表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闘神の御娘(旧)  作者: 海陽
序章 異世界 シン国
6/115

6 獣神と契約することになりました

〈……そうよの。獣神が人間を背に乗せると言うのは1度たりとも聞いたことは無いが、叶えてやれぬわけでも無い。やはりお前は面白い女子(おなご)だな。我と契約すれば叶えてやろう〉


ほれほれどうする?と目前に餌をぶら下げられて勧誘されている気分だ。だって明らかにこの神様面白がってるっ!


「うう……」


馬にも乗れる、言葉の壁も消える。でも……契約してしまったら、元の世界に戻れなくなる?この世界の神様が、元の世界に行けるはずないもの。


〈他に何が気掛かりなのだ〉


「契約したら、元の世界に戻れなくなるんじゃないかなって……」


〈そればかりは我にも分からぬな。お前がこの世界に来た原理が分からぬ以上、戻る原理もまた然り。原理が分かった所で、それが直ぐに実行に移せるとは限らぬ〉


「神様なのに?」


〈神とて万能ではない。分からぬ事もある〉


そう、きっぱりと言われて。清々しい程に神様も万能ではないと言い切られて、若しかしたら2度とじいちゃんの元には帰れないのかと悲しくなった。この世界で、私は独り。孤立無援の状態。だから……彼の言う契約を受けるしか、今の私には独りを避ける方法がなかった。


「分かりました。契約します」


〈そうか!〉


青毛馬のテンションがアップしたのは気のせいではないよね?


〈契約を交わすにはお前の真名(まな)を知らねばならぬ。イガラシシノブ、この名が真の名で間違いはないな?〉


「五十嵐忍が私の本名です」


〈うむ。シノブが我が名を与えれば契約となる。イガラシの名は我が物。他の者何人たりとも告げてはならぬ。真名を全て知られるとな、お前を通じ、契約者でなくとも我を操ることが可能になってしまうのだ。獣神個々が持つ能力をな〉


「わ、分かりました」


うわーっうわーっ!能力を操るって凄く大変なことじゃないの?!なんでそれを最初に言わないのよ!かと言っても契約すると言ってしまいましたからね、契約しますよ、勿論。まあ苗字を名乗らなければ良い話だよね?多分。

ふう、と嘆息1つ。目の前の毛並みから毛色、立っているだけで風格までもが見事な青毛馬を見つめ、たった1つ浮かんだ名前を口にした。


皇雅(おうが)


神の威厳を備え優雅な姿。稚拙な私の頭では、これ以上の良い名前を思い付けなくて。でも彼は。


〈オウガ……良い名だな。気に入った〉


とても喜んでくれた。直後、ちくっと右眼に痛みが走って呻くと、皇雅がふっと笑ったのが分かった。


〈その右眼は我との契約の証。他の者には金色に見えることだろう。我が目を見てみよ、それが分かる筈だ〉


え、と顔から手を離して皇雅の瞳を見ると、両眼が混じり気の無い綺麗な金色に変化していた。深紅の瞳も綺麗だったけど、金の瞳も綺麗……。


〈今ならその者達とも通じるのではないか?〉

『?』


視線を感じて振り向くと。


『おお、やっと言葉が通じたみたいだ』


『あんたずっと独り言言ってたけど大丈夫か?』


『あ……』


やっぱり独り言と思われてたのか。村人さん達からすれば痛い奴認定されてたりして?……そ、そんなのやだっ。


『あ、あれは独り言ではなくてですね。彼と話してたんですよ』


『彼?』


『はい。彼です』


そう言うと、ぽん、と皇雅の首に手を置く。その途端ざわっと村人さん達がざわめいたと思えば平伏していた。


『じ、獣神様っ。失礼致しました!』


〈良い。お前達に我が声は聞こえてはおらなかったのだろう〉


いや、違うでしよ。皇雅自分で言ったじゃない。私と話す為にここまで出て来たから、村人さん達には声は聞こえていないって。それって声を聞かせる相手を選べるってことじゃん?


『恐れながら獣神様。その人は……?』


〈我が契約者だ。契印もあろう?〉


深紅の瞳に戻っていたのに、また金色に変化する皇雅の目。成る程、好きな時に金の瞳に出来るってことなんだ。私を見やる村人さん達はひいっと息を飲む。『眼、眼が……』とか呟いてるのを見ると、多分私の眼も金色なのかな?カラーコンタクトで金の瞳になった自分を想像して見る……が、似合わない。黒髪に金瞳なんて変だ!絶対。


その後。


契約者だということで、にべも無く私への態度を恭しいものへ変えてしまった村人さん達に食料や水、1番近い関所を教えて貰った。そしてどうぞ、と差し出されたのは。


『これは?』


『先程、彼らを倒して下さった時の棒捌き。とてもお強いとお見受けしましたので、宜しければ護身用にお持ちくださいませ』


あのお兄さんに借りた木棒より、少し細くて硬い木材で出来たそれ。残念ながら『とても強い』わけでは無いと思う。だってじいちゃんに負けるし、この世界での強い人の基準が分からないし。その棒は大体1.2mくらいで、じいちゃんの道場で使っていた棒と同じくらいの長さだった。でも護身用に何か貰えるのは嬉しかったから、有難くもらっておくことにした。


関所にあの物騒なおじさん達のことを伝えておくね、と約束して、私達の旅は始まったのだった。

※活動の更新報告に獣神の説明(別々の更新報告です)を載っけてます。


http://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/297806/blogkey/887735/


深紅の瞳の皇雅は契印により金の瞳になりました。が、金の瞳なんてそうそうあるわけでも無いので目立ちます。(もちろん忍の右眼も)

だから普段は深紅の瞳、忍も元の黒眼です。皇雅が必要だと思えば自分と忍の右眼を金色にします。必要に応じて、獣神で有ることを隠す為に別色に見せることも出来るのです。

獣神と一般的な動物の違いは、目の色です。

深紅の瞳(とは言っても、馬は黒目のみの構成ですが)は獣神の証。元々赤目の動物でも、その違いは一目瞭然です。鮮やかさが別次元なので。

契約するとその目は輝かんばかりの金色に変わり、契約者の右眼も金色に変化し、それが契約の証“契印(けいいん)”となります。

因みに契約者の視力には影響ありません。片目だけカラーコンタクトしてると思ってもらえれば分かり易いかと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ