜。あいつ呼んだら一体どんな空気になるのよ。っていうかただでさえ主要キャラですら語るほどのことがまだ無いって言うのに、脇役なんてこれ以上にやることないじゃない。キャラ立てすらできない」
「じゃあこのままこのコーナー続けてたら本編解説に成り下がるぞ」
「作者的には有りらしいんですが」
「そりゃ、手間省けるからな……」
「……………な、何かネタを提供してくれると嬉しいわ!」
「そ、そうだよ! 作者メッセージフォームまたは感想へお気軽に投書しちゃってください! 多分本文の下の方にあるから! そのままボタン押しちゃえ!」
「もうこの際いたずら感覚でやっちゃうと良いぞ」
「な、何か分からないこととか、聞きたいこととか何でも良いのでバシバシ送って――羽羅! 誰もそんな興味持たないとか言わない!」
「……………お、終わりだ」
↓
↓
真面目に言わせてもらえば、多分不定期になるのだと思います。当初の予定通り人物紹介で。出てきたらその度に設けるという感じ。
あ、でも、もし何かあれば僕にメッセージなり感想なりを送ってやってください。ネタでも疑問でもいたずらでも――。はい、ホント、気軽にやっちゃって下さい。――――あ、やっぱいたずらは困るです。
それでは、またいつかお会いしましょう!




