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婚約から始まる物語を、始めます!  作者: 無乃海
序章 ~悪夢の始まり~
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15話 女子友達は、転生者?

 前回の後半途中からの続きです。フェリシアンヌの女子会再び、となりました。

さて、フェリシアンヌの目的は…?

 次に現れたのは、モニータ伯爵家の長女クリスティアで、フェリシアンヌとは同学年の2年生だ。見た目も中身も少々子供っぽい雰囲気ではあったが、可愛い系の少女である。結婚後は婚約者を婿に迎えて、彼女の夫が伯爵家を継ぐことになっている。身分的にはクリスティアの方が下なのだが、本人達は身分差を気にしない関係で、それだけ仲が良い親友でもあった。


 「…あら。ミスティ達も、来られましたわね。」


クリスティアがぼつりと呟いたので、フェリシアンヌ達も振り返って見ると、ハミルトン家の侍女が新たなお客様2人を案内し、此方に向かっていた。今日のお茶会は、ハミルトン家の庭園にある温室で行われており、温室の中からは外の様子が丸見えだったのである。


この世界の温室は、前世の世界の技術とよく似ていた。もしかしたら、前世の記憶を持つ転生者が、関わっているのかもしれない。温室内から外が丸見えなら、外からも丸見えだと思われそうではあるが、実際には外からは中の様子が、見えない仕組みとなっている。


前世ではマジックミラーの技術もあるが、流石にこの世界にはないので、これはそういう技術ではなく、単に外からは見えにくくする為に、外の光を反射するようにと工夫されていた。夜は反対に、中の明かりで丸見えとなる為、外にも照明をつけたりと工夫されている。まあそれでも、夜に拘らず昼間も人影は見えるので、誰か居るなあ…ぐらいには見えていた。


 「失礼致します、フェリシアンヌお嬢様。フェンデン侯爵令嬢様と、リンド家のご令嬢がお越しになられています。」


温室の外側から戸を叩く音がし、フェリシアンヌが「どうぞ。」と許可を出せば、ハミルトン家の侍女がそう伝えて来る。侍女が戸が開くと、2人の少女が温室の中に入って来て、そのうち1人の少女が完璧で綺麗なカーテシーを取り、反対にもう1人の少女はぎこちなく頭を下げた。


 「お久しぶりです、フェリーヌお姉様。本日はお招きいただき、ありがとうございます。」

 「こんにちは、フェリーヌ様。今日は、私も呼んでくださって、嬉しいです。」

 「ごきげんよう、ミスティ、ジェシー。わたくしのお茶会に、ようこそ。」


今やって来たのは、ミスティーヌ侯爵令嬢と商家の娘ジェシカだ。一緒に来た訳ではなく、訪問したのが丁度重なったようだった。勿論、フェリシアンヌを中心にして、このメンバーは全員が仲が良く、ジェシカが平民だからと差別したりすることもなく、将来は貴族の仲間入りをするのだからと、逆に仲良くしていたりする。


ミスティーヌはフェンデン侯爵家の次女で、婿を迎えた姉が既に侯爵家を継いでいた。彼女は今年14歳となる為、王立学園の1年生として入学したばかりである。見た目はふんわりとした可愛い系の容姿なのだが、中身はかなりのしっかり者の少女だ。婚約者アルバルトに溺愛されており、前回の乙女ゲームでは、ゲームのように()()()()()()()()()()は、一番低かったように思われる。


ジェシカは庶民出身の為、元々このメンバーの誰とも知り合いではなく、前回の乙女ゲームの終了後に、フェリシアンヌと同クラスのタリムードから、自分の婚約者になる人だと紹介されていた。前世風に言えば、今年の春頃で、春休みに入る前ぐらいの時期のことだ。


タリムードはサラライス男爵令息の嫡男なので、フェリシアンヌ達とは身分が違い過ぎていたが、彼女達はタリムードにも好意的に接していた。いや、それよりも身分に関係なく、誰にでも優しく接していたのが、彼女達である。


自分の婚約者になったジェシカが、貴族の仲間入りをすることで、貴族社会で差別されることを危惧しており、タムリードはそうならないようにと、彼女達に託したのである。彼女達ならばジェシカを差別することなく、上手く貴族社会に馴染ませてくれるだろう、と考えて。また、ジェシカには貴族としての心得などを、教えてもらえたら…という気持ちもあったのだ。


彼のその試みは成功し、ジェシカはフェリシアンヌ達に受け入れられ、仲の良い友人になれたのだ。明るくはきはきした性格の彼女は、庶民の間でも男女共に人気がある人物で、タリムードにも自分からアプローチするような、頼りがいのある女性でもあった。フェリシアンヌ達からも、評判が良かったりする。


これもそれも、フェリシアンヌが転生者だから…というのも一理あり、悪役令嬢から遠ざかる為にと、身分に拘らないように接していた。誰にでも優しく、()()()()()()()()はしないと、自分自身に誓っていた。


もしこれが、転生者でなく乙女ゲームの記憶も無かったら、それでも今のフェリシアンヌであっただろうか…。そう何度も自問する、彼女は…。


あの時、記憶を思い出せて良かったわ…。今のわたくしは、()()()()()()()()()()()()、こんなにも…幸せなんですものね。






     ****************************






 暫くの間5人の少女達は、どうでも良い雑談に花を咲かせていた。最近の王都の噂話、王立学園の噂話など、前世でも女性ならば誰もが話す内容だ。この世界でもそういう噂話は、女性の大好物であったりする。前世の日本だろうが、現世の異世界だろうが、そういうものは()()()()()()()のようだ。


 「ところで、お話が変わりますけれども、フェリーヌは…アレンシア様と、予定通りにお会いされましたの?」

 「ええ。彼女とお会いしましたわ。丁寧な謝罪も…していただきました。」

 「「それで、どうでしたの?」」


アリアーネがこの場の女子友を代表し、今日一番質問したいことをフェリシアンヌに切り出す。その質問に対し、フェリシアンヌの回答は簡潔であり、クリスティアとミスティーヌの2人は、フェリシアンヌの何か言いたげの口調に気付き、先を促したのだった。


 「私はぜひ、会いたかったですね。嫌みぐらい、言ってあげたかったわ。」


ジェシカが棘のある口調で、別の意味で会いたかったことを、仄めかすようにして小声で呟いたのだが、フェリシアンヌ達には聞こえなかったようである。


アリアーネはあの頃は無関係ではあったが、婚約者の妹が断罪されそうになった時には、彼女を心から心配していた。クリスティアは幼馴染を盗られそうで、内心ではあたふたしていたし、ミスティーヌは婚約者から溺愛されていても、それは彼女(ミスティ)がしっかりと対策した結果でもあり、ジェシカは幼馴染が誑かされている…と知った時、怒り心頭な状態だったのだ。


それでも…()()()()()()()()、一番の被害者は…フェリシアンヌだと思っていた。だからその彼女の口から、普通にその名前が出て来て驚きつつも、しっかりと敵意を燃やしていた。特に、ミスティーヌとジェシカが。


 「先日、カイ様にもご同席していただいて、共にお話を伺いましたのよ。その直前、彼女には不思議なお手紙を頂戴して…。皆さん、これが何か…お分かりになりますかしら?」

 「……っ!!………。」

 「…えっ?……これは………。」

 「……これは、にほ………やはり、そうでしたのね…。」

 「……あちゃ~。間違ってますよ、これ……。」


フェリシアンヌは愈々、賭けに出た。前世の記憶が戻ってからというもの、彼女は前世の性格に近づいて来ており、アバウトな性格であった彼女は、手っ取り早い方法を選んだのである。ヒロインだったアレンシアの例の手紙を、この場の令嬢達に見せることで。


例の手紙とは、日本語で書かれた文章だ。アレンシアとしても、フェリシアンヌが前世の記憶がある日本人かもしれないと、態と日本語を書いた手紙を同封したが、これが読めるということは、前世が同じ世界の記憶を持つ者、ということになるだろう。但し、フェリシアンヌのように前世が外国人でも、日本語が読めなければ、意味はないけれど…。あまり頭の良くないアレンシアには、そこまでの深い考えはなくて、前世の記憶がある転生者=日本人、という図式だったりする。


アリアーネ、クリスティア、ミスティーヌ、ジェシカを見回すと、アリアーネは言葉を失くし、顔の色が真っ青になっていて、クリスティアは何か言葉を言い掛けては、後に続く言葉を飲み込んだようで、ミスティーヌは思わず「日本語」と言い掛けた様子が見られ、ジェシカは正直に字が間違っていると指摘しており、この場にいる全員が…漢字を読めた形跡がある。


 「やはり、この場の全員が転生者ですのね…。悪役令嬢という立場であることから、記憶を持っていると知られることを、隠されておられたのですね…。」


そう確信したようにフェリシアンヌが告げれば、他の4人全員が息を呑んだようである。フェリシアンヌがこういうセリフを話すということは、彼女もまた転生者であるという事実だったので。


この場の全員が、前回のみならず今回も…悪役令嬢キャラなのが、何か意味を持っている気がする。但しアリアーネだけは、前回の乙女ゲームには登場しておらず、今回は初登場の悪役令嬢である。そして…特にフェリシアンヌは、前回同様に攻略対象全員のキャラに対する、悪役令嬢キャラとなる。


 「これで、ハッキリ致しましたわ。この場におられる全員が、転生者なのですのね…。然も、日本に関する記憶をお持ちですのね。この日本語のお手紙には、漢字が使われておりますので、少なくとも日本人の転生者でなければ、読めないでしょうね…。この世界に、日本に近い国が存在するという事実は、今のところ噂でさえ聞いたこともありませんし、そういう国との接点もございませんもの。ですから、皆さまが読める可能性は、()()()()()()()()…とするのが一番ですわね。」


そうハッキリと言い切るフェリシアンヌの言葉に、全員が目を見開いて固まってしまう…。あれだけ賑やかな声が聞こえた温室は、シ~ンと音一つないくらいに静まり返っていた。

 フェリシアンヌが、現在の女子友を全員呼び出しました。本来の目的は他の転生者を見つけることですが、味方は多い方が良い…ということと、出来れば女子友にも幸せになってもらいたい、というところでしょうか?


どうやら、女子友全員が怪しい……?

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