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恋夢  作者: 夢楽庵十夢
1/4

 1 その日

東日本大震災

あの当時、メンタルに直撃した事件です。


おそらく

それまで抱えて胸の奥に蓋をしていたいろんなものが、このとき口を開けたんだと思います。

その後、メンタルを病んで1年休職

上司や同期の同僚からの言葉は、ズレて口を開けた蓋を開けるきっかけだったんだろうと思います。

《 朝 ~いつもと違う夢~ 》


いつも一緒だよ


あたしたちは


透明感があって、でも心に直接飛び込んでくる、例えて言うなら川のせせらぎの音。

声はあたしたちを幸せに包んでくれる。

『いつまでもいっしょですよ…』




広い小学校-

校門の右手に、古い古い大きな陣屋門。

その前にあたしとあいつが手をつないで立ってる。

そして門の中にいる綺麗なひとが、にこにことあたしたちを微笑んで見てる。

おばあちゃんがその人を毎朝拝んで、あたしたちはその後ろに揃って立ってわけも分からず拝んでた。


いつ頃?何回目?

小さいときから、この夢を見ているときあたしはいっつも他人事みたいにそんなことを考えてる。


あいつ…誰だっけ?


高校生くらいのとき、降ってきた疑問。

いとこのお兄ちゃんでも近所の友達でもない。


だれだっけ…


記憶は忘却の彼方…なぁんて言ってみても、単純に忘れてる小学校のときの友達だったよね?


でも「いつまでもいっしょですよ」とあの綺麗なひとは言っていた。



そんな奴がどこにいる!



と叫んで最近は夢からさめるはずが、今日はちょっと違った。

綺麗なひとが何か言ってる。

緊張した硬い表情であたしになにか言ってる。


何?えっ?


『気をつけて…』


声が聞こえた?

気をつけて?

何に気をつけろって言うの?




三月になってもまだ春はちょっと先の話なんだろうなって、起き抜けのぼーっとした頭で考える。


「さっむ~~」


この夢の話は誰にも話してない。

だってあたしのキャラじゃないしね…って、あたしだって二十歳過ぎたけど乙女だぞ!


どこが!


自分で自分にツッコんで…はい、朝の恒例行事終了。


明日はこの大学のある水戸から実家の石岡へ戻んなくちゃだったんだ…大好きな推しのカレンダーをみる。


「三月十一日、金曜日っと」


声に出した息がまだ白いんだ…来年は暖房器具増やさなきゃ生きてゆけないなぁ(笑)

パーカーを羽織ってトイレ、洗顔。

今日はスッピンでいいでしょ!

いつもスッピンみたいなもんじゃないのと友達は言うけど…

あんまりべたべたつけるのってか、ツケマとかめんどくさいし。

窓から日差しが差し込んでる。


「さぁて、ともかく洗濯だけはやっつけとかなくちゃね♪」


声に出して気合入れて活動開始~~~☆





《 昼 ~胸騒ぎ~ 》


夢見が悪いとはこういうことかな?


今朝起きたとき、見た夢を鮮明に覚えてた。

同じ夢をときどき見るけど、それ以外はほとんど起きたときには覚えてないんだよな…


ってか夢見た覚えすらないんだよな。



見覚えがあるようなないような、でもすごく大事な人が、俺に向かって手を伸ばして助けを求めてた。

無音の夢だったけど、彼女の悲鳴に近い声。

この人は『大事な人なんだ』と俺の胸に突き刺さるようにわかった。

俺たちの周りは火に取り巻かれて、何かに追いかけられてた。

俺は重い鎧を着ていて、彼女は白い着物と鉢巻して…



戦国時代?



ゲームのやりすぎかな?とも思うんだけど、この夢困ったことに中学くらいから時々見る。

俺たちの行く手に十二単姿の女の人がいて、桧扇でこっちへ来いって差し招いてるんだけど…

俺が手を引いて走ってると彼女がつまずいちゃって…

もう一度つなぎ合わせようと俺が振り向むと、彼女が倒れたまま必死で手を伸ばしてる。

つなげたのかダメだったのか、いつもそこで目が覚めるからわからないんだけど今朝は違った。


「確かに手をつなげた、よな?」


で、いきなり小学生の頃見た風景がカットイン。


「なんだったんだろうな」


いつもと違う夢の結末になんか落ち着かないんだよなぁ…

大学まで来たけど、なんとなくいつもみたいにみんなと騒ぐ気がしなくてサボってるし。


そして昼過ぎ…

「食いすぎたぁっ!」

と能天気にしていたあのとき、世の中が捻じ曲がった気がした。



【続】


茨城県石岡市


そもそも茨城県は有名で有力な武将があまり排出されなかった地域ですね。

そこにある「恋瀬姫」の伝承を基に、これを書いたんです。

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