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龍人の子、陽の元に堕つ  作者: 麗氷柱
第一章 八柱の姫君
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人の子、龍人に還る①

龍文書―一


龍人:天千陽に住まう神と龍が混ざりし半神。龍の血の方が濃いが、姿は神に近い。黒髪に白い肌。そして赤い瞳が特徴。

「早まるな、龍野たつの!」


 担任が私の名前を呼んでいる。


 ところで“早まる”って何を? もしかしてこの教師、あたしが自殺するとでも思ってるのか?


一二三ひふみちゃーん! やめてえ!」

 

 校舎の下で、頭の悪そうな女が黄色い声で叫んでいる。

 っていうかお前誰だよ! 


 ……ため息が出る。

 

 確かにこの屋上には安全柵が設置されていないが、私は風に吹かれても大丈夫な、確かに安全な場所に立っていた。それなのに、それなのに。


「どうしてこうなった」


 陽が西に沈み、山間から零れるようにオレンジ色の日差しが学校を照らす。普段なら興味もないその景色なのだが、今日の私はたまたま屋上へ上がり、そのマジックアワーを拝んで帰ろうと思っていた。


 ――――しかしそれが間違いだった。


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 私が通う高校は都内でも有数の進学校であり、政治家、実業家、芸能人など、数々の著名人を輩出した名門校だ。中学生の頃に鼻血垂れ流し、ゲロ吐きまくりで励み、何とか滑り込んだ。

 

 そうして何もかもが順調だと思われた私の人生だが、ただ一つ、どうしようもなく大きな問題があった。それは…………。


「もももいこうあええあ!(ここ女子高じゃねえか!)」


 枕に顔をうずめ、生まれてこの方出したことも無いような声を低反発枕に吸収させる。

 

 ……何という事だ。受験勉強に精を出しすぎていて気付かなかった。過去問のリサーチに全神経を費やしたばかりに、高校の情報収集を怠っていた!


 私の青春。制服デート。愛する人を応援する体育祭。甘酸っぱい思い出の詰まった文化祭。球技大会、修学旅行、臨海学校。


 ――――嗚呼。さようなら私の青春。


 と。ここまで説明したが、別に男がいないからって。高校三年間を女に囲まれて過ごさなければいけないからって、私はそんな理由で病む様なメンヘラJKではない。


 ただ夕焼けを眺めて黄昏たそがれたかった。たったそれだけの理由で、この屋上に遥々やって来ただけなのに――――。


「龍野! お前の悩み、気付けなかった俺にも責任がある!」

 

 何で私が自殺するように見えてるんですか? それが今一番の悩みなんですが。


「あの、先生。あたし別に飛ぶつもりはありませんよ?」

「そうだ、お前は飛べない! ただ落ちるだけだ! だからやめろ!」


 いや、そういう意味じゃないんだなあ。


 ていうかお前が迫ってくるから、私は屋上の淵まで追いやられてるんだろうが。接触恐怖症なんだよ。分かれ!


 ……何か馬鹿馬鹿しくなってきた。もう帰ろう。


 そう思って出口へ向かおうとした瞬間、私のすぐ傍に一羽のカラスが止まる。


 ちなみにカラスは好きだ。害鳥として嫌われているが、本来は地球を綺麗にしてくれるとても良いやつ。頭がいいから人にもなつく。


 ――――でもこの烏、なんか足が変。三本ある?

 と思ったその瞬間、カラスは大きく羽を広げ、こともあろうに私目掛けて飛んできたのだ。


「うわ!」

 

 とっさに烏を振り払うが、それが不味かった。


 私は反動で足を滑らせ、段差にかかとを引っかけてそのまま転落。恐らく後頭部を地面に打ち付け、即死したものと思われる。


 ――――と、ここまでが私の生前の記憶である。


 そして私は今、黄泉の国にいる。


 

 第一話をお読みいただきありがとうございます。


 舞台が和風という事で需要も少ないかと思いますが、頑張って書いていきます。


 あとブックマーク登録お待ちしておりますm( ・ ・ )m


 とりあえず☆5つけてみませんか? 後から消せるので問題ないですよね?

 ね! そうしましょうよ!

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