美の祭典ですか?
皆、美人さんです。
自分達のパートナーと合流する為控え室を出た4人を他の学生達が羨望の眼差しで見詰める。
其々が違った美しさを持ち、朗らかに微笑む姿は、同じ学生だと言うのに格の違いを見せ付けた。
彼女達はけっして自分達の美しさをひけらかしている訳では無い。
でも、光り輝く様な姿は、他者を平伏させる圧倒的な力になりうる。
形式ばっていないサマーパーティでこれ程なのだから、正式な夜会や舞踏会ではどれ程輝くのか、逆に見てみたくなると周りはキャーキャー言い出していた。
「ノースマルド公爵令嬢のドレス、エリンジウム王太子殿下がプレゼントしたはずよね」
ペールブルーのドレスはエリンジウムの瞳の色と同じ物。
「ネムタス伯爵令嬢の緑のドレスって、モルセラ様の瞳の色と一緒みたい」
エニシダの深緑の髪より明るい緑のドレスは、モルセラの瞳の色。
「メリス子爵令嬢のドレスは……」
「ご自分の瞳の色より深い紫と言う事は……」
ランタナの瞳も紫だが、ドレスの色はマロウの瞳や髪の色の方が近い。
そして圧巻だったのはアリッサの姿だ。
アメジストの様な澄んだ紫が白からグラデーションで夏らしい涼しげな装い。
ハーフアップされた銀髪がアリッサの美貌をさらに引き立てている。
「何方かしら?」
「見惚れる程美しい方」
此処は女子生徒しか居ないが、これで会場に入れば更に騒がしくなるだろう。
「ミモザ様。アリッサさんを隠しましょう」
ランタナが真剣な目でミモザに訴えれば、エニシダも頷く。
「そうですね。せめて会場に入るまではわたくし達でお守りしましょう」
ミモザも頷き、アリッサを囲む様にして会場に向かった。
土砂降りって何?




