笑顔で死刑宣告?
後2、3回で本編が終わる。
「私の呪いも解けましたし、学園の幻覚魔法も解けましたので、貴女の味方は1人も居ません」
「幻覚魔法……。なにそれ」
デージーはミモザの話をまったく聞いていなかったようだ。
「気が付きませんでしたか?トラップが失敗したのに、殿下達の好感度が上がったなんてありえないのに」
キョトンとした顔でアリッサがデージーを見ると、デージーの顔色がどんどん悪くなって行く。
「まさか……全部……嘘」
「はい。まるっきり疑わないので、逆に心配になりました」
アリッサが死刑宣告の様な言葉を笑顔で言い切った。
突然、ガシャンと重たい金属がぶつかる音がした。
皆が不思議そうに音がした方を見ると、デージーの首に重たそうな鎖が絡み付き、その先は床に固定されていた。
「お前が何度も過去に飛ぶせいでこの世界が乱れ、壊れ掛けていた」
ファルシオンが冷たい視線でデージーを射抜く様に見る。
ファルシオンの言葉にエリンジウム達だけでなく、会場を埋める生徒や生徒の親達までもデージーを睨み付けた。
「この鎖はお前が抗おうとも過去には戻れ無い証だ」
「いや、いやよ。なら後一回だけ。エリンのルートに戻して。エリン、今度はちゃんと王太子妃の勉強もするし、毎日ドレスや宝石が欲しいなんて言わない」
泣き叫ぶデージーをエリンジウムは冷ややかに見る。
「ハンサムな護衛が欲しいなんて言わない。ちゃんとエリンだけ見るから」
「断る。お前の様な存在、この世界には不必要だ」
エリンジウムの断罪にデージーは拘束する男達に抵抗し、めちゃくちゃに暴れたがそのまま引き摺られるように会場から連れ出された。
「あれ、本当ですか?」
ランタナがファルシオンに尋ねると
「無駄な魔力を俺が使うと思うか?」
と、返されランタナは笑い転げた。
「やっぱり。どうせアイツはたいした魔力を持ってないから1人じゃ時間迷路に入れないんでしょ」
「いや、弱い奴でも入るだけならできるが、あの迷宮の様な時間迷路を踏破出来ないだけだ」
ファルシオンも体験した時間迷路は、複雑すぎて誰も踏破できないものなのだ。
「えっ?でもアリッサやファルシオン先生は……」
「迷路を簡単に抜ける方法を知ってるか?」
ランタナだけでなく、エリンジウム達もファルシオンを息を呑んで見詰める。
「迷路に入らず、上を飛ぶ事だ」
「ある意味詐欺ですね」
「裏技じゃ無いんだ」
「落ちたら大変です」
と、彼等の緊張感が一気に無くなり、そばに居た者達も肩透かしを食らった様な顔をした。
「真面にやる場所じゃ無いんだよ。それに過去に戻ってどうする。俺達は未来に向かって進むだけだろ」
ファルシオンの言葉に皆、頷いた。
過去は思い出すぐらいがちょうど良い。
浸り過ぎるのも、戻るのも人として歪なのだろう。
冬のパーティーはその後、一部の人間を除けば和やかで、楽しい交流会となり無事終わった。
本編が終わったらサッと流したアリッサの活躍シーンが書きたいな。




