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龍人の子、陽の元に堕つ  作者: 麗氷柱
第二章 不死の呪いと死なずの少女
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榮鳳官学入門 少女よ、大志を抱け①

「私はこの榮鳳えいほう官学、六代目学長の天瑞円火神アメズイエンヒノカミと申します。ズイエン先生とでも呼んでくださいね」


 ニコリと笑う学長。そして広間を満たす拍手拍手。

 ――ズイエン。この学校にいる神様の一柱があの方か。どうりで風格があると思った。


「それではトンウー先生から、ご挨拶をお願いします」


 彼女は他の教師にそう促し、自らの座布団に正座をした。しかし天つ神だと言うのに、物腰が柔らかいから好きになれそうだ。


「ええっと、私は主に刀術や神通力の講義を行っています。龍人族のミウ・トンウーと申します」


 席を立ったのは龍人族の女性。ショートヘアの似合う可憐な龍人だ。そして同時に騒めきだす一年たち。


「なぁなぁ、あの先生、めっちゃ可愛くね?」

「ヤバイよな。俺も講義受けてぇ」


 等とさえずる声が聞こえてくる。どうだ見たかこれが龍人だ。と少し鼻が高くなる。

 ――――しかしこのレベルで騒ぐのなら、ユキメを見たら卒倒するだろうなコイツら。


 そして龍人の女教師も学長同様、黒い羽織を羽織っている。どうやら黒羽織が先生であることの証らしい。


「一年生の皆さん、初めての学校生活で分からないことも多いと思いますが、気を楽にして伸び伸びと楽しんでください」


 再び生まれる拍手。

 ――無難な挨拶をする龍人の先生だ。少し気が弱そうな佇まいだが、果たして大丈夫だろうかと不安になる。


「それじゃあ次はニライ先生。お願いします」


 そう言って龍人の先生ミウは、隣に座る図体の大きい男性教師にバトンタッチした。


「おう。主に武術や槍術の演習を担当するニライ・コウドウだ。よろしくな一年坊!」


 頭に少しだけ角を生やした筋骨隆々の男教師。龍人は大人になれば角が引っ込むが、他の種族はそうでもないようだ。


「それじゃあ次はオッキュ先生、頼んます!」


 ニライ先生が座ると同時に、私の対面に座るユハンが隣のヒスイに耳打ちをした。


「はえぇ。なんだか熱そうな先生だね」

「ふふ。そうね」


 私の方までそれは聞こえてきたが、一年の殆どが同じようにヒソヒソしているので大丈夫だろう。


「牛騎族は体の大きい人が多いのよ」


 ――――と、ドヤ顔でユハンに教えてあげるヒスイ。純粋なユハンはこれですら目を輝かせた。


「はええぇ。ヒスイちゃんは物知りなんだねー」


 ふっふっふ。と笑うヒスイ。そして先生方の紹介はまだまだ続く。


「小生は邪学の講義を受け持っているオッキュ・カゴメだ。以後よろしく申す」


 顔色の悪い先生。少し怖そうな雰囲気を纏っているが、多分あの先生とは仲良くなれないな。


「では、次お願いします」


 ――――そうしてそれからも先生方の自己紹介は進み、何の滞りも無く最後の一人まで終わった。


「はい。先生方、ありがとうございました」


 最後の一人が自己紹介を終えて着座したのを確認すると、学長ズイエンはニッコリと笑みを浮かべながら立ち上がる。


「さあ、残すは貴方だけですよ副学長」


 ズイエンは困ったような顔で幅の広い二重をさらに伸ばす。しかしその視線の先に教師らしき大人は見えない。


「あなたですよシロギ。早く来なさい」


 ――え? シロギって、あの上級生のシロギか?


「すいませーん。僕こういうの少し苦手なんすよねえ」


 あの爽やか上級生シロギが急にグレはじめ、それを見た一年達は例外なく騒めきだす。


「神使の姿に化けるものではありませんよ」

「…………わかりましたよ」


 シロギは紅い羽織を脱いで、それを一人の男子生徒に渡す。しかしそれを受け取ったのは紛れもない、もう一人のシロギだった。


 ――化けてるって、変身してたって事か?


「さあ、変化を解いて皆さんに挨拶をなさい」


 なんと、私達を案内してくれた方のシロギは偽物だった。

 身長は更に伸び、ストレートだった髪はクルクルと癖のある毛に変わり始める。おまけに纏う着物は女物のように派手派手だ。


 ――――全ッ然違う人出てきた!


「えっとそうだなあ。特に挨拶することも無いんだよなあ……。あそうだ」


 まるでやる気が感じられない態度。他の先生方とは違い、何というか彼は……。間抜けだ。


「君たちに一つだけ教えてやる。…………それはな」


 全員が固唾をのんで耳を澄ませる。しかしそれは、決して期待しているからではないと断言できる。


「俺みたいな大人にはなるなよ」


 ――絶対ならねーよ。


 恐らく誰もがそう思ったに違いない。現に私はそう思った。


「はい。ありがとうございます、副学長」


 ズイエン学長がそう言って、パチパチと拍手をしながら立ち上がると、もれなく一年生ゾーン全員がどよめいた。


「え? 終わり?」

「結局何だったのあの人」

「さあ」


 ――副学長の紹介終わり!? まだ適当な人だってこと以外分かってないんだけど。


「はい、では次、新しい先生方の紹介をしましょうか」


 しかしそのズイエン学長の一言に、一年生のみならず、官学の全生徒が一斉に騒めき、会場内は騒音に包まれる。


「新しい先生?」

「マジで? 初耳なんだけど」

「カッコいい先生だったらいいなあ」


 みんなが浮き立ってソワソワしている。もはや副学長の事は誰も触れずに。


「それでは入ってきてください」


 ズイエン学長は扉の方へ向かって声を上げた。そして開く大扉。もう自動開閉システムには慣れてしまった。

  

 そうして全校生徒の注目を浴びるなか、新しく入ったと言われる二人の先生が静かに入ってくる。


 一人は身長二メートルほどはある大男。そしてもう一人も割と高めの女性だ。


「紹介します。この度、天都から遣わされた風神。名を、天奏比古命アメノカナビコノミコトです」


 えええええええええええええええ。


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