三日目・午後・街を歩くと
お昼を食べ終わり、リリアも一旦帰宅した。ここをホームタウンにすることに決めた俺は、生活に必要なものを揃える事にした。まずは、生活において一番大事なもの。家である。
「ララ、不動産とかってどこにあるのかな…?」
「え?お家が欲しいんですか?」
「そりゃまあ、ここをホームにするんだし。家がないと生活できないじゃん?」
「ウチじゃ駄目なんですか?」
「…ウチって、ララっ家?」
「そうですけど…。駄目…ですかね?」
「いや、俺はその方がありがたいけどさ。ララはいいの?一緒に住むんだよ?」
「もちろんです!」
一番大事なものが、一番早く決まってしまった。今更ながら、ララは俺に良く懐いてしまったようだ。
続いて生活用品。食器が主だが……
「食器、ウチにありますよ?」
ベッドとか……
「昨日まで寝てたじゃないですか」
じ、じゃあ服とか?
「確かに服はないですね。服屋ならすぐそこです!」
よかった。ララの家にあるもので、全て事足りるところだった。流石に何から何まで全部お世話になるのは、こちらとしては申し訳ない。…いや、服買って申し訳なくならない訳じゃないか…?
「とりあえず、冒険に出ても大丈夫そうな……?ララ、あれは…」
「…⁉︎ ロッドさん!ダメです!あれに関わっちゃ!」
城の方へと向かう一個隊の列が気になったのだが、ララが妙に小声になった事で余計に気になった。
「…あれは?」
「きっと隣国から来た、奴隷商人の列です。
ウチの王様は、買う気ないみたいですけど…隣国の王様はどーしても買わせたいらしくて」
「奴隷商…。マジでいたんだな。同じ商人として、許せねぇな」
「え、ちょっとロッドさん?何をしようとしてるんですか?」
「もちろん、助けるんだよ」
「あ、あの…もしかしたら…その、もう助からないかも…です」
「なんでだ?」
「隣国と言っても、かなり距離がありますし…。しかもかなり険しい道のりです。その間にも調教されて、拷問されて、酷い時は全員の奴隷が…その……」
「もういいよ。それ以上言わなくても」
「は、はい…」
詳しく語ろうとすればするほど、ララの表情がどんどん曇っていく。自分で語った事を想像して、怯えているようだ。
「なんか気分悪くなったし…今日は帰るか」
「そ、そうですね!そうしましょう!」
本当に最悪の気分だ。自分と同じ仕事をしている人間が、人を商品として売っている。その事実を再確認した事によって、心の底がドス黒く渦巻き始めていた。