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Dear Lucifer  作者: 桃原カナイ
第二章.そして彼は堕ちて行った
12/23

暗転.堕ちた聖女と〝お父様〟

お久しぶりです(*゜ロ゜)!

第二部がようやく仕上がり、物語完結まで一挙放出する次第となりました!

最後までお楽しみいただけましたら幸いです( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )



 こちら側と、あちら側。私とあなた、隔てる壁が割れてゆく。

 硬く冷たい音を立てて、氷のように砕け散る。


 床に散らばる欠片は光を吸いとり、星空のように美しかった。

 そんな造りものの夜空から、小さな悲鳴が微かに聞こえる。



「……」



 それは泣き声だった。それは恨み言だった。

 ぶつける先のない人々の悲しみ。その上に私は、立っている。



「泣いてる……」



 誰も悪くはないことを、私は知っている。

 人々が理不尽な境遇に喘ぎ苦しもうが、そこに神の奇跡は起こらない。



「ごめんなさい」



 神様、神様。どうか、どうか。誰もが〝神様〟に祈りを捧げた。

 けれど、人々が祈る〝神様〟が何もしない(・・・・・)ことを私は知っている。



「ごめんなさい」



 私は悪者。記憶を取り戻したあの日から、私は心に誓ったの。

 私は悪者。だからそう、私にしかできないことがある。



「私がやらなきゃ、お父様は……」



 全てはそう、優しい優しい〝お父様〟のために。




 思えば私がここに来た日から、お父様はそこにいた。

 私はひとりになってしまったけれども、決して独りではなかったのに。



「お父様は、どうして」



 けれども私は、突然のひとりぼっちに耐えられなかった。

 だからあの人は……お父様は、私の記憶を消してくださった。



「何もかもを許せてしまうの」



 長い長い時を経て、私はようやく記憶を取り戻した。

 お父様に似て高潔な、優しいあの子に出会ったから。



「お父様は、どうして」



 その日が来たら、お前も一緒に連れて行こう。そうお父様は約束してくださった。

 でも私には身体がないから、あの子の身体をもらえばいいのかな。



「理不尽の中でも笑っていられるの」



 ああ、ついにその時が来たんだと。

 長い長いお父様の苦労が、報われる時が来たんだと。



「ねえ、お父様」



 私の役目は、お父様をここから解放すること。

 鏡の中に囚われた、私にしかできないこと。


 

「じゃあ、あの人は一体誰なんですか?」



 だから私は鏡を割る。

 この厳重な封印を解かなくては。



「お父様のフリをしているあの人は、誰」



 これ以上、お父様を傷つけないためにも――


読んでいただきましてありがとうございます!

楽しんでいただけましたら幸いです(●︎´▽︎`●︎)

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