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闘神の御娘(旧)  作者: 海陽
3章 東地方
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3-2 これって固有種だよね?!

途中視点変わります。

東地方の原生林に入って1週間程経った。相変わらずミイドさんの料理は美味しくて、そのうち太るんじゃないか、って最近思う。で、毎日朝夕作るからかレパートリーが増えてるのだ。基本はスープだけど、炒め物とか蒸し物とか。やばいね、主夫だよ主夫。日本じゃキャリアウーマン達には引く手数多だよ、きっと。……そう言えばもう繁生の2月か。あ、私18になってたんだ。忘れてた。まあ良いけどね。高校は……退学だろうなぁ。仕方ないか、まだ戻れる方法見つからないし。


そんなこんなでどんどん森深くに踏み入れる私達。そんなある日休憩していた時、ふと視界に入った植物に目が止まり思わず凝視してしまった。


『どうした?』


『ん、いや、見間違いかも……』


『?』


ミイドさんの問いにも上の空で返事してしまう。……あれって、もしかして?いやいや、あれ・・は日本固有種じゃなかっけ。何故オリネシアにあるの?!と言うか本物なんだろうか。……そう、私が凝視した先にあったのは、何と竹らしき高身長の植物の群生。私達が居る場所から少しだけ木々に囲まれた所に生えているそれは、見れば見るほど竹っぽい。


『シノブさん?!ど、どこに?』


『ちょっと、ちょっとだけ。あれが凄く気になるの』


竹もどきを指してミイドさん達から離れる。近寄れば香る青臭さと言い、この節や見た目と言い……うん、竹だよこれ。指関節で叩けば硬い音がするし縦にびっしり見える繊維もそう。ただ、やけに太い気がするけども。

マグカップにも使えそうな太さもあれば、風呂桶に出来そうなものまであるそれ。


『ああ、バンブーラだな。深い森には良く自生してる』


いつの間にか隣に来ていたミイドさんが目の前の竹もどきに手を添え見上げていた。


『バンブーラ?』


『そう。少々青臭いし硬いから余り使い道は無いな。バムハにはこれを編んだ奴もあるとは聞いてるけど、それくらいだろう』


バンブーラ。バンブーラ……竹って確か、英語でバンブーだったような?って、ラを抜けばまんま竹じゃんか!


『……この森にあるものって、採取したらダメなのかな』


『ん?いや、駄目ってことはないだろう。森は誰の所有物でもないからな』


そうか。そうなのか、それは良いことを聞いた。……良し、このバンブーラを1本頂きます!



***



ミイドside


休憩中、森を興味深げに眺めていたシノブさんが1点を凝視し始めた。声を掛けても『見間違いかも……』とぶつぶつ。終いには俺と獣神様から離れてその1点へと腰を上げて行ってしまう。一体何があったのかと思えば、彼女が見上げていたのはバンブーラと言う群生する植物で。こいつ(バンブーラ)は深い森には良く自生してるやつだ。だが硬いし食物にも成らない、余り使い道の無い植物。ところがシノブさんは何故か瞳を輝かせ採っても良いかと聞く。森は誰の物でも無いのだから構わないのではと答えれば、嬉々として抜剣した。


『……はぁっ!!』


気合と同時に横に一閃。音を立てて倒れた高身長のバンブーラを、シノブさんは更にそこから等間隔に並ぶ節のすぐ下で輪切りにした。


『これ、こうやって使えば器になるんだよ。直火は弾けて危ないから駄目だけど、水を汲んだり皿代わりにもなるの』


それから、と倒したバンブーラを更に剣で切っていく。こうして使えばご飯も炊けるし、こうすれば水筒にもなるし、と次々使用方法を口にする。目から鱗が落ちるとはこう言うことなのか。『すいとう』なるものは何なのかはよくわからないが、水を持ち運び出来る物らしい。ライを炊けるとはなんとまあ。そんなに用途があったなんて驚きだ。


『バンブーラは日本に生えてる竹って植物とそっくりなんだ。この色と言い硬さと言い、青臭さや形まで。びっくりしちゃった、竹って日本にしか生えてない植物だと思ってたから』


……母国にあった植物が群生しているのを見て驚いたのか。それは驚くだろうな、異世界で見知った植物があれば。


『それじゃ、夕飯にはこのバンブーラでライでも炊いてみるか』


わあっと喜ぶ顔を見て俺も嬉しくなる。ライは民もよく栽培する主食だ。安価で腹持ちが良いライを見た時、シノブさんが歓喜の余り美味しい美味しいと逆に泣きそうだった。彼女の国では『こめ』と言う故郷の主食なのだそうだ。自分の『ソウルフード』だと力説された。『ソウルフード』はその人にとって日々の食事に欠かせない食べ物の事だと言う。もう食べられないと思っていたそれがまた食べられるなんて!!と感涙されたのだ。1つ1つ、小さなことでも感情豊かに喜ぶ彼女にもっと喜ばせたい、喜ぶ顔が見たいと欲が増す。だから俺は、男としては大半が不得手なはずで、殆どの男がやろうとも思わない料理に精を出すんだ。シノブさんが喜んでくれるから。

ライ:米。


オリネシアでは昼は結構軽く済ませます。ネイアでダナ少年と食べたバリ(トルティーヤもどき)みたいな。基本しっかり食べるのは朝夕のみ。

実はオリネシアに忍が来て、やっと1年経ちました。日本では恐らく19歳ですが、オリネシアでは年日数が違うので齢18としています。

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