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87,〈おもてなし騎士団〉とは、『世界の平和を鬼畜パワーで守る』ことを目的とした非営利組織。

 


「ごめんなさいなのです」


 素直に頭を下げる乃愛。それを見て、おれは確信した。娘の育てかたは間違えていなかった、と。


〔おれの教育は正しかったぁぁぁ〕


〔なにむせび泣いているんですか。乃愛を育てたのは、未来のタケト様ですよ〕


 そのとき──

 メキシコシティ上空に、巨大な球体が出現。

 先日、新宿にて遭遇したのは戦艦サイズだった。ところがいま上空に現れたのは、小さな島くらいある。


 窓から視認しながら、おれは昔の洋画を思い出していた。


「これぞリアル『インデペンデンス・デイ』かぁ」


 ルナーサが巨大球体を見て、他人事のように言う。


「あらら。ウチらの母艦が来たわ。上層部は決断を下したみたいね。母艦による超絶スキル《神の怒り(ゴッド・アングリー)》を放って、この地域を焼け野原にする気よぉ」


 そんなことになったら、ルナーサも死にそうなものだが。いや、コイツは《予備蟲(スペア)》とかで、別の死体から復活できるんだったか。


 ルナーサのガラケー型の通信装置だが。なるほど、いまも通話中か──。つまり、巨大母艦はルナーサの『戦争』宣言を聞いて、空間転移してきたわけだな。


 仕事が早いことで。


 おれは瞬間移動して、〈おもてなし騎士団〉本拠地の屋根に立った。

 メキシコシティの市民たちが通りに出て、不安そうに巨大母艦を指さしている。


【超人類】と戦争するなら、ここらで宣言しておいてもいいかもな。


超絶拡声(ラウドスピーカー)》スキルを発動。これで全世界の都市へと、おれの声が響き渡るようになる。

 そして演説開始。


「地球上の皆さーん。ご安心くださーい。あなた達は、我々〈おもてなし騎士団〉がお守りします。

 いいですか、今日はちゃんと名前を覚えて帰ってくださいね。

 我々は〈おもてなし騎士団〉。

『世界の平和を鬼畜パワーで守る』ことを目的とした非営利組織でーす。

 心の正しい地球人を庇護します。そして地球を害する【超人類】、そして〈無神ジエンド〉とやらは皆殺しにします。そんな、心の広い組織なのでーす。

 あ、ただし地球人でも、おれのダイヤを盗んだダメな人たちは心臓を引きずり出して、豚さんのエサにします。あしからず。

 とにかく、我々〈おもてなし騎士団〉にお任せくださーい」


 ふむ。

 世界各国は確認できないが、少なくともメキシコシティ市民の反応はイマイチだな。

 やはり、あの巨大母艦が市民たちの恐怖を煽っているからだろう。


「仕方ない、あの母艦を──」


「叩き落とすのですね!! 乃愛にお任せなのです!!」


 屋根を突き抜け、弾丸のように飛んでいく乃愛。


「必殺スキルその65《乃愛突貫(ヘル・メテオ)》なのです~!!!」


 乃愛の全身を、超高密度エネルギーが包み込む。ブラックホール並みの質量だぞ、あれは。


乃愛突貫(ヘル・メテオ)》モードの乃愛が、巨大母艦のシールドに激突──凄まじい衝撃波が発生し、周囲の建物を吹っ飛ばしていく。


「あー、これでは〈おもてなし騎士団〉に悪評が立つ」


 乃愛が開けた穴から、屋内へ戻る。


「アーダ、死滅卿。市民たちをこの建物に避難させろ。建物そのものは、おれが《超結界(シールド)》で守るから」


 するとルナーサが高笑いする。コイツ、まだいたのか。


「残念だけど、《神の怒り(ゴッド・アングリー)》を防げるシールドなど存在しないわよ」


 実のところ、《超結界(ハイシールド)》の防御力って数値有限なんだよな。おれ自身は防御力∞だから、これまでシールドなど必要なかったし。


「やはり《神の怒り(ゴッド・アングリー)》とやらを撃たれる前に、母艦を潰すしかないか」


 ところが乃愛はいまだ、母艦のシールドを突破できていなかった。《乃愛突貫(ヘル・メテオ)》でも突き抜けないとは、あのシールドはとんでもない代物らしい。


 おれの考えを読んだようで、ルナーサが勝ち誇っていう。


「ウチの母艦を守る《神の盾(ゴッド・シールド)》は、対〈無神ジエンド〉用よ。お宅の娘さんが桁違いに強くても、簡単に突破できるものではないわけ」


 ふーむ、《神の盾(ゴッド・シールド)》か。

 おれの《超結界(ハイシールド)》より頑丈そうだな。

 それに、瞬間移動でシールド内に入ろうとしても弾かれる。スキル妨害機能もあるのか、この優れものめ。


「だがルナーサ。《神の怒り(ゴッド・アングリー)》が放たれたら、お前も消し飛ぶぞ」


 すっかり勝ったつもりのルナーサが、得意げに説明してくる。


「ご心配なくー。母艦内には、《予備蟲(スペア)》を埋め込んだ死体が置いてあるわ。私がここで死んでも、その死体を再統合して復活できるの。《予備蟲(スペア)》スキルさまさまねぇ~」


 ひとつ閃いた。


「感謝するぜ、ルナーサ」


「え?」


 ルナーサの頭部を鷲掴みにして、胴体から引きちぎる。続いて頭蓋骨を破壊し、脳内に両手を突っ込む。


《スキル奪取(キャプチャー)》を発動して、ルナーサからスキル《予備蟲(スペア)》を頂戴する。


 続いて《予備蟲(スペア)》を発動。


 母艦内にあった死体を再統合して、復活。


 ちゃんとステータス∞も維持している。

 マジで便利だな、《予備蟲(スペア)》。


〔脳にいるか、イチゴ?〕


〔ちゃんといますよー〕


 この巨大母艦、外からの破壊が面倒なら、内側から壊させてもらうとしますかね。



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― 新着の感想 ―
[一言] 自慢げに能力紹介したらそうなるよね…w
[気になる点] 細かいけど、主人公が敵艦内に再生したってことは元の体はどうなったの? 自殺?
[良い点] ごっどしーるど [一言] 「バリヤ破りバリヤ貫通跳ね返し突破無効ばーりや!」 みたいなのを思い出します。心暖まるw (ガチ やはりエンターテイメントたるものこうでなくては
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