表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

仕方ない。

作者: 菱田哲

『仕方ない』の言葉が口から出たら答えはふたつにひとつ。

やるか?やめるか?追いかけるか?諦めるか?のどちらかってのが僕の個人的判断目安。


深夜零時。お酒を飲めない僕は薄く入れたコーヒーとお昼に仕事途中で立ち寄った古本屋で表紙買いした小説をただただ瞼が重たくなるまでのわずかな間、右手の人差し指で文字列を飛ばさぬようにとなぞるように物語を追いかけるのが今日を終える寝付け薬のようなもの。そして18歳で覚えたタバコ。


いつもは5本、6本残っているのに今夜の残りは3本。寝付け薬が効きだすまでの間に3本は心持たない不安な心持である。どうか、今日の物語が退屈でありますようにと願いながら咥えた1本目に火をつけて煙を吐き出す。残りは2本。明日の朝の一服といつものコンビニまでの車内での一服は残しておきたいものだ。

つまり、本日は最後の一服の1本。当たり前だが吸い込めば火は灰になり火元は口元に迫る。


どうして夕方にもうひと箱買っておけばよかったのに。って後悔とタバコなんて止めたい。禁煙しようなんて考えながらもジャンバーを羽織って近所のコンビニまで買いに行く気にもならない。これが大学時代なら下宿の後輩を呼び出して買いに行ってこいなんて言っていたのだろうに。なんて身勝手とわがままがまかり通った時代を懐かしみながらフィルターまで灰に攻められた本日の最後のタバコはフィルターまでの葉をすべて灰にしてもみ消した時、有価物が発するタバコの匂いとは違う煙臭い臭いを残しながら灰皿でペッチャンコになるまで押さえつけてもみ消した。諦めると選択した。っていうかタバコを止めようと思った。


明日の朝、コンビニでいつもの缶コーヒーを握りレジに向かってアルバイトの女の子が背中に背負ってる棚の中にいつもの102番を確認してまた思うのだろうな。『仕方ない』ひと箱、買っておこうって。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
https://ncode.syosetu.com/n6608ej/
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ