川
類聚的です。
不思議なもので、川を見ていると、そんなに悪い日じゃなかったって思える。
そうは言っても、実際は、
川にはそんなにいい思い出はない。
こないだなんて、死体を見つけた。
それは、死んでからそんなに日にちは経ってなかったらしいが、だいぶひどい臭いがした。
女のコだって。
私と同い年。
まだまだ生きたかったろうし、まだまだ生きると思ってただろう。
変なやつらに変なことされて、
人生最後は、たぶん、ただただ怖いになっちゃっただろう。
ほんとうに最悪だったと思う。
殺されたのが何で私じゃなかったんだろう。
私だったかもしれない。
だって同い年だし、何より、背格好も似てる。
なんだったら、あれは、私だったのかもしれない。
だって、顔を見てギョッとしたんだよ。
顔が、私にそっくりだったんだから。
実際は、隣の学校の全然知らない苗字の子がこの死体だった。
不憫。
みんな言うけど、そんな不憫って言葉で済まされるか?とんでもない不幸だろ?
とんでもない人生だろ?
こんな理不尽なことが、ふつうに起こる。
そんな世の中くそくらえだ。
でも、
なんでだろうね。
川を見ると、なんだかそういう嫌な気持ちがスッとするんだ。
海ではだめ。
海は、ちょっとこわい。
湖はちょっといい。
けど、動きが少ないせいかな?まだちょっとこわい。
沼とか池は、湖よりいや。
止まっているのは苦手なの。
滝は早すぎる。
流れが早いのもこわい。
やっぱり川ね。
川がいい。
動きもあるし、水面に映るキラキラがちょうどいい。
あの子も、最悪でも、川が見えたかな。
最悪でも、死ぬときに、少しでも川が見えたら、
あの
水面のキラキラが少しでも見れたなら、
まだ救われると思う。
川は、流れて。穏やかに流れて。
不憫なことも、理不尽なことも、嬉しいことも、楽しい気持ちも、
流していく。
こういう止まらなさは、好きだ。
流れて、どんなときも、立ち止まらない。
そのままでは、いれない。
それが気持ちがいい。
生きてるのを、実感できる、川が好き。
川ってこんな。