ただいま洗い出し中です。
師匠は動き出してます。
何か毎回同じものはないのか?とファルシオンに聞かれ、お茶の支度をしながらアリッサは大した事ではないが気になることを口にした。
「頭に花を……。イカれてるのか、そいつ」
ファルシオンの辛辣な言葉にアリッサは何と言おうか悩んだ。
「毎回入学式の前に会い、ピンクの髪にピンクのデージーの花を挿しているので、なんとなく覚えていたんです」
毎回必ず入学式の前に学園内で迷子になる生徒が居て、その生徒がいつも髪にデージーを挿しているのをやんわりと胸に挿した方がいいと言っていたのを思い出したのだ。
「そいつの名前知ってるか?」
「いえ、学年が違いましたので名前は知りませんが、ピンクの髪をしていたのですぐに分かるはずです」
珍しい色なので覚えている。
「ふーん。なら、今回はそいつに会わないようにしてみろ」
「会わないようにするもなにも、私、学生では無いので入学式は関係ないですよ」
アリッサは学園に仕事で通ってはいるが学生として通っていないのだから、入学式なんて関係無い筈だ。
「ま、気休めだが、当日は講堂に近寄るなよ」
アリッサが淹れたお茶を機嫌良く飲むファルシオンの言葉に、アリッサは素直に頷いた。
入学式当日
アリッサは学園の関係者にはなったが、入学式には全く関係ないのでファルシオンに言われた通り日々の鍛錬の為、誰も居ない訓練場で剣の型を復習していた。
鋭く空気を切る音、華奢な姿に似合わない鋭い太刀筋から相当の使い手だと分かる。
「驚いたな、魔法使いの君が剣を使えるなんて」
突然掛けられた声にアリッサが振り返ると、そこにはモルセラが立っていた。
「あの……」
「突然すまない。私はモルセラ・ギルハス。エリンジウム殿下の護衛官だ」
「初めまして。アリッサ・リスリムです」
剣をしまいながら頭を下げ、まっすぐにモルセラを見た。
「魔法使いも剣は使えます。魔獣討伐の時、魔力切れを起こしたって魔獣は逃げてくれませんから」
アリッサの言葉にモルセラも頷く。
式が終わるまで2人は剣の話や魔獣討伐の話などをして過ごし、時間になると別々の方向に別れた。
よし、今日も無事更新出来た。