十日目・朝・久々に
やっと帰って来た。それが今の感想だ。
一日だけだったのに凄く長い間出かけていた気がする。一日ぶりに見るレミアの顔がとても安心できて落ち着く。
「お帰りなさいませ旦那様。皆様もお帰りなさいませ」
「あぁただいま…」
「あぁ〜この感じ、落ち着くわねぇ〜」
ルナもすっかりこの家に住み着いてしまった。当分は自宅に帰るつもりはないだろう。それに、瞬間移動の魔法があるだろうから帰ろうと思えばすぐに帰れるはずだ。本当に便利だ、魔法ってのは。
「旦那様、国王から伝言がございます」
「国王から?また鉱山資源の調達の話か?」
「いえ、旦那様が使用された採掘地には、既に採掘部隊が何度か訪れているようです。鉱山資源についての心配は無いと思われます」
「じゃあ何なんだ?」
「なんでも王女様からの要望で、【パルリスの樹液】を取って来て欲しいと…」
「なるほど…。久々に商人らしい仕事じゃないか」
自分で言うのもなんだが、最近商人らしい事をしていなかった気がする。俺の本職は商人であって、騎士でもなければ雇われ番人でもない。
〜
【パルリスの樹液】
北西部に多く分布。木材として使用する事はほとんどない。樹液は美白効果が期待できる。
〜
「って文献に書いてあるな」
「なるほど。王女様はお肌を気にされておられるのか」
「美肌ってやつ?それなら聖水で保湿でもしてなさいっての」
ルナの言う聖水ってのがどれほどの美肌効果があるのか俺には分からないが、流石 他の地域からやって来ただけあってか、リリアとの忠誠心の差が見受けられる。
「とりあえず、採取だけ行ってくるよ」
「え、もう行くんですか⁉︎」
「もう少しお休みを取られてもよろしいかと」
「いや、仕事はさっさと終わらせたいからさ。それに、後でゆっくりできた方がいいじゃん?」
ゆっくり休んだのに、その後で仕事をするのは気が進まない。「嫌なことは早めに済ませる」というのは祖母が良く言っていた口癖のようなものだ。祖母によく懐いていた事もあってか、その精神は俺に受け継がれている。早めに仕事をしたい理由はそれだけではない。久々の商人らしい仕事に胸を踊らせている。すこしワクワクしているのだ。
「じゃあ、行ってくる。今日の夜には戻れると思うけどね」
さて、パルリスの樹液以外にも良いアイテムが採取できるか楽しみだ。




