深く聞いてはいけない事もあります。
エリンジウムとモルセラだけです。
「そう言えばモルセラ。君は何処でアリッサ嬢達と2度目の戦いをしたんだ?」
エリンジウムが政務をしながら、護衛に就いているモルセラに話し掛けた。
「魔道具を学園中に掛けてから、直ぐにです」
簡潔すぎる答えに満足しなかったエリンジウムが目で話せ、と言えばモルセラがフッと笑い、話し始めた。
カーバンクルが密猟されて数を減らしている、と聞いて直ぐにアリッサ達が動き出し、密猟者討伐隊が編成された。
「その話なら私も知っている」
殆ど表に出なかった密猟者の情報が一気に集まり、かなりの密猟者が逮捕された話だ。
「その最中に、アリッサ嬢とファルシオン先生が悪い奴らは根絶やしにしないと、と言い出して」
彼女達は、密猟者の上前を刎ねていた役人達まで捕縛したのだ。
「ちょっと待て。それって……」
「はい。魔法省と内務省の癒着が明るみになり、首謀者を捕まえる時に少々いざこざがありました」
両役所の一部の人間が行っていたとは言え、余りにも外聞が悪すぎた為、緘口令が布かれた事件である。
しかも、かなりの戦闘が行われたのだ。
「司法省が尻尾が掴めず苛立っていた事案か」
「なんでも、アリッサ嬢の2度目の人生で嫌がらせをしていた者達が絡んでいたらしく、ファルシオン先生が徹底的に潰したそうです」
モルセラが一瞬遠い目をしたから、その討伐はかなり徹底していたのだろう。
「お陰で、アリッサ嬢の兄上と姉上が有能だ、と周知されましたので不正は激減すると思われます」
事の顛末を一から十まで聞きたいが、エリンジウムは、何故か聞いてはいけない気がした。
「不正が減る事は、いい事だ」
「はい」
当然、エリンジウムは詳しい事を聞かず、モルセラはそれ以上話さなかった。
エリンジウムは良く分かっているようです。




