四日目・午後・あの少女、この少女
現在俺とララは、急なお引越しの準備をしている。国王からいただいた大きな屋敷へ二人で移るのである。本当は俺だけでよかったのだが、ララがどうしてもと言うので連れて行くことにしたのだ。屋敷も大きく、俺一人では持て余すだけだし。この屋敷の隣には、王宮に配備されている病院があり、そこの使用許可もおりている。俺が素材採取から帰還した際にはそこを使わせてもらえるのだ。
そして、現在はそこに"あの少女"が入院している。
「あの子…大丈夫かな…」
「あの子…?」
「ん、あぁ、奴隷の子だよ。酷い怪我だったし回復にはもう少しかかるかなって」
「奴隷の子って…女の子ですか?」
ララがムスッとした顔でこちらを見てくる。俺は何か仕出かしたのか…?この件に関して俺は何も悪くないという結果になったのではなかっただろうか…。
「う、うん。女の子だったけど…」
「けど…何ですか?」
「いや、ただの女の子だったよ。うん」
とりあえずこの場はおさめて、荷物運びを続ける。早めに終わらせないと、次の仕事が詰まってしまう。
〜
「一通り終わったかな…?」
「そうですね!…えと…この後どーするんですか?」
「王様からのお使いだからなぁ…。早速行ってこようと思ってるけど………」
「? けど…何ですか?」
「鉱山資源回収は、少し難しいダンジョンになりそうなんだ」
「そうなんですか?」
「採取する場所。それが、俺がやらかしたお国のすぐ隣の鉱山。俺の情報は既に向こうにも渡ってるはずだし…戦いになる可能性もあるし、そもそも俺には鉱山資源の採取経験が少なすぎる。王の納得行くほどの仕事が出来ない事も考えられる…」
「そんな…じゃあどーするんですか?」
「仲間を連れて行く。それしかないな」
「仲間…?」
仲間。俺の仲間と呼べるヤツ。今ここに呼べるのはリリアと、あとはアイツくらいか。でもアイツ…今どこにいるんだろう?
俺は愛用している大きな背負い鞄からゴソゴソと魔具を取り出す。遠距離通話用魔具 (現実世界で言う、ケータイである)。アイツの事を頭に浮かべ、通信先を定める。
「通信魔具⁉︎ ロッドさん、そんなものまで持ってるなんて!」
「まぁ、なんやかんやあるしね」
通信相手は通信開始から2秒で応答した。早すぎる。いくらなんでも早すぎるだろ。
『はぁ〜い、ロッド?何々、今度は何すんの?"もし"鉱山資源回収なら任せて』
「"もし"じゃねぇよ。どうせ透視魔法で俺の状況分かってんだろ?」
『何それ!私ストーカーみたいな言われよう!』
「半分当たってるだろが…。まぁいいや、状況分かってるならOK出るか?」
『勿論、今すぐ向かいますよ旦那ぁ!』
お調子者のストーカー…。救い用のないヤツだ。根はいいヤツなんだが…どうしてあんなに残念な仕上がりなのか…。
「あとはリリアだな…」
「えと…誰とお話されてたんです?」
「知り合いの魔女さ。すぐ来るってさ」
「すぐって…そんなに近くにいるんですか?」
「いや、多分アイツの家だったろう。水晶で透視魔法使ってたらしいし」
「家、近くなんです?」
「かなり西の方」
「じゃあ、すぐ来るって…」
ララが言い終わる前に、俺達の前に突然人一人分の大きさの光が灯った。薄い緑色の、少女一人分の光が。その光に見入っていたその時、突然その光が爆発し、砂煙をたてている。
「じゃーん!ルナちゃん参上!お待ちでしたか、旦那ぁ?」
「はいはい。早かったですよ…」
ララは驚き過ぎて尻もちをついて、目を大きく見開いている。初めてコレを見る人はだいたいこうなる。俺もなったし。
「貴方ね?ロッドに最近寄り添ってる女の子は。駄目だよ?ロッドには許嫁がいるんだから」
「い、許嫁⁉︎」
「おい、それは誰の事をいってんだ?」
「もちろん、私☆」
「ふざけんな!勝手に許嫁疑惑作ってんじゃねぇよ!しかもそのネタ、三回目だろ!」
「そうだっけ?まぁいいじゃん!楽しいしね」
「こっちは楽しくねぇよ…。ごめんなララ。こいつ面倒な性格だから。おまけにポジティブ&マイペースで」
「マイペースってもっとのんびりなイメージありました…」
「面倒な方向にマイペースなんだ…」
とりあえずこの場の収集をつけ、リリアを呼びに行きたいのだが…。




