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闘神の御娘(旧)  作者: 海陽
3章 東地方
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3-5 森は植物の宝庫

『ミイドさん、良かったら使ってみる?ハーブと水が材料だから多分大丈夫だけど、こういうのって中には肌に合わない人もいるから』


『良いのか?せっかく作ったんだろう?』


『うん、良いよ。もう1回鍋借りるけど。付けてみて、痒くなったり痛くなったりしたらすぐ使うの止めてね』


そう言って彼にハーブウォーターを渡すと、嬉々と受け取ってくれた。そんなに喜んでくれたなら嬉しいけどさ、大したことじゃないのになぁ。……他にもハーブ生えてないか探してみようかな。

大したことじゃないとは思いつつもミイドさんが喜んでくれるのは嬉しいので、他にも作ってみるかなと欲が出る。本当、現金だなー私。いや単純、単細胞?……まあ良いや。その後私は自分の分のレモンバームウォーターを作り、旅のお供にした。制汗剤にはもちろんならないけれど、水浴び後とか、比較的蚊が多い日中とかに使っている。レモンバームとか、ハーブゼラニウムとかの匂いって、虫には嫌な匂いらしい。殆ど虫に刺されることはない。


ミイドさんは繁生の2月いっぱいをレモンバームウォーターありで過ごして、その効果に目を皿にして驚いたり歓喜したりしていた。彼曰く、繁生の2月3月が1番キートの被害があるそうなのだ。それが軽減どころか殆ど被害無しでひと月過ごせた事が信じられないんだってさ。良かったね。

そもそも蚊ってさ、汗のにおいに反応して寄って来るんじゃなかったっけ。こまめに水浴びとかで汗を消せば少しは軽減すると思うんだ。石鹸とかあればもっと良しなんだけど……流石に水を汚すのはいただけない。日本じゃ下水処理とかあるけどオリネシアは絶対にないだろうし。そもそも石鹸を見たこともない。この世界にあるのかな、石鹸って。



***



広大な森を更に進んで行くうち、私が知ってる植物が生えてるのを多々見るようになった。赤み掛かった茎に上部で密集して咲くピンクの花のヒヨドリバナに、対生の葉にハートの様な花びらを持つマツモトセンオウとか。

直径1cmの白くて小さい花のオオヤマフスマも見かけたし、スズランの花を大きくしたような花のヒメイズイもあった。薫花()に咲くはずのカタクリが生えてた時は驚いたのなんの。だって今は繁生()だよ?でも見れば見るほどカタクリな訳で。ハーブ程には生えないけど、群生してたからミイドさんと一緒に幾つかカタクリを採取した。このカタクリの鱗茎から採れる澱粉って片栗粉なんだよね。ほら、あのとろみ付けたりするやつ。


『凄いな。これでまた新しい料理でも作ってみるか』


……ミイドさん、何か料理人の科白みたいなのは気のせい?本職は武人だよね?武人で合ってるよね?でも、前世は料理人でしたって言われてももう驚かない。うん。だって凄くしっくり来るんだ、料理人の雰囲気が様になっててさ。


この森はとても広い。何せ東地方の半分を占める土地が手付かずの自然だ。だから当然と言えば良いのか、ハーブも結構見つかる。

手始めはあのレモンバーム。そこからローズマリー、ラズベリーリーフ、柘榴ざくろ、ペパーミント、タイム、アロエベラ、カモミール……凄いね、ハーブの宝庫だよ宝庫。原産地だって地球じゃユーラシア、南東アジア、中東、ヨーロッパと見事に分かれてるのにさ、オリネシアではそんなのは関係ないらしい。この分じゃもっと見つかりそう。


で、だ。

次々と知ってる植物が見つかる中で私が1番驚いたのが、チャノキ。日本人お馴染みのお茶の原料。いやもう、本当に驚いた。私が知ってる有名所は静岡とか鹿児島なんだけど、原産が日本じゃ無い事は知っていたんだ。でもさ、まさかここで、オリネシアで見れるとは思わないでしょう、普通はさ。


ミイドさん曰く、


『茶はあるにはあるが、俺達の様な地位の低い民や官職の人間には手が届かない高級品だ。飲めるのは上位貴族や王族ぐらいなものだ』


だそう。……落ち込んだことは否定しないよ、うん。だって!だって、お茶大好き人間なんだよ、私はっ。米と同じくらい大好きで、ソウルフードならぬソウルドリンクなんだよ?!茶の木があったらもしかしたら飲む機会もあるかも?って思うわけで、それが庶民には手が届かない高級品って分かった時の落胆具合を考えてみて欲しい。お茶好きの人なら分かってくれると思うんだ。きっと。


目の前に原料あって、なのにお茶が飲めないなんて口惜しい。非常に口惜しい。なので作ってみたいと思います!まあ、駄目元で。

お茶が高級品なのは、シン国ではお茶が取れないと思われている為、他国から輸入してるからです。



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