四日目・夕暮・ダンジョン開始
「お待たせしました、ロッド氏。…そちらの方は?」
「カクカクシカジカ…」
「なるほど、よろしくお願いします。ルナさん」
「よろしくね!でもロッドは渡さないわよ?」
「…何の話ですか」
「本当だよ…。さ、早いとこ仕事終わらせて帰ろうぜ。じゃあララ、行ってくるよ」
俺は、リリア・ルナと一緒に鉱山地帯へ資源を採取しに行くことになった。王直属の命令である。早めに終わらせて、王の期待に答えなくては…
「あ、あの…ロッドさん」
「ん、何?」
「わ、私も…ついて行ったら、駄目…ですか?」
「ララも一緒に…?」
「危険なのは分かってます。でも、冒険とか、やっぱり憧れで…」
「……。俺はいいけど…」
「私も大丈夫ですよ?」
「納得いかないけど、ロッドがイイって言うならいいわよ」
「だってさ。よかったな」
「本当ですか⁉︎ ありがとうございます!」
ララは満面の笑みを浮かべて、喜びに満ちている様子だ。浮ついた状態が、一番危ないのだが、まぁ何とかなるだろう。なにせリリアという頼もしい姉御肌がいるのだから。
「さて、準備出来たなら早速行こうか」
「あれ、転移魔法は使わないんですか?」
ララは首を傾げ、不思議そうにルナに質問した。
「あれ、連続して使えないのよ。ダンジョンの帰りには使えると思うけど」
「なるほど…」
「ロッドだけならぁ、頑張って飛ばしてあげない事もないけど?」
「うるせぇ、早く行くぞ…」
「ちょっと、邪険にしないでぇー!」
〜
馬車を使い1時間半。鉱山地帯にやって来た。採掘場のように整備され、隣国の人々が、せっせと作業している。
「さすがにここでは採掘できませんね」
「隠密に、とのことでしたし…」
「どーすんの?ロッド」
「山の裏に回る。そこで極秘に採掘口を作る」
この際、採掘口を作っておけば、次の採掘が数段楽になる。今のうちに作った方が効率もいいだろう。
「よし、穴開けるのは任せて。あとは、帰りの魔力温存の為に休憩。三人で掘ってね」
「はいはい。なるべく奥まで開けてくれよ?」
「大丈夫ー!私に任せなさい!」
俺達一行は隣国の人に気づかれないよう、山の裏手に回りこむことにした。行きに使った馬車は、もう帰ってしまったので、ここからは歩きである。非常に面倒だが、仕方ない。30分も歩けば裏手だろう。
「ルナ、隠密魔法とかないのか?」
「あるけど、使ったら帰りは徒歩だよ?」
「お前、そんなに魔力少なかったっけ?」
「何言ってんの。約1万kmを3秒で飛んだのよ?結構しんどいんだから…」
「それもそうか、ごめんな」
「いいのよ、謝んなくても♪」
「(なんかあの二人、すごくいい雰囲気じゃないですか?)」
「(とろとろしてると、取られてしまうぞ?)」
「(な⁉︎ 何言ってるんです⁉︎)」
「(誰が見てもバレバレだ。ロッド氏の事、好きなのだろう?)」
「(え、えと…その…)」
「(可愛いな、ララは)」
「(からかわないで下さい!)」
各々が会話している間に、おおよそ鉱山の裏手にやって来ていた。本来ならここで地道に採掘口を広げるのだが、ルナの魔法を使えば数秒で穴があくだろう。
「はいはーい。やっちゃいますよぉ?」
呪文詠唱なんてものはない。それらしい仕草をするだけでルナの指先に光が灯る。本人曰く、このくらい詠唱無しが普通らしい。ルナが魔法を発動すると爆音と共に壁面に穴が……。爆音…?
山の反対側。隣国さんの方から起兵の合図が聞こえる。やはり今の音で、こちらの存在がバレたのだ。
「おいぃ!何してんだよ!」
「やっちゃった…てへっ♪」
「その笑顔で許されると思うなよ?」
とにかく、隣国の兵が来る前に撤退しなければ…




