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闘神の御娘(旧)  作者: 海陽
2章 北地方
19/115

2-10 懐かれるって嬉しいよね

『きゃーっ』


『待てー!』


『ね、ねーちゃん速すぎるっ!』


え?何してるのかって?

鬼ごっこしてるんだ。決して恐ろしいことをしてるんじゃないよ?


『って、うわーっっ』


『マドラヤ捕まえた!次鬼だからねー』


良い天気だから村の子供達皆で遊んでみようかな、って思ったら鬼ごっこを知らなかった。で、教えてみたら皆はまっちゃったから、私が鬼になって遊んでます、ええ。それも大人気無く本気で。

マドラヤは村で2番目に年上の、11歳の男の子。この世界じゃ19歳が成人なんだってさ。アズナのお父さんは23歳だったらしい、とは余談。そして私が成人してないと分かるとまた驚かれた。もー勘弁してよね。


きゃいきゃいはしゃぐ私達を見て、皇雅は苦笑。大人達はおろおろしつつも嬉しそうだった。


『契約者様に遊んで頂けるなんて……!』って言葉は聞こえてませんよ、ええ。聞こえない、聞こえない!



そう楽しく過ごしてても、最後には別れが来るもの。


『行っちゃやだっ!』


今現在、ぴとっとひっつき虫と化しているアズナを筆頭に、私には360度全方向から子供達に囲まれてる。


『ねーちゃんまだ居てよ!』


『もっといるのっ』


うーむ。凄く懐かれてしまったみたい。でもね、私も1日って決めてたし、シロムにも行きたいし。


『マドラヤ!』『ヒビリッ』


ああ、子供のお父さんお母さん達が顔面蒼白になってる。アズナの若いお父さんは言わずもがな。……う、動けんのだけどどうしたら良いの、これ?


シロムへの道程にどうぞお食べ下さい、と食料や水を貰い、いざシロムへ、と思った瞬間だったんだ。子供達に囲まれちゃったのは。


『……皆にまた会いに来るから。鬼ごっこ楽しかったねぇ。次来る時は、また皆で遊べるの探しておくね』


のほほんと言いつつ考える。だるまさん転んだ、とかケイドロ(……警泥だったっけ?)でも良いかな。色鬼いろおには色が少ないから難しいか。


『ヒビリー、次来る時までには咳は治しておいてね。じゃないと鬼ごっこで真っ先に鬼にしちゃうから』


『う、うん!』


『アズナは……』


1人1人に声を掛ける。一晩と半日過ごしただけだけど……ふっふっふ、人の名前を覚えるのは得意な方なんだよね。


『よし!皆にぎゅーってしてあげる!次いつ来れるかなんて分からないけど、お姉ちゃんのこと覚えててくれたら絶対会いに来るからねっ』


明るく言って、1人ずつぎゅーってしてあげて。マドラヤ達年上の子達は、ちょっと顔が赤くなってた。ませてるなぁ。


『絶対来てね!』


『約束だからっ』


『もちろん!』


漸く納得してくれたのか、渋々離れてくれた。大人達からは『獣神様方に幸多からん事を願っております』と恭しく言われた。そうして村人さん総出で見送られて、私達はシダ村を後にしたのだった。



〈随分と懐かれていたな、シノブ〉


「うん。また会った時、憶えてくれてるといいなぁ」


のんびり速歩はやあしでシロムへとの道を進む。うん、今日も良い天気。

忍は子供と遊ぶのが好きなようです。昔はよく、男の子に混じって遊んでいたくらいですから。


ここで季節について簡単な説明を。

オリネシアの年の数え方は先ず、日本で言う春、夏、初秋の季節しかありません。春と夏の間には梅雨に当たる時期があります。


1年間260日、1季節80日。梅雨に当たる時期は20日程。

春の季節は「薫花かげ」、夏は「繁生はんふ」。初秋は「紅涼こうりょう」。

そして梅雨は「潤水うるう」と呼ばれます。因みに日本の梅雨とは比べ物にならない雨量です。


うるう年……ではないです。また出た時には後書などで説明します。

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