駄文集 風を感じたから 作者: 川柳えむ 掲載日:2015/05/19 独りで、なにもない、誰も来ないような空き地で、突っ立っていた。 そっと目を閉じる。なにも見えない。 ただ、風の吹き抜ける音が、耳を掠めていく。 ……耳障りな、音だな……。 感じるのはその音と、風の心地よさだけだった。 ……畜生。 その風は、なんだかやけに暖かくて、柔らかくて。 体中を包み込んでくるから。 慰めのようにも感じて、悔しかった。 でも、今、ここでなら―― 涙を流しても、風がきっと掻き消してくれるから……。 風の中で。 泣いた。