殺人事件
探偵部を設立してから1か月経ったが探し物など特に重要な事件の依頼はきていない。
「暇ぁ~。むっちゃ暇ぁ~!」
ソファーにどっかりと座ってアリスが叫ぶ。
「そうだな。でも、何もなくていいじゃないか」
「よ~し、依頼探しに行こう!」
「それこそ、一番面倒くさい」
「探偵って言うのはジッとしないんだよ」
「ロベルト・・・むっちゃ楽しみにしてるな」
「楽しそうじゃん」
「じゃあ行くか」
「イエ~イ」
ホレスたちは学校を巡回する。
「ほら、やっぱり何も起きないじゃないか・・・」
ホレスが文句を言おうとしたとき悲鳴が聞こえた。
アリスたちはすぐ悲鳴が聞こえたほうに走って向かう。
「どうしたんですか!」
腰を抜かした少女に聞く。
「あ、あそこに・・・」
少女が指をさした方向を見るとそこには人が血を流して倒れていた。
「アデル・・・」
「え、ちょ、嘘・・・」
倒れていたのはアデルだった。
「アデル!」
ホレスが駆け寄り回復魔法をかける。
「う、ホレス様・・・。すみません。しくじりました」
「安心しろ。今、助けてやる」
「俺に生きる価値は無いです」
「傷口が広がるだろ。黙ってろ」
「俺は失敗したんです。ホレス様、逃げて」
(逃げる?誰から・・・)
アデルは気を失った。
「死ぬかもしれない・・・」
「ホレス、諦めちゃだめだよ!私も回復魔法かけるから」
「いや、いい。お母様のところに連れていく。サラ先生に伝えといて」
「ちょ、ホレス!」
「すまない。今は冷静な判断が出来そうにないんだ」
そう言ってホレスは転移した。
*
「お母様!」
「びっくりした」
「アデルを助けてください」
―何があったの?―そう聞こうとしたが血まみれのアデルを見て思考を切り替える。
「そこにあるソファーに寝かせなさい」
「分かりました」
「ちょっととくべつな回復魔法をかけるわよ」
ホレスは黙って見守る。
ソフィアは傷口に手をかざす。するとアデルの傷口が光った。そして見る見るうちに傷口がふさがっていった。
「ソフィア様・・・。すいませんでした」
アデルが目を覚まし開口一番謝罪を述べる。
「全く。しくじったわね」
「はい」
「お母様。俺にも教えてくれませんか。何が起きているのか」
「ホレスに隠し事はできないわね。いいわよ。教えてあげる」
「ありがとうございます」
「まずホレスに言わなくちゃいけないことがあるの」
「何でしょう?」
「ホレスと私は血が繋がっていないの」
「知っています」
「え、マジ?じゃ、じゃあ、私が、魔王だっていうことは?」
「・・・知りませんでした」
「え、マジ?」
「マジです」
「本当に勇者学校に通ってる?」
「俺は不良じゃないですよ」
「う、うん。じゃあ本題に戻ろうか。私にちょっかいをかけてくる組織がいるの。それでその組織がホレスにまでちょっかいをかけようとしてるからその組織について調べてるの。この平穏な日々を壊す奴は排除するべきだからね」
「それでアデルはどうしくじったんですか?」
「その組織、なかなか尻尾を掴ませてくれないからアデルにその組織に入ってもらったのよ。スパイとしてね。けどそれから連絡が取れなくなって・・・。何があったの?」
「それが記憶が無いのです。スパイとして潜入していて期間の部分の記憶が・・・」
「つまり、収穫無しってこと?困ったわねぇ」