何故婚約者と言い張るのでしょう?
阿呆がアホな事を言ってます。
「思い出しましたわ。貴方、確かセルベン辺境伯令嬢のアイリス様とご婚約された方ね」
流石、高位貴族の顔と名前を全て記憶しているミモザだ。
ホーア子爵令息の現状を話すミモザはニコニコしているが、目は少し冷たい。
ミモザが言っていた、セルベン辺境伯は魔獣の跋扈する辺境地を守る高位貴族で、王家に忠誠を誓う屈強な方で、その令嬢もまたとても屈強な令嬢だ。
そんなセルベン辺境伯は王家にとっては有能で信頼できる臣下だが、容姿は非常に……逞しい。
令嬢に至っては、盗賊を素手で捕まえ、その容姿で気絶させる程だ、と聞いている。
「僕も聞いたことがあります。なんでもアイリス嬢が一目惚れして、熱烈に申し込まれた婚約だ、と」
マロウの言葉で、その場にいた者達が一瞬でホーア子爵令息を同情した目で見た。
「お、お、お、俺はあんな猿型魔獣の様な女なんかと……」
「ホーア子爵令息、女性の容姿を侮辱するなんて、紳士とは思えませんわ。アイリス様は愛情深い方ですのよ」
可憐なミモザの言葉に、女子生徒達の目がホーア子爵令息を冷たく見る。
確かにアイリス嬢は容姿は厳ついが、性格は良く、淑女としてのマナーも完璧だ。
「師匠の差金ですか?」
アリッサが小声でファルシオンに問い掛けると
「俺は、セルベン辺境伯にアイリス嬢好みの男が居る、としか言ってない」
と、笑う。
「まぁ、あの阿呆が青くなる所を見れた事だけは感謝します」
呆れた顔をしているが、肩の荷が降りたのか、安堵の笑みも浮かべている。
ゴールデンウィーク突入!




