これで7回目ですから。
アリッサは真面目な学生さんでしたから。
「全学年の試験を全て満点ですって。本当ですか」
まだ、若いが教養の教師であるホーリーは机に並べられている試験の答案用紙の一枚を恐る恐る手に取った。
学園に通っていないアリッサが、暇だからと言うふざけた理由で受けた試験の結果に学園の教師達は驚愕していた。
だが、多くの教師達が見ている、と言う不正など出来ない状況で解答していたことを知っているから文句など付けられない。
今年の新入生は優秀なものも多く、教師達は喜んでいたが、その上を行くものが魔法使いの塔に所属している事に呆然としている者もいる。
「どうして……」
ホーリーが呆然としながら呟くと
「魔法使いの塔でも此処と似た様な教育を実施しているからな。魔法馬鹿じゃ王侯貴族達に足元を見られる」
ファルシオンがなんでも無いことの様に言うが、この学園は国最高の教育機関を自負している。
「私たちの認識が古過ぎたのですね。幼い頃から魔法使いの塔に所属している方達は偏った知識しか無い、なんて思い込んでましたわ」
ホーリーの言葉に教師達やその場に居た生徒達が頷いた。
「なんて素晴らしい令嬢なんだ」
マロウが頬をうっすら赤くしながら、うっとりとした顔で今回の試験の問題用紙を見ている。
「何かあったのか?」
エリンジウムがモルセラに問い掛けると
「アリッサ嬢が全学年の試験を満点で解答したそうです」
と、半信半疑の表情を隠さず答えた。
「学園に通ってないのに全学年の試験を満点?」
流石にエリンジウムもすぐには信用しなかったが、マロウが持っている問題用紙に驚愕した。
模範解答の為、複数写しを作成し欲しい者達に渡したアリッサの解答用紙。
それをマロウは、うっとりと見ているのだ。
「魔法使いの弟子だと言うのに、剣も使え学力も素晴らしいなんて」
エリンジウムもうっとりした顔で窓の外に目を向けた。
慣れない運動をしたら足が痛いです。