九日目・午前・来訪者
和の国には何かと縁がある。
俺の祖母は和の国の出身だし。俺の愛刀も和の国の品だ。一年近く和の国に滞在した事もある。知り合いも割と居ると思っている。それと…
「お前、スズ…?」
「お久しぶりです。ロッド」
王国の中心からすこし西に逸れた所。それなりに大きい俺の屋敷に、珍しく…いや、初のお客様。それは俺の古い友人だった。
和の国の人間。彼女の家は、一部では有名な大地主である。大きな田畑をいくつも所有している。つまり、ちょっとしたお嬢様だ。
「スズ、お前どーしてこんなところに…。仕事はどーした?」
「長期休暇を頂きました。貴方に会うために」
「……俺に?」
「はい。ぜひお力お貸しして頂きたく…」
「ロッドさーん。お客様ですよねー?」
「あぁ…。ララ、うちに上がってもいいよな?」
「はい。構いませんが…?」
燭隠の謎の力で昏睡状態にあったララも、昨日退院した。病み上がりだが、もうすっかり元気である。
スズとは古い友人だと言った。しかし、スズとの思い出は良いものばかりではないのだ。
この少女からの知らせは、だいたい良い物ではない。八割は悪い知らせだったりする。この愛刀の件も、スズが関わってくるのだが今は置いておこう。
「それで…何があった?」
「はい。簡潔に説明しますと、村が荒れております。どうか助けて下さい」
「随分と簡潔だな」
「すみません。しかし簡潔に説明しますと言いましたし…」
またしても良い知らせではなかった。祖母の祖国が荒れているという。ばあちゃん子であった事もあってか、すこしムカムカする。一体、和の国に何があったと言うのか…?
「事の発端は何だ?」
「ウチと役人のイザコザです…」
「……は?」
素で「は?」と言ってしまった。いや、だって何だよそれ。イザコザで村が単位って。どんだけでかいイザコザだっての。
「どうか…共に戦って下さい」
「今、"戦って"っていったよな⁉︎」
「…あっ」
「あ、じゃねーよ‼︎ バレてんだよ‼︎ 今度は何したんだお前の親父さんは‼︎」
「あ、あのぉ…ロッドさん?そんなに大きな声を上げなくても」
「旦那様。お客様に失礼です…」
なんか一方的に俺が悪くなってるけど、決してそんな事はない。と、思っている。
だってこいつの親父はヤバイ。誰がどう見てもヤバイ。何をどうしたってヤバイ!
「さぁロッド!事は急を要します!早速和国に向かいましょう!」
「え、ちょ、まった…‼︎」
その手を強く引かれ、無理矢理に外へ出された。まさかあのヤバイ野郎に会いに行くことになるとは……。




