18話 続編の乙女ゲームの概要
今回はほぼ、ジェシカが語る乙女ゲームの設定、についてです。
会話口調だと読みにくくなる為、文章形式にしています。
「勿論、お話しますわ。皆さんの為になるのでしたら、喜んでっ!」
そう語るジェシカから聞き出した、続編の乙女ゲームの概要は、簡潔に纏めると…以下に並べた通りである。
ヒロイン・テレンシス(以下テレサ)が王立学園に途中入学する場面から、続編のオープニングは始まる。先ずテレサは病弱設定だ。田舎で両親と共に静養していたところ、ルノブール公爵が本当の親戚だと名乗り、彼女を無理矢理養女として引き取る。その時に、今の両親が血の繋がらない養父母で、自分が隣国の王女となるべき人物だと知る。泣く泣く養女となった後も、持ち前の優しく明るい性格で、周りの人物達を幸せにして行く。
肝心のテレサの病気は既に治っており、ゲームの始まり時点では、何も問題がない設定だ。勿論、病弱設定はそのまま残されており、ゲームの要所要所で発動されることとなる。特に、攻略対象と知り合う際に…とか、悪役令嬢に虐められた時に…とか、兎に角イベントが起こる度に、気を失ったり気分が悪くなったり…と、病弱ぶりを発揮するのだ。
病弱設定で攻略対象の気を引き、優しく明るい前向きな性格で、彼らを魅了する。魅了された彼らは各々の婚約者を煙たがり、最終的には婚約破棄を望むようになるのだ。元々、望んだ婚約をしている攻略対象は存在せず、政略結婚という設定だ。彼らは家族や婚約者と上手く行っておらず、何かの問題を抱えている…ということもあり、性格が良いヒロインに惹かれていく。
先ず1人目の攻略対象・ハイリッシュの実弟のラングルフは、現時点でも婚約者が居ないが、乙女ゲームでも居なかった。しかしゲームでは、兄の婚約者であった元ヒロインのアレンシアに、淡い初恋を抱いていた。その上、兄が離縁されずにそのまま公爵家を継ぐので、彼は微妙な立場にいるらしい。
その心の隙間に入って来たのが、今回のヒロイン・テレサ。彼女に惹かれて行く彼は、ハッピーエンドでは彼女を手助けし、テレサが自国の女王になるのを手伝い、彼は女王の夫となる権利を手に入れるのだ。但し、バットエンドでは彼女と共に、クーデターを起こして失敗したとして、断罪される運命にある。
彼には唯一婚約者が居ないが、亡霊であるフェリシアンヌが悪役令嬢として降臨しており、ハッピーエンドでは彼らを妨害したことで、除霊されて苦しみながらも、永遠にこの世から消え去ることになる。バットエンドでは彼らの罪を暴いたことにより、彼女の魂は清められて天国へと旅立つのだ。
2人目の攻略対象・フェリシアンヌの実兄モーリスバーグは、派手好きな婚約者でもあるアリアーネとは上手く行っておらず、アリアーネのことを毛嫌いしていた。しかし彼女はハミルトン家と同格の家柄で、前回のゲームでフェリシアンヌが犯した罪を償う為にも、彼女をハミルトン家の正妻に、迎える必要があったのだ。
そんな葛藤の日々を過ごす時に出逢ったのが、テレサだ。純真無垢な彼女に惹かれつつ、彼女の本当の生い立ちを不憫に思い、彼女のクーデター計画に加わることになる。ハッピーエンドではテレサを手助けし、彼女が自国の女王になるのを手伝いつつ、彼は女王の夫となる権利を手に入れる。しかし、バットエンドでは彼女と共に、クーデターには失敗したものの、何とか断罪は免れ侯爵家を継ぐこととなる。
但し、その際の正妻はテレサではなく、アリアーネだ。テレサの断罪を助ける為、彼女を愛妾として生涯匿うこととなる。その後は一切、日の目を見ないこととなるテレサは、モーリスバーグが留守のうちに、憎悪したアリアーネが差し向けた刺客に、殺害されることとなる。
その際、悪役令嬢の亡霊フェリシアンヌは彼らの邪魔をして、ハッピーエンドでもバットエンドでも、邪魔をしたとして兄に恨みを持たれて、除霊されて消えることになった。
3人目の攻略対象・アルバルトは、アレンシアを諦めミスティーヌと婚約したが、父の期待に応えられず、献身的な彼女にも嫌気が差す。更に家からのプレッシャーに負けかけていた時、運命的にテレサと出逢ったことで、彼女を崇拝するように愛する。ハッピーエンドでは彼女を助け、テレサが自国の女王になることで、無事に彼は王女の夫となる。しかし、バットエンドでは彼女と共にクーデターには失敗して、侯爵家を継ぐことが出来なくなり、彼女と逃避行することとなるのだ。
同じく亡霊フェリシアンヌが悪役令嬢として、彼らの妨害をする為、ハッピーエンドでは除霊されて消えるのだが、バットエンドでは彼らのその後も、亡霊として付き纏うこととなる。
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4人目の攻略対象・ハウエリートも、一度はアレンシアを諦めクリスティアと婚約したものの、地味で大人しい彼女が元々好きになれず、モニータ伯爵家の婿養子に入ることも…気に入らなかった。彼は騎士になるつもりでいたので、自分の実力で地位を手に入れたがっていた。
そんな悩みを抱えた彼の前に、天使の如く現れたテレサに、彼は完全に心を奪われてしまう。ハッピーエンドでは彼女を守り、テレサが自国の女王になることで、彼は騎士でありながらも王女の夫となる。しかし、バットエンドでは彼女と起こしたクーデターに失敗し、モニータ伯爵家の婿養子として婚姻させられ、テレサは行方不明となる。(実際には、モニータ伯爵家とレンドレフ伯爵家によって、規則の厳しい修道院送りにされる設定である。)
同じく亡霊フェリシアンヌが悪役令嬢として、彼らの妨害をするのだが、ハッピーエンドでは除霊されて消え、バットエンドではモニータ伯爵家とレンドレフ伯爵家により、内密に丁寧に除霊されて、漸く天国に行けるのであった。
5人目の攻略対象・タリムードも、アレンシアを諦めて家の存続の為に、ジェシカと婚約した。しかし、庶民である商家の娘の彼女を、どうしても好きになれなくて悩んでいたところ、女神のようなテレサに一目惚れをする。
ハッピーエンドでは彼女を守り、テレサが自国の女王になることで、彼は王女の夫と大出世をすることになる。しかし、バットエンドでは彼女と起こしたクーデターに失敗し、サラライス男爵家は断罪で没落、彼は男爵家継ぐどころか庶民となってしまい、ジェシカからも見放されるが、テレサは1人で亡命した後、他国の貴族に見初められて幸せになる運命である。
同じく亡霊フェリシアンヌが悪役令嬢として、彼らの妨害をするのだが、今までとは違い、妨害も大したものではなく、ハッピーエンドでもバットエンドでも、丁寧に除霊されて天国に行くことになるのだ。
6人目の攻略対象・スラリートンは、王立学園に通う生徒ハーモニアに嵌められ、娘に手を出されたと憤慨したケイブル伯爵によって、有無を言わせず婚約させられた。アレンシアのことは生徒として諦めたのに、同じく生徒と婚約させられ、また家との柵に心を失くしていた。
そんな折にテレサと教師と生徒として出逢い、再び…教師として悩むこととなる。しかし、アレンシアとのことで後悔もしており、今度こそ幸せになる為、テレサに協力すると申し出た。ハッピーエンドでは彼女に全力で協力し、テレサが自国の女王になった後は、彼は王女の夫として幸せに過ごすが、バットエンドでは彼女と起こしたクーデターに失敗し、サイス伯爵家から勘当され教職も失い、彼とテレサは他国へと亡命する。
同じく亡霊フェリシアンヌが悪役令嬢として、彼らの妨害をするものの、一応彼の生徒でもあったフェリシアンヌは、彼の同情を得ることで、ハッピーエンド・バットエンド共に丁寧に除霊され、心安らかに天国へと召されることとなった。
さて最後は、7人目となる隠しキャラ、カイルベルト・アーマイルである。彼には現在フェリシアンヌという婚約者が存在するが、ゲームでの設定は異なっている。彼には別の婚約者がいることになっており、現実には何故かその人物は存在していない。彼も将来の宰相候補として、穏やかな争いごとを好まない性格と見せかけ、周りの人々を欺いて来た。
しかし、テレサとの出逢いによって、彼の本心が露わにされていくにつれ、彼女を溺愛していくことになる。彼は自分の腹黒の性格をフル利用して、ハッピーエンドでは彼女を策略で手助けし、テレサが自国の女王に押し上げ、彼は唯の王女の夫…だけではなく、影の実力者となる。バットエンドではクーデターには失敗するものの、上手く暗躍してアーマイル公爵家も継ぎ、彼女を堂々と正妻にして、宰相には流石になれなかったが、それなりに裕福で幸せに過ごすこととなる。
肝心の悪役令嬢・亡霊フェリシアンヌは、彼らの妨害をした所為で、ハッピーエンド・バットエンド共にハミルトン家を潰された上、彼女の魂が二度と蘇らないようにと除霊され、転生することも許されずに、この世から消え去ることとなった。
…以上が、続編のゲームでの攻略対象のルートである。前世でも実は、ハッピーエンドとバットエンドが、キャラによって差があり過ぎると、苦情があったようである。それ程にキャラによっては、バットエンドでも幸せだと言える状況であったのだ。差別だ…という意見が、購入者の乙女ゲーム愛好者から出ても、おかしくないのであった。
そしてその中には少数ではあるが、フェリシアンヌの待遇が可哀そうだという意見も、含まれていた。確かにその通りだと、この場に居る令嬢全員が、暫し言葉を失くしていても、仕方がないだろう…。
実は、フェリシアンヌが可哀そうだと訴えた人達の中には、前世のフェリシアンヌも含まれる。前世の彼女はゲームキャラに入れ込んでおり、そういうメールも送ったことがある。但し、本人はすっかり忘れていたけれど……ね。
乙女ゲームを全クリアした勝者であるジェシカが、乙女ゲームについて語ってくれました。これで漸く、続編の乙女ゲームの内容が、全て明らかにされました。
フェリシアンヌのキャラ設定も明らかとなり、この場の令嬢全員から一心に、同情を集めています……。




