ネタバラシしました。
トラップ?のネタバラシしました。
会場はデージーの妄言に、しんと静まり返り、エリンジウム達の冷たい視線で凍り付きそうだ。
「では聞こう。お前は、誰を幸せにした?」
「何言ってんの?ヒロインのアタシをみんなが幸せにしてくれるのが当然でしょ」
「聞き方を変えましょう。お前は誰を愛した?」
「愛するのはみんなの方よ。アタシは愛される存在なの」
エリンジウム達に問われてもデージーは意味の無い返事しかしない。
「この方、大丈夫なのですか?」
ミモザが心配そうな顔でエリンジウムを見詰める。
「ミモザは気にしなくて大丈夫だよ。全く、ミモザにこんな不安そうな顔をさせるなんて、不敬もいい所だ」
エリンジウムのミモザを見る優しい眼差しと自分を見る底冷えする視線のギャップにデージーが更にヒートアップした。
「うるさいんだよ、この悪役令嬢!アンタがアタシを虐めないからイベントが不完全になっちまったのに」
可憐な容姿が醜く歪み、唾を飛ばして喚く様は醜悪を通り越して憐れに見えた。
「お前、本気でトラップを全て成功させた、と思ってんのか?」
黙っていたファルシオンが馬鹿にした顔でデージーを見る。
「トラップ?イベントは全部覚えているもん。それにフラグの条件だって、ちゃんとクリアしてたわ」
醜く歪んだ顔で笑うデージーは不気味で、ミモザは無意識にエリンジウムの袖を掴んでいた。
「時間を狂わせた」
ファルシオンが凄みのある笑みでデージーを見据えた。
「それが何?」
ファルシオンの言いたい事が全く解らないデージーは口を尖らせ、ファルシオンを睨んだ。
「お前がイベント、とか言うものを起こすトラップは、全て時間をずらしておいた」
ファルシオンの言葉に、デージーが青褪める。
ゲームではフラグを立てる時間に制限が有り、何月何日に条件を満たさないとクリアされない。
「序でに、お前が仕掛けたトラップは全て狂った時間で作動する様にしておいたから、まともな奴は一つもない」
「あと、まともに作動してる様な音も鳴る様にしておいたわ」
ファルシオンとランタナがニヤッと笑った。
「なんて事すんのよ」
押さえ付けられても喚くデージーにどこかのほほんとした声で、顔を魔法使いのローブのフードで隠したアリッサがいつの間にか現れ声を掛けた。
「1つ聞きたいのですが、私の事知ってますか?」
「はあ、アンタみたいなモブなんて知らないわよ」
吐き捨てる、と言うより噛み付きそうな顔でアリッサに、知らない、と言った。
シャラン、と小さい音にアリッサはハッとした。
後、数回で完結できるかな?




