七日目・昼間・線を越えに
「なぁルナ。お前何しよーとしてんの?」
「いやぁ、思ってたより早く新しい魔法を使うタイミングが来たなぁと思って」
ルナは俺を部屋に呼び出し、何やら怪しげな手つきで印をふむ。謎の葉っぱと謎の石。それに、いつ持ってきたのか分からない愛用の水晶と、その座布団。おそらく魔法の制作に必要なのだろう。それにしたって俺みたいな初心者から見たら、黒魔術か何かの儀式にしか見えないが。
「ほいっ!やっちゃえー☆」
ルナが魔法を唱える。すると俺の視界は白に包まれた。いったい何の魔法なのだろう。俺に見せたいようなものらしいが。と、ここまで考えてふと気付く。なにやら俺の体に異変が起きている。絶対におかしい。ルナのヤツ、俺に魔法をかけやがった。しかも得体の知れない魔法で、正しく発動するかもまだ分からないのに。
一筋の光が部屋を包む。
「……どーなった?」
俺は誰に問いかけるでもなく、ただつぶやく。しかし、その声はどこからも聞こえてこない。正確には違う。別人の声がするのだ。俺の声ではなく、少女の声が。
「やった!成功だよ!」
ルナが魔法の作成に成功したことを喜んでいるが、俺にはよく分からない。俺はどーなってんだろう。さっきの少女の声はどこから?
「なぁルナ。この魔法…まさか」
「そう!性別を転換する魔法だよ!」
「てめぇルナ‼︎ 何してやがる‼︎」
これはやられた。まさかこんなことになるとは。俺は女になってしまったようだ…。声色も随分と変わってしまった。本当に自分の声ではない、誰か別の少女の声のような。
「どーすんだよこれ。いつになったら元に戻るんだ?」
「んー……いつだろうね」
かなり無責任だ。全く信頼できない。もし元に戻らなかったらどうするつもりだろう。まさか一生このまま…なんて考えたくもない。と言っても、どうせ何かしらの魔法で元に戻るのだろうが。
「でもさでもさ〜。ロッド、女帝の国行くんでしょ?」
「 ⁉︎ 」
「これならバレずに入れるんじゃない?」
「おぉ‼︎ お前、たまにはいい事考えるじゃんか‼︎」
「でしょでしょ‼︎ 我ながら完璧だと思うもん」
思い立ったら即実行。
服装については少し考えたが、体のラインからして女性に見える。いつもの服のままで問題なさそうだ。どちらかと言うと、女性であっても植物の採取は許されるのか?と言う事だ。俺が狙っているのは結構高額なキノコ、万能性の高い薬草、その他もろもろ。これらを採取するのを見逃してもらえるか。これが一番の問題かもしれない。
とにかくあの境界線を越えなければ話にならない。実施に確かめに行こう。




