王太子は何を考える?
主要メンバー、ドンドン出します。
「エリンジウム様、どうなさいました?」
惚けた様に、うっとりした顔で生徒会室に入って来た王太子であるエリンジウムに側近候補のマロウが声を掛けた。
「……美しい光景を見た。銀髪の魔法使いが並木道の木に新入生の為に魔法を掛けている、美しい光景を」
エリンジウムはまだ夢見心地なのか、冷たく冴え渡る美貌が微笑みのせいか優しげに見える。
身分だけで無く、豪奢な金髪に鋭い薄い蒼の瞳をしているせいか近寄りがたい存在だが、微笑む姿は年相応の顔に見える。
「銀髪の魔法使い?ああ、それでしたら今年度から魔法学の教師になった、ファルシオン大魔法使いの弟子のアリッサ嬢ですね」
紫の髪と目をした、宰相の息子であるマロウが、さらりとアリッサの名前を口にする。
「魔法使いの弟子?ならばそのアリッサ嬢は平民なのか」
気落ちした様な声のエリンジウムの後ろに立つ赤い髪の青年が静かに声を掛けた。
「いえ、アリッサ嬢はリスリム子爵家の令嬢で、たしか次女なので魔法使いの塔に入り、ファルシオン大魔法使いの弟子になったと聞いております」
「本当か、モルセラ」
騎士団長令息で、エリンジウムの護衛も兼ねているモルセラがあっさりとアリッサの身分を明かした。
「子爵家の令嬢……」
エリンジウムの目がキラリ、と光った。
今回は植物から名前を考えました。
ローズやリリーとかメジャーな名前が無いのはご愛嬌。