特訓!
「なんで使い魔がヒト化してるのよ…」
勇者学校の特訓場でホレスがミハエラとアデルを召喚した。
それにドン引きするアリス。
「驚くことがあったか?」
「そ、そりゃあ驚くよ。てか、この二人?二匹?を相手にするとか絶対無理だからね」
「何故だ?」
「いや、実力差ありすぎでしょ」
「そうか?アリスならできると思うが」
((女たらしめ))
アデルとミハエラは会話を聞いてそう思った。
「はあ。ホレスのやってることにいちいちツッコんでたら切りないしもうやめた。特訓で死んだら一生恨むからね…」
「死んだら恨めないけどな」
「うるさい!」
「安心しろ。ケガは魔法で治せる。死ぬことは無い」
「その言葉、ホレスじゃないと信じないんだからね」
「じゃあ早速始めるか」
「どんとこい!」
3分後
「死ぬ死ぬ死ぬ~。マジで魔力切れしかけてる!ストップ!ストップ!」
「情けない。まだ3分しか経ってないぞ」
「いや、龍と上位種によく3分も渡り合えたと思うよ」
「そうか?ミハエラとアデルだってまだまだなんだぞ」
「十分だと思うよ。逆にミハエラさん達に普段どんな特訓させてるの?」
「俺の相手をさせてるだけだ。俺に触れられたら勝ち、みたいなルールで。そうだ!3対1でかかってこい。俺に触れたら合格だ」
「流石にそれぐらいなら…」
「アリス、魔力切れ寸前って言ってただろ?たった3分でそれはまずい。魔力を使いこなせ」
「魔力を、使いこなす?どうやって?」
「それを探せ」
「もう。いつもそうやって私を試そうとする」
「そんなつもりはないぞ。さあ特訓を再開するぞ。俺に触れたら勝ち。手段はなんだっていい」
「ホレスの勝つ条件は?」
「全員が魔力切れになる、もしくは動けなくなるまで触らせなかったら勝ち」
「な、なるほど。ところでアデルさん達は何回触れたんですか?」
「0」
ぼそりとアデルが答えた。
「…」
アリスは絶句した。
重い空気になってしまった。
「じゃあ始めるか」
その瞬間ミハエラとアデルがホレスに一気に近づく。
(速っ)
アリスは全くついていけなかった。
(さっき私と特訓してた時、手を抜いてたの?それ以上にそれに反応出来てるホレスもマジでヤバい)
「ミハエラ、アデル、ちゃんと連携を図れ。ミハエラ、そんな攻撃力ばかりが強くても先がすぐ読まれるような単純な攻撃は無意味だ。その癖をいい加減直せ」
ホレスは防御結界を張っており、二人はその防御結界を破ることなんて出来ていなかった。
「アリスも攻撃をして来い」
「っ…」
(ついていけない…)
「ついてこれないか?じゃあ早く二人のこの速さに目を慣らせ」
ホレスはいつになくアリスに厳しかった。
アリスはそれが辛くて、苦しかった。
(これが本当のホレスなのかな…。ああ、もうごちゃごちゃ考えるのはやめよう!ホレスに触るだけでしょ。簡単じゃん!)
アリスはホレスに突進していった。
「動きが単純。触ることに固執しすぎだ。そして遅い。魔力の使い方も荒い。これじゃ1分も持たない」