風を感じたから
独りで、なにもない、誰も来ないような空き地で、突っ立っていた。
そっと目を閉じる。なにも見えない。
ただ、風の吹き抜ける音が、耳を掠めていく。
……耳障りな、音だな……。
感じるのはその音と、風の心地よさだけだった。
……畜生。
その風は、なんだかやけに暖かくて、柔らかくて。
体中を包み込んでくるから。
慰めのようにも感じて、悔しかった。
でも、今、ここでなら――
涙を流しても、風がきっと掻き消してくれるから……。
風の中で。
泣いた。
独りで、なにもない、誰も来ないような空き地で、突っ立っていた。
そっと目を閉じる。なにも見えない。
ただ、風の吹き抜ける音が、耳を掠めていく。
……耳障りな、音だな……。
感じるのはその音と、風の心地よさだけだった。
……畜生。
その風は、なんだかやけに暖かくて、柔らかくて。
体中を包み込んでくるから。
慰めのようにも感じて、悔しかった。
でも、今、ここでなら――
涙を流しても、風がきっと掻き消してくれるから……。
風の中で。
泣いた。
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