クラス対抗戦 1
足枷とは言ってもちゃんと歩けるし何なら周りから足枷を付けているというのはバレていない。
(本当に500分の1しか出せなくなってしまったか…。まあ、これも訓練だと思って頑張るか)
「行ってきます」
「頑張ってね!見に行きたいけど用事があって…」
「はい。じゃあ、頑張ってきます」
ソフィアに見送られて出かける。
転移で学校に着くとアリスがその気配に気づいた。
「あ、ホレス!」
「おはよう、アリス」
「昨日、寝れた?」
「それはもう、ぐっすりと」
「そ、そう…」
「アリスこそ寝れたか?」
「あんまり。おかげで寝不足だよ~」
「大丈夫か?何なら回復魔法で…」
「いやいや、これから試合があるのに魔力使っちゃまずいでしょ」
「それもそうか」
「ホレス、元気ない?」
「そんなことはないと思うが…」
「手、貸して。おまじないかけてあげる」
ホレスは言われるがままに手を貸した。
アリスはその手をギュッと握った。
「や~った~。ようやくホレスに触れた」
そこでホレスは気づいた。
「やられたな。ところでいつまで俺の手を握っているつもりだ?」
「あっ、ごめんごめん」
アリスは顔を赤らめる。
「アリスのおかげで少し元気になった」
「本当?良かった。もうそろそろ時間だね。お互い頑張ろう!」
「ああ」
*
「さあ、始まりました!第101回、1年クラス対抗戦!まずは創造部門から」
創造部門では1組の代表者が1級の魔剣というプロでも作るのが難しいと言われる剣を作り上げたため、1組が優勝した。
「次は魔法部門!最初は一組代表ミランダ=ベリー対2組代表アリス=キンバリー」
アリスとミランダが闘技場に入って真ん中で向かい合わせになる。
「始め!」
二人は防御結界を張りながら距離を取る。
(アリスって子、魔力の使い方が丁寧!)
中級攻撃魔法を次々にミランダが放つ。
しかしアリスにはその魔法が非常にゆっくりに見えた。
軽々と避けて至近距離からミランダのお腹に初級攻撃魔法を放つ。
初級攻撃魔法とはいえ至近距離から撃たれたらただでは助からないだろう。
反応できずに直撃を食らったミランダはあっけなく倒れて起き上がらなくなった。
「勝負あり!2組代表のアリス=キンバリーの勝利!」
アリスはペコリとお辞儀をして闘技場をいったん出た。
(一試合目は勝てた。問題は魔法の天才と謳われている3組のイーデン=テスターだろうな)
イーデンには底なしの魔力があった。さらに使える上級魔法の種類が豊富だった。
アリスはそのあとも順調に勝っていった。
決勝では予想通りイーデンとあたった。
「アリスとか言ったな。入学試験とはくらべものにならないくらい魔力の扱い方が丁寧で上手になったな。もし俺が勝ったらその訓練法を教えてくれ」
「いいよ。あなたが勝ったら、ね?」
「俺が絶対に勝つ」
「それは、どうかしら?」