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闘神の御娘(旧)  作者: 海陽
3章 東地方
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3-6 見つけたのは

剣術を習う傍ら、ミイドさんには算術もとい計算を教える日々。私の拙い教え方でも、彼はにこにこと文句も言わず師事してくれる。なんて出来た人なのか、この人は……全く。


『シノブさんの腕前は、もうそこいらの隊長にも引けを取らないだろうな』


師事している剣術も、最近はもろ本気を出さなければ相手に出来ない、とミイドさんが苦笑する。ミイドさんに褒められた事でもう気分もハイテンションですよ、ええ。嬉しいもん。でももちろん彼もそれでは終わらないわけで、今じゃ師事と言うよりお互いに高め合ってるって感じだったりする。そこに私は体術……蹴り技とかも織り交ぜてみたりした。そしたらミイドさんの苦笑が濃くなった。何故だ。


『不意打ちには丁度良いな、その技は』


蹴り技付きの剣術で彼に対抗して、その日の訓練を終わると頭を撫でられた。兄が出来たみたいで嬉しい、と俯いたままふにゃりと笑みが漏れてしまう。けどその瞬間、ミイドさんが顔を背けたことには気付かなかった。そして何故か皇雅が笑っていた。何か面白いことでもあったの?皇雅。



閑話休題。



東地方の森に入り数ヶ月。今日から紅涼らしく、夜が明けると一気に秋らしい風と気温になった。いや、本当に良く分からない気象だよね、オリネシアってさ。何でこんなにガラッと変わるのかな。不思議。ま、過ごし易いから良いけど。


ミイドさん曰く、大分南地方へ近付いたとのこと。結局、私達は東地方の関所には1度も行ってはいない。だって森の中って食べ物はあるし水もあるし、完全な自給自足が出来るんだもの。わざわざ関所に行く必要もない。

繁生だってキートもとい蚊の被害も少なかったし、強い日差しは巨木の木々が程よく遮ってくれるし、すっごい快適でした。ミイドさんの料理は更にパワーアップしたしね。


そうして紅涼に入ってからも快適且つ充実した旅を続けていたある日、ふと感じた水の匂いと微かな音に皇雅を止めた。


『どうしたんだ?シノブさん』


〈ふむ。シノブは気付いたか、流石は我のシノブだ〉


疑問顔のミイドさんと何処か満足気な皇雅。涼やかな水の匂いの方向へ足を向けると、近づく度に匂いは強くなり、音も大きくなっていく。……その音は、私にも馴染みがあった。


不意に森が途切れて切り立った崖が続く目の前の風景。ドドドドドドと轟音を轟かせて遠くでも存在感たっぷりに姿を現したのは壮大な滝、だった。荘厳なともたとえられるかもと思えるそれはまあ、ナイアガラの滝とは言わないけども見入ってしまうには十分で。音の正体はかなりの高度から毎秒何tだろうって水量が滝壺に落ちる音だったのだ。


『これは、凄いな』


『凄い滝……』


私とミイドさんが呟いたのはほぼ同時。何百mと離れているはずなのにその水量と勢いで生まれる風圧によって、私達の所まで水飛沫が飛んでくる。マイナスイオン飛んでないかな……自然ってやっぱり良いよね!と思いながら滝を見入っていた私が崖を見渡した時だった。



その仔達・・・・を見つけたのは。

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