五日目・早朝・雇いましょう
「いやぁ、王にも納得してもらえたし、一件落着だな」
「本当ですね!…足、病院に行かなくて大丈夫ですか?」
「ん?このくらいなんとも」
「ロッドぉ!病院行ってきなって!」
「お、おぅ…。じゃあ行ってくるわ…」
王国へ帰ってきた俺達はそれぞれ休息を取るため、家へと帰宅する。ルナに関してはウチに泊めてやる事にした。
俺は俺で、ルナに勧められたので病院に行くことにした。しかし、理由としては検診を受けるわけではない。ルナには悪いが、あの奴隷の子の様子を見るために行くのだ。先ほど国王へ報告した際に、兵士の人に
「奴隷の少女が目覚めたようですよ?」
と教えてもらったので、念のため挨拶に行こうと思ったのだ。しかし時刻は午前4時過ぎ。まだ朝も早く、一度目を覚ましたとは言え、再び眠りに入ってしまったかもしれない。
少女が入院しているという病室の前まで来た。ドアの隙間からかすかなロウソクの光がもれている。もしかしたらまだ起きているかもしれない。静かにノックをし、入室の許可を得る。
「…?どうぞ」
「失礼しますよ。ごめんね、こんな時間に」
「あの…どうされたんですか?病院の人じゃなさそうですけど…」
「いや、君の容体が気になってね…少しでいいからお話できればと思って」
この言い方だと、この子に気があるように聞こえるが、別段そういう訳じゃない。確かに綺麗な容姿だけど…。
「あの…もしかして、私を助けてくれたっていう人ですか?」
「あぁ、その話もう聞いてるんだね」
「あ、ありがとうございました!私みたいな奴隷を助けて頂いて」
「うん…。本当は他の皆も助けたかったんだけどね…」
「…いえ、それは仕方のないことです。皆、この国に入るだいぶ前には意識がなかったですし…」
「…そうか。君は、これからどーするの?」
「…親もいませんし、国に帰ってもまた捕まるだけ…。この国で仕事したいですけど、なにしろ元奴隷ですし…」
「そうか…。ならさ、もしよければだけどウチで働かない?」
「ウチで…と言うと?」
「俺さ、国直属の商人やってるんだけど、家を開けること多いと思うし、メイドさんみたいなことしてくれたらありがたいと思って」
ぶっちゃけた話、メイドや執事、召使いが欲しいのは本当だ。(王様の召使いの影響を受けたのもあるかもしれない…) しかし、正式にメイドさんや執事さんを雇うとお金がヤバイ。そこでこの子に頼んでみようという、セコい手を使っているのだ。もちろん「嫌だ」と言われればそれまで。問い詰める気はない。ララには悪いが、大好きな冒険を控えてもらって家で留守番を頼むことになる。
「わ、私なんかがそのような仕事をしても良いのでしょうか⁉︎」
「うん。むしろその方が安k…いや、メイドさんを探す手間が…いや、えと…」
「本当に私でいいんでしょうか…。やはり元奴隷のメイドが居るなんて近所に知れたら…」
「そんな気にしなくても…。あと、給料の件なんだけど…」
「き、給料も出るんですか⁉︎」
「う、うん。おこずかい程度になるかもしれないけど…。その代わり、部屋を一つと毎食付きで……どう?」
「住み込みって事ですか⁉︎ ダメですそんな‼︎」
「え、やっぱりもう少し給料出さないと嫌かな…」
「いえ、むしろありがた過ぎて…本当にっ…そん、な…仕事をもっ…らっても…うぅ」
「うわぁ⁉︎ 泣かないでくれ‼︎分かった、もっとお給料出すから‼︎」
話が噛み合っていないことに気付いたのは数分後であった。




