妄想大暴走中です。
妄想って暴走するんですね。
「嘘よ嘘。どうして、どうして婚約破棄してくんないの。アタシを婚約者にしてくれるはずでしょ」
慌てて人混みから走り出て、エリンジウムに縋りつこうとするデージーの暴言にエリンジウムが深いため息を吐いた。
「君、いったい何が言いたい?私の婚約者はミモザだ」
周りの者達に押さえ付けられたデージーをエリンジウムはミモザの肩に手を置き、冷ややかに見る。
「嘘よ。フラグは全部立てたし、イベントだってクリアしてたもん」
デージーが顔を歪め叫ぶが、大勢人が居るのに誰1人慰めたり庇ったりしない。
デージーが信じているのは、アリッサの幻覚魔法だと分かってしまったから。
それに彼らはデージーが何を言っているのかまるで理解出来ない。
「何を言っているのかわからない」
エリンジウムが冷ややかに言うと、マロウが鼻で笑う。
「頭の中にカビでも生えているのでしょう。使い物にならないから訳の分からないことを言うんですよ」
モルセラはマロウの言葉に何度も頷き
「サンキライやガウラが居たらこいつの事、ダンジョンに捨てて来る、と言ってそうですね」
この場に居ない者達の名前を言い、馬鹿にした顔でデージーを見ていた。
「何でそんなこと言うの。アタシ、ちゃんと逆ハーのフラグ立てたし、ミスなんてしてないのに」
「まったく。君は何が言いたいんだ?」
マロウの冷たい目に気が付いていないデージーは
「アタシはこの世界のヒロインで、みんなアタシの事が好きで、アタシを幸せにしてくれる筈なのに」
と、妄想を捲し立てた。
元野良だった猫も10歳になりました。




