表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議な商人さんのお話  作者: 茶之間 蜜柑
15/45

五日目・午後・特訓

剣と剣とが交差する。響き渡る金属音と、弾くたびに飛び散る小さな火花に、思わず顔を(しか)める。払っても、弾いても、押しのけても、いくら反発しようとも、相手は執念深く対抗してくる。それだけ本気なのだ。彼女の剣は、受けるのではなく、受け流す方がより良い回避だと感じた俺は、攻撃されるたびにその剣を受け流す。その都度彼女は新たな角度から攻撃を試みる。


「リリア。だんだん雑になってないか?」

「ハァ…ハァ…。そんな事はない。しかし、こうも当たらないとムカムカしてくる」

俺達は実剣(じっけん)で特訓している訳ではない。実剣なら、当たった瞬間大怪我である。そのためこの特訓には、ルナの魔法によって作り出された虚剣(きょけん)を使っている。この虚剣、当たり判定もあり、当たった部分は麻痺するのだ。特訓するのに実に便利である。当のルナはと言うと、ララと一緒にこの特訓を観覧している。傍のベンチでのんびりこちらを眺めているのを見ていると、こちらものんびり気分になる。


「隙あり‼︎」

「っ、残念!」

リリアの不意の攻撃もギリギリで避け、こちらの追撃。剣に両手を添え、下段からすくい上げるように斬り込む。リリアは頬を擦りながら、なんとか(かわ)し右手に構えた剣をフルスイングでこちらへ斬り出す。俺も頬を擦ったが、なんとか回避する。斬撃が交差し、金属音が木霊する。なかなかの攻防に苦戦しているリリアを見ると、やはりこちらが優勢かと再確認する。


「そりゃ」

「…っ⁉︎」

「はい、終わり」

最後は俺がリリアの上段をスレスレで横へ躱し、背中を一発。あっけなさ過ぎただろうか。お互いかなり疲れていたし、一旦打ち上げたかったのだ。


「…やはり、ロッド氏にはまだまだ敵わないようだ」

「そうか?こっちはかなり疲れたけど…」

「二人ともー!終わったのー?」

「休憩〜。流石に疲れたよ」

ルナが声をかけ、うたた寝していたララが目を覚ます。相当暇だったらしい。


「…あ、ロッドさん。お疲れ様です」

「あぁ、お疲れ。ララも暇だったろ?」

「そ、そんなこと無いですよ⁉︎ただ、昨日あまり寝てないので…」

「そー言えばそうだな」

確かに昨日は、夜遅くまで仕事をして朝帰り。そして、現在お昼過ぎだ。睡眠時間は結構少ない。しかもララのお年頃だと、成長期だろうに。


「旦那様方、シャワーの用意が出来ていますよ?」

「おぉ!ありがとうレミア」

レミアが気を効かせて、汗だくの俺達にシャワーの準備をしてくれた。早速この汗を流すとしようか…



流石に女性の入浴時に侵入、などというハプニングで俺の名誉を汚したくないので、レディーファーストとして、リリアを先に入れてやった。これでもう酷い目に会う事はないだろう。女性の入浴後と言うのも少し緊張するが…。そんな事を考えていると、変な気分になって来るので、タオルを巻き、早々にシャワーへ向かう。俺は湯気を気にしつつ、ゆっくりドアを開ける。


「じゃーん♪」

「……。」

俺はそっとドアを閉めた。


「ちょっと⁉︎なんで行っちゃうのよ‼︎」

「ったりめーだろ‼︎なんでお前が居るんだよ‼︎」

「ロッドが来るの待ってたからね♪」

「それはアカン。それだけは…」

リリアの入浴後、既にルナがスタンバイしていた。タオルを巻くという入念な準備の下、俺を貶める罠を張っているのだ。


「ねぇ、みんなリビングに居るし、バレないよ?」

「そーゆー問題じゃねぇ‼︎ってか、お前は何しようとしているんだ⁉︎」

「もちろん、体の洗いっこ」

「もう駄目だ。もう手遅れ…」

ルナの発想が俺の考え通りなのは、それに対応できるという点では救いだった。俺の考えの斜め上を行っていたらもうおしまいだ。


「隙あり〜!」

「ぉわあ⁉︎」

ルナが俺に抱きついてきた。タオル越しとは言え、ほぼ全裸の男女が抱き合うと言うのはかなり来るものがある。


「えへへ〜。どぉ?それなりに良い体してるでしょ?」

「やめろ…マジでそれ以上は駄目だ…マジで許して…お願いします…」

最後は完全に声が震えてしまっていた。それだけマジなのだ。しかし、その声はルナにとっては勢いを加速させるものとなった。


「ロッドって面白いよね〜。ここまでしてんだから正直になればいいのに♪」

ルナは俺の太ももを下からなぞるように撫でまわす。もう無理。この状況は打破できない。


…もう、なるようになれ…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ