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闘神の御娘(旧)  作者: 海陽
2章 北地方
27/115

2-17 怒っていいよね?ね?!

真っ直ぐ腹に向かって来るそれを横には避けれなくて、反射的にバク転2回転で幕舎から遠ざかり中を睨んだ。これは背を向けたらいけない気がする。


〈シノブ?!〉


皇雅の驚愕した声が聞こえた。と言うか、バク転なんて久し振りにやったよ!高1の体育の授業以来なんじゃないかな。この世界に来て、乗馬やおじさん達に絡まれることが日常茶飯事になって。否応無しに彼らを叩き伏せる事が多い。その所為なのか、体力や筋力が上がった気がするんだ。元々身体を動かす事は好きだったし、武術系の習い事が大半だったし。自慢じゃ無いけど、体育の成績は小学校高学年から高1まで全て5だった。クラスの女子で1番だったんだよ、いや、本当だからね?……って、今は語るに落ちてる場合じゃない。


『……』


遮光性が高いのか、薄暗い幕舎の中へ眼を凝らす。一体何が襲って来たんだろう?


不意に、ガチャッと何かが擦れる音がした。そして幕舎から出て来たその人は片手に剣を持ち、兵の詰所に居るにしてはラフな格好をしていた。その表情は驚きと楽しさが入り混じるもので。


『何だ、今の動き?!良く避けたな!お前みたいな身軽な動きを出来る者はそうは居ないぞ』


何故か称賛された。……誰?


『さて、2撃目はどうかな?』


『はい?!』


今、この人さらっと言ったよね?!何も言わずにいきなり攻撃しておいて『2撃目』?身体を横向きに、腰を軽く落として腕を引き構える彼。……ちょっと怒って良いよね?ね?!


私は背中の木棒を構えながら彼に向かい駆け出すと、彼の背中側から棒を横にふるった。ガッと即座に背に剣を回され止められたのは、やっぱりそういうの類の人だからなんだろうけど。でもよろめかせることは出来たから上々。よろめいた隙にガラ空きの脇腹を、思いっきり後ろ回し蹴りを食らわせてやった。仕掛けて来たのはそっちなんだから、これ位当然でしょう!


『お、おまっ!何だ今の?!』


叫ぶ声なんて聞こえません。ええ、聞こえない聞こえない。身体が凄く軽い。まるで身体が動きを覚えてるみたいに腕が、脚が動くんだ。


彼の持ち手を蹴り上げ、跳ね、胴を捻り回し蹴る。剣の腹で全て受け止められてしまうけど別に構わない。今は護身用の木棒も邪魔なだけだ。


「皇雅!持ってて!」


皇雅に棒を放り投げれば、口で器用に咥えてくれたのを視界の端で見る。


『ちょ、待っっ!』


『言い訳無用!先に手を出したのはそっちでしょうが!』


ぶんっと払われる剣。後ろに飛び退くと、私は柔道の対峙の構えを取り彼を見据えた。今やその顔から楽しさは抜け落ち、焦りが濃く出ている。そしてだっと地を蹴り彼に寄れば、剣を前に防御姿勢になる。その剣に向かって、私は飛び蹴りを放った。

ある角度を付ければ、強度が弱い物でも鋭利な物に勝つことが出来ることを私は知っている・・・・・

……え?何で、こんな事知ってるんだろう。


彼の手にあった剣は蹴りの衝撃で地面へと落ちる。湧いた疑問を後回しに懐へ入り込むと、襟を掴むことに成功した。


『終わりにさせて下さいね』


『……へ、あ?!ちょ、ちょ……っ』


慌てふためく科白をスルーし、私は彼に怒りを込めてにっこり笑ってやった。

忍は元々女子としては身体能力が高い類に入ります。そこへ武術系の習い事やオリネシアに来てからの乗馬や自己防衛の積み重ねにより、更にパワーアップ。

体育の成績が五段階評価でオール5だったのは本当です。しかし小学校高学年から、と言ったのには訳があります。理由は簡単、それ以前の記憶が無いからです。


そして対峙する際の角度云々の知識は、脳でというよりは身体で覚えていると言ったほうが正しいです。それらについては彼女の両親が関係しています。

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