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それじゃあ、改めてニーナさんに回復魔法の事を詳しく聞いてみるか。
「あのニーナさん、回復魔法って怪我だけじゃなくて二日酔いとかも回復できるんですか?」
「あれ?りん君って完璧に怪我を治せていたから、怪我以外の状態回復のことも知ってたと思ってたけど。あっ、そうか、りん君ってハーフオーガだから、ちゃんとした指導を受けてなくって独学で覚えた感じかな。それじゃあ、回復魔法の事を詳しく知らないのは、当然か」
ニーナさんはうんうんと言いながら首を縦に振りながら1人で納得したって感じでいるけど。ちゃんとした指導ってどう言う事なんだ?
「あの、ちゃんとした指導を受けるってどういう事なんですか?」
「ちょっと、説明が長くなるけど。ちゃんとした指導を受けるって言うのはね。回復魔法が使える事がわかると教会の使いの人がやって来てほぼ強制的に教会に入れられるのよ。そこから、教会で指導を受けながら回復魔法がちゃんと使えるようになるまで面倒を見てくれるのよ」
ニーナさんが説明をしてくれた後にボソッと小さな声で「でもその後が大変なのよね」と言ったので俺は聞き返した。
「説明ありがとうございます。普通は教会からの指導を受けるんですか。独学で回復魔法を覚える人ってあんまりいないんですね。あと、独り言が聞こえちゃったんですけど、その後が大変ってどういう事なんですか?」
「あっ、口に出して言うつもりはなかったんだけど。口に出しちゃったか~。うーん、言っちゃったものはしょうがないか……」
そう言ってニーナさんは一呼吸をして
「まぁ、正直な話、昔からだけど教会の中って派閥争いが凄いのよね。過激派な聖女派と穏健派な女神派があるんだけど。今はほぼ聖女派の方が力が強いから、女神派側は大変なのよ。嫌がらせとかね……」
ニーナさんは嫌な事を思い出したような顔をして俺に話してくれた。そんなニーナさんの話を聞いてたシンシアさんが
「昔のヴェルザンディ教は聖女派も女神派もお互いに手を取り合ってヴェルザンディ教の信者たちを導いてくれたんだけどね……」
シンシアさんは懐かしい思い出を語るように話してくれた。
「だけど、今は過激で差別的な聖女派が力を持っちゃったのよね。女神派が大変だって事を知ってるって事はニーナさんは女神派だったのかしら?」
「うん、そうだよ。だから、教会にいた時は大変だったんだ。それに女神派でも最近はオーガの人に対して差別的になって来たしね……それが嫌になって、今は冒険者をしてるんだよね。まぁ教会を抜けるのは大変だったけど。そのおかげでナタリアと出会えたし、あとついでにトーマ達と出会えて冒険できるから、教会を抜けて本当に良かったよ」
「ハハ、俺達はついでかよ。ちょっと酷いと思わねえかエジ」
「しょうがないだろ。トーマどこから見てもニーナとナタリアは親友同士なんだしな」
「そうよ!エジ良い事を言ったわね。ナタリアはあたしの親友なんだから、ねぇ!ナタリア」
「フフ、そうね。ニーナ」
ニーナさんは最初は暗い顔で話してたけど、最後の方にいつもの調子に戻ったみたいで親友宣言をした後ナタリアさんと仲良く話しをしていた。
そんなニーナさんとナタリアさんを見て俺は前世で親友だった× × × の事を思い出していた。
× × × は今頃何をしてるだろう……俺が死んで悲しい思いをさせちゃっただろうな。
それにしても相変わらず× × × や前世で関わった人達の名前が思い出せないな。せめて親友の× × × の名前くらい思い出せればいいんだけどな……
しばらく頼んだ料理やお酒を食べたり飲んだりしながら(ちなみに俺はお酒は飲めないけどね。前世では未成年だし今世は子供と思われてるしね)みんなでワイワイと色々な話をしていたり、途中トーマさんとエジさんがお酒を飲みすぎてダウンしてたけど、気にしないでみんなは話に花を咲かせていた。
そんな中、俺はさっきの教会の話を聞いて少し考え込んでいた。
今の教会ってオーガ差別があるって事は不定期にお披露目される。白金の神鳥の杖を見に教会に入るのって無理って事じゃないか……でも、もういいかオーガ?には進化できたし赤金の神龍の槍は行方知れずだし。無理して探さなくてもいいか、オリハルコンを売れば今世はそこそこの暮らしが出来そうだしね。そんなウハウハな人生プランを考えていたら
「あぁ~ちょっとだけエリクサーが見たかったな」
「ニーナ、他のパーティが手に入れた宝の事を言うのはダメよ」
「うん、わかってるけど。回復魔法が使える身としては、一目見たかっただよね」
少ししょんぼりしながらニーナさんは言った。
シンシアさんはエリクサーの事を大した事がないって言ってたけど。ニーナさんはエリクサーの事を高く評価してるんだよね。どっちが一般的なのか、なんかすごく気になってきたからニーナさんに聞いてみるか。
「エリクサーを使った身としては凄い効果だって事はわかったんですけど。(使ってないから嘘だけどね)エリクサーってそんなに凄いものなんで「りん君、エリクサーって凄いものなんだよ!りん君も使ったからわかったかもしれないけど。凄い大怪我が一瞬で治るんだよ。それも一瞬で治るのに傷跡が1つも残らないんだって!もうこれだけでも凄いのに!なんと!どんな病気も症状もエリクサーを飲めば完璧に治してくれる見たいなのよね。だから、回復魔法が使える者の憧れのアイテムなのよ!」」
ニーナさんは俺の言葉を遮って興奮して早口でエリクサーの凄さを話してくれた。
「ははは……それは凄いですね。それを考えもなしに使っちゃたんですね。俺は」
「でも、ちょっと勿体無いかもしれないけど。でも、いいんじゃないかな。りん君の顔の傷仮面で隠したいほどの深い傷だったみたいだし。りん君ハーフオーガだから、教会に行っても治療してくれても高額なお布施だけとって治療も適当でちゃんと傷を治してくれないだろうから、だからいいんだと思うよ。りん君が使ったのはいい事だよ」
最初は名残惜しそうに言ってたニーナさんだが、最後の方は優しい声でそう言ってくれた。
「ニーナさん、色々教えてくれてありがとうございます」
俺は心からニーナさんに感謝の言葉を言った。色々と教えてくれたし何よりも心配してくれたからね。そして、世間一般ではエリクサーは貴重な物らしい……ちょっとシンシアさん、やっぱりエリクサーって貴重じゃないですか~
「いいのよ。お礼なんて大した事言ってないしね」
そう言ってニーナさんは少し照れていた。
「そろそろ飲み会もお開きにしようか。トーマもエジも酔い潰れちゃったしね」
「そうね。りん君達もダンジョンから帰って来たばっかりで疲れたるでしょうし。これでお開きにしましょう」
ニーナさんに同調するようにナタリアさんが言った。
「私も久しぶりにお酒を飲んだから、ちょっと眠くなってきたから2人の意見に賛成よ」
そう言い終わるとシンシアさんは小さな欠伸をした。
「わたしも賛成です」
ナユナもお開きに賛成したので俺も続いて賛成してこうして飲み会は静かに終わった……と思ったけど食事の支払いでニーナさんとシンシアさんがこっちが支払うから、いえいえこっちが支払うよ。支払いの事で少し揉めたけどナタリアさんがダンジョン攻略記念のお祝いだからと言って支払いはニーナさん達が払うって事で納まった。俺達はニーナさん達にお礼を言って部屋に帰った……あれそう言えば何か忘れてる気がするけど。まぁいっか。
◆◆◆
俺達は部屋に戻ってダンジョンの疲れもあるので早々に寝ることにした。
だけど1つ問題があった。それは、俺が男としてこれから、生きると決めたのだから、前みたいにナユナとシンシアさんに囲まれて寝るのはダメだと思った。
だからその事を2人に話す事にした。
「ナユナとシンシアさん、俺はこれから男として生きていくので、これからは一緒に寝る事はやめましょう」
それを聞いた。キョトンとした顔をしてシンシアさんが
「別に私は気にしてないから、今まで通りに一緒に寝ましょうよ。それにりん君くらいの歳なら大丈夫よ」
「そうですよ。りんさんの歳なら一緒に寝るの大丈夫ですよ。むしろ嬉しいくらいですよ」
「2人とも俺の歳何歳だとと思ってるんですか」
「うーん、その身長だと8~10歳くらいかしら」
「わたしもそのくらいの歳だと思ってます」
えぇ!俺ってそのくらいの歳に見えてたのか……でもジルコンの時もさっきの宴の時も子供扱いされてたしなって違う違う。
「2人とも俺が前世の記憶を持ってるのお忘れですか。俺の前世の歳は17ですよ。それに今世の歳を合わせると……あれ?今世の歳って何歳なんだ俺?」
俺が今世の歳の事で悩んでいたら
「うむ、りんの今の歳は13だぞ」
「ええ、そうなのクロ?」
「女神の所でりんに魂を入れるのをこの目で見たのだから間違いないぞ」
あぁ、女神が入れる体を間違えた時の事かって俺ゴブリン村で13年も暮らしてたのか、よくあの環境で生きてこれたな……意外にあいつら良い奴だったんだな。殺しちゃったけど。
13歳って事は前世の年齢を足したら30歳って事じゃないか。まぁ前世の記憶が戻ったのはつい最近だけどね。
「2人とも俺の歳は今世も合わせると30歳の男って事だから、一緒に寝るのはやっぱりダメだよ。それに今泊まってる。部屋はもう1つ部屋があるから、俺はそっちで寝るよ」
「うーん、300年くらい生きてる私はOKなんだけどナユナの歳だとアウトね」
いまシンシアさん衝撃的な事言ってなかった。300歳ってゲームとか漫画でエルフの寿命が長いって設定はあるけど。この世界のエルフも寿命が長いんだな。
「300歳って凄いですね」
「そうかしら、エルフは長命だら、このくらい普通よ。それに200歳くらいからは歳を数えるのも面倒になって来たから歳も適当なんだけどね。多分300歳くらいだと思うわ」
そうなんだ。長生きすると歳を数えるのも適当になるんだ……
「それじゃあ、そろそろ寝ましょうか。りん君はちょっと狭いけど向こうの部屋を使ってね」
「はい、向こうの部屋を使わせてもらいますね。それじゃあ2人ともおやすみ」
「おやすみ、りん君」
「はい、おやすみなさい」
俺は2人の挨拶を聞いてもう1つの部屋に入って、灯りを消してベッドの中に潜り込んで今日あった出来事を思い出していた。
本当に今日は色々な事が合ったな、ゴブリンからオーガ?になったり今世は男として生きる事を決意したり。それにトーマさん達とダンジョン攻略祝いをしたり。
本当色んな事が合った……それに前世の死んだ原因がわかったしね。
まさか、駅のホームでスマホを見て落っこちて死ぬなんてな。
なんて間抜けで迷惑な死に方なんだろう。きっとSNSとかで電車のダイヤを乱した女子高生って叩かれてるんだろうな。
はっ!電車のダイヤを乱したって事はもしかして家に賠償金請求が来るって事か……私って親不孝者だな。
それに香澄にも辛い思いさせちゃっただろうし……あっそうだった親友の名前は香澄だ……やっと思い出せた……そして、気がついたら私の頬は涙で濡れていた。
せっかく男として生きるって決めたのに前世を思い出したら女々しくなっちゃうな。
よし、女々しいのは今日までだ明日からは男らしく生きようと決める俺だった。




