嫌がらせ
「ホレス様!起きてください!今日は入学式ですよ!」
「そうなんだぁ」
ホレスが寝ぼけながら反応する。
「ああ!マジめんどくせえ!」
「アデル、主に失礼ではないか?」
「ミハエラ、お前もホレス様を起こせ」
「嫌だし、できない」
「役立たず」
「あんたに言われたくない」
「ひっでー」
「うるさいなぁ。静かにしてくれよ…」
ホレスが寝ぼけながら魔弾を打ってくる。
「ちょ、ホレス様!屋敷が壊れますから!」
「うるさああああい!」
ドアを思いっきり開けて部屋に入ってくる人物がいた。
「屋敷が壊れるわ。ホレス、起きなさい!」
「ひゃい!」
「ホレスが情けない声を出しながら飛び起きた。
「早く学校に行きなさい」
ソフィアは恐るべき存在だと全員が思った。
*
学校に着いたらホレスの目をバッと隠した人物がいた。
「だーれだ?」
「知らん。どうでもいいからその手を離せ」
「ごめんごめん。怒った?」
「怒っていない。いつもこういうノリだ」
「そっか。ねえ私のこと覚えてる?」
「ああ。受験の時やたら話しかけてきた人だろ?」
「ピンポーン!そういえばまだ名前を言ってなかったね。私、アリス=キンバリー。よろしくね」
「ああ」
そこでホレスは初めてよく彼女のことを観察した。
まず第一印象は強い、ということだった。
顔立ちはよく、すらりとしている。
「俺は、ホレス=マルティだ」
「ホレス、カッコいいよね」
「そうか」
「なにその反応。喜んでもいいんだよ?」
山暮らしで人とロクに接したことのないホレスにとって「友達」とどう話せばいいか分からなかった。
(とりあえず喜べばいいよな…)
「やったー」
「え、なにその反応」
「え、いや、違ったか…」
「なんにも知らないの?」
「…ああ」
「じゃあ教えてあげる。私とデートしよ!」
(でいと…確か日付って意味だったよな。となるとアリスは何を言っているんだ?とりあえず頷けばいいか)
違うのだがホレスには理解できなかった。
「分かった」
「やったー!ちょっとドキドキしちゃったから」
(日付って言うのにドキドキするものなのか)
「もう入学式始まっちゃう。早く行こう!」
「そうだな」
*
「これにて入学式を終わる」
「ようやく終わった…」
「お疲れさま。クラス、一緒でよかったね」
「そうだな」
入学式の途中クラス発表があり、4クラスのうちホレスとアリスは1ー2組だったのだ。
「2組集合!」
ぞろぞろと掛け声のもとへ集まる。
「担任のサラ=マダリアーガだぞ。サラ先生って呼んでいいぞ」
低身長でとても先生とは思えないくらい子供っぽかった。
「さあ、クラスルームだよ…って超汚れているではありませんか!」
2組のクラスルームへ案内されたがそこはゴミ捨て場にしか見えなかった。
「サラ先生、なんですかこれ」
クラスメイトのうちの一人が聞いた。
「嫌がらせだね…」