探偵ごっこ
ホレスたちはとりあえず学校に戻って授業を受けた。チャイムが鳴り、1日の授業が終わるとアリスとともにマールデンに会いに行く。
「こんな手紙が猫の首に?」
「ああ」
「ちなみに猫は?」
「ミハエラに任せてる」
「そっか。こんな手紙書いたの誰だよ。趣味悪いな。ホレスが必死になって探している『ボス』ってクラス対抗戦の時に男が言っていた『ボス』のことか?」
「まあ、そうだな」
「それでどうするんだ?探偵、続けるのか?」
「それで『ボス』とやらの正体が分かるなら続ける」
「分かるかな?」
「さあな。まあ、逆に言えば『ボス』の正体を知るためには探偵を続ける以外方法はないだろうな」
「じゃあ、続ける?」
「そうするか」
「なら、私も混ぜて!」
「俺も!」
「別にかまわないが、危険だぞ?」
「何のこれしき」
「俺たちの実力舐めんな!」
「頼もしいな」
「サラ先生に探偵部立ち上げるって言ってくる」
「俺も行こう」
*
「探偵部?」
「はい!学校をより良い場所にするために立ち上げようと思ったんです!」
(アリスにこういうことをやらせると最強だな)
「別にいいぞ。ただし条件が一つだけあるぞ」
「何でしょう?」
「私を顧問にすること!」
「もちろん!喜んで!ていうか逆にいいんですか?」
「私だけ担当する部活がまだなかったから」
「ありがとうございます」
「今部室を用意するぞ」
「はいっ!」
*
用意された部室は勇者学校の敷地内にあるが今は使われていないボロボロな倉庫だった。
「ゴメン、これだけしか用意できなかったぞ」
悲しそうにサラが告げる。
「部室が外にある倉庫ってあんまりだろ」
「私今から抗議してくる」
「そんなことしたら部活すら立ち上げられなくなる」
「ホレス、どうする?」
「ようは倉庫をきれいにすればいいんだろ?」
「そんな、楽勝だろ?みたいな口調で言われても・・・」
「その通り。楽勝だ」
「え?」
ホレスは倉庫の扉を開ける。
扉はサビていて不愉快な音をたてながら開く。
「まずは扉を直そう」
「どうやって?」
「魔法だ」
「そんな精密な魔法使えないよ~」
「ちなみに俺もだ」
マールデンもそう言った。
「俺もできないことはないが、うっかり失敗したら倉庫が吹き飛ぶかもしれん」
「それだけは絶対ダメ」
「どうしよう・・・」
悩んでいると後ろから声がかかってきた。
「お困りのようだね?」
「ロベルト・・・」
「ぜひ良ければ話を聞くけど?」
「示し合わせたようにくるな」
「僕だったら解決できるかもしれないよ?」
「分かった。説明だけする」
ホレスは手紙のこと以外を話した。
「へえ。楽しそうじゃん。僕も混ぜて?」
「断る」
(だってこいつ面倒ごと持ってきそうだし)
「酷い!もちろんただとは言わない。僕の権力で倉庫を立て替えてあげる」
「都合のいいときばかり権力を振りかざすな」
「あはは。でもいい提案でしょ?」
「ロベルト君、ぜひお願いするぞ」
「サラ先生・・・」
「決定権は私にあるぞ!」
「お前も権力振りかざすタイプか」