戦術部門
「じゃあ、君からだぞ」
「はい」
ホレスは危険ではないか、と言おうとしたが魔法が思った以上に低レベルだったので言うのをやめた。
「最後に、アリス」
「はい」
アリスがサラに手のひらを向ける。
その手のひらに集まった膨大な魔力を唯一感じ取ったホレスはサラが張っている防御結界に重ねて防御結界を張った。
「ちょ、ホレス?」
サラが戸惑う。
アリスが魔法を放つ。
その瞬間サラの後ろにあった壁が跡すら残さず消えた。
「…え?」
「サラ先生、大丈夫でした?」
アリスが腰を抜かしたサラに近づく。クラスメイトの中には失禁している者もいたが誰も突っ込まなかった。
(アリスは俺が思った以上に強かったようだ)
ホレスはあの魔法がどうやったら無効化できるか考えていた。
「と、とりあえず、魔法部門はアリスに決定だぞ」
「やったー!」
可愛らしく喜ぶアリスだが、魔法は全く可愛くなかった。
「続いて戦術部門をの代表を決めるぞ」
ホレスを含めて魔法部門や創造部門とはくらべものにならないくらいの人数が立候補した。
「トーナメント式にするぞ。優勝した人が代表にするぞ」
ホレスはトーナメントで当たった相手を数秒で倒していった。
「あいつヤバいだろ」
ホレスの試合を見ていたクラスメイトが喋る。
「あいつに勝てる奴いるのかな」
「7組のマールデン=フットくらいじゃないか?」
「ああ、今、勇者候補として一番濃厚な奴だろ?あいつなら…」
「てか、ホレスでも勝てないだろ。流石に。なんせマールデンは大人を相手にしても数秒で倒しちゃうからな」
「俺たちのヒーローだよな」
「ああ」
決勝戦が終わった。
予想通りホレスが代表として決まった。
「すごいよ、ホレスは」
「アリスも代表だろ?」
「そうだけどホレスはもっとすごいよ」
「ありがとう。ところでアリス、今のままじゃ負けるぞ」
「えーと、なんでかな?」
「その魔法が全員に通じるわけではない。防御型が相手だったらアリスが魔力切れになって負ける」
「むぅ。確かにそれはそうだけど…」
(もうちょっと褒めてくれたっていいじゃない)
「今日から放課後一緒に練習しよう」
(よっしゃー!放課後も一緒になれるってことじゃん)
「分かった。放課後は何としてでも空けとく」
「俺も未熟なところがあるからな。アリスだったらちょうどいい練習相手になる」
「お、お手柔らかにね?」
「何故そんなことを言う」
「だってホレス強いじゃん」
「アリスだって負けてないぞ」
(くぅー!ホレスったら男前すぎ!)
「使い魔にも手伝ってもらうか」
「へえ、使い魔いるんだ。種類は?」
「アデルっていう名前の使い魔がサブデイとか言う種類だった。ミハエラっていう名前の使い魔が龍だ」
「…ホレスも冗談言うんだね。ははは」
「冗談じゃないぞ」
「え?」
「え?」
何かおかしかったかとホレスは戸惑う。