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刺客は多分居ません。

アリッサは鈍い訳じゃないです。

「こう言う時は王族である事が煩わしく感じますが」


前髪が垂れているせいか、エリンジウムの表情が見えない。


「ならば、まずは一言ミモザ嬢に言っておけ。不安がってるぞ」


自分の思いだけで事を進められないもどかさにエリンジウムが下を向きそうになっていると、ファルシオンがにやりと笑う。


外堀を埋めていたとしても本丸が鉄壁の布陣で守られていては城は落とせないのと同じく、本人が知らなければ余計な誤解を生むだろう。


「そうでした。ミモザにきちんと話さないと」


下を向きかけていたエリンジウムが朗らかに笑い、ミモザの方に向かった。


「……あの愚か者がどんな喜劇を見せるか、楽しみだ」


ファルシオンの呟きは、誰の耳にも届かず風に紛れる。



期末試験も無事終わり、明日はサマーパーティ。

アリッサは目の前のドレスにまだ困惑していた。


「どうした?」

「師匠。なんで学生でも無い私までサマーパーティに出なければいけないのですか?」

「元凶を特定する為だ」


のんびりアリッサの淹れた紅茶を飲みながらの、当たり前だと言いたげな顔にアリッサが更に困惑する。


「それだけの為なら、裏方で良かったのでは無いですか?」


元凶を特定する為だけなら、その方が動き易い。


「アリッサ。君は、呪いが解かれたら俺の妻になる」

「はい。ですがそれとこれとは……」

「鈍感。学園内でお前を狙う奴がどれだけ居るか知らないのか?」

「えっ?刺客ですか?」


いままで恋愛にうつつを抜かす事なく前だけを見て走っていたアリッサにとって、周りの思惑は正直、意識などしていなかった。

やっと恋愛パートに入った。

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