表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/188

77,宣戦布告。

 

 ──主人公の視点──


 第2階層に降りたところで、変なステータスの2人組みと対峙することになった。


〔イチゴ。アレが、ソフィアの話していた【超人類】とやらか。で、どこのどなただ?〕


〔ムムム……なんか【超人類】について考えると、頭痛が痛いです。もしかして、わたしの記憶が封印されています? これ以上、思い出そうとするのは危険が危ないですね。はい諦めます!〕


 いや、そこはもう少し頑張れよ。


【超人類】の片方、なぜか半裸の男が言った。


「お前が北条尊人か? オレ様はガギース、こっちの女神のような美女はルルルルだ」


 ルルルルという女が頭を下げる。たしかに美女だな。ただこっちは黒い衣を全身に纏っている。

 半裸でないのは、残念だ。


 ふいにダンジョン製スマホに、ドロシーからメッセージが入った。


[尊人さん。わたくし、浮気されたらショックのあまり、地球を滅ぼしてしまいますね]


 この新妻、情緒不安定だな。いまに始まったことじゃないが。というかメッセージ来たタイミングが怖い。


 とにかく【超人類】の相手をしてやらんとな。おれは平和を愛する男。無意味な戦闘だけは避けたいし。


「おれが北条尊人だが?」


「お前さんが、〈滅びのダイヤ(ペリッシュ・アウト)〉の在処を知っているそうだな? どこにあるのか言ってもらおうか。あれはオレ様たちがいただくからよ」


「〈滅びのダイヤ(ペリッシュ・アウト)〉だって?」


 おれが首を傾げていると、脳内でイチゴが大いに反応。


〔あ~!! あのダイヤ、〈滅びのダイヤ(ペリッシュ・アウト)〉だったんですかぁぁぁ! うひゃあ、気づかなかったですね~。あはは〕


『あはは』と笑って済ませようとしていやがるな。


〔なんなんだ、イチゴ?〕


〔あとで説明します。とりあえずいま大事なのは、次の一点。この【超人類】さんたちも、狙いは()()ダイヤです〕


〔は?〕


〔だから横取りしようとしているんですよ、【超人類】さんたちは。タケト様の大切なダイヤを!〕


〔おれの息子の次に大事なダイヤをか!〕


〔あれ、男の子なんですか?〕


〔まだ分からない。女の子の可能性もあるよな──おれの娘の次に大事なダイヤをか!〕


 ここで数日前のおれだったら、【超人類】どもを血祭りに上げていただろう。

 しかし北条尊人versionⅡは違うのだ。パパになった北条尊人は。


 愛と平和の道を行く男。それが新しいおれ。


「こほん。あー、【超人類】のガギースさんとルルルルさん。そのダイヤは、おれのものだ。我が家の家宝として、代々受け継がれていくことになるだろう。だから、あんた達が手にすることはできない。分かってもらえたね?」


 するとガギースが陽気に言う。


「そうだよなぁ北条尊人さん。あんたのダイヤだもんな! いやぁ悪かったね、本当に。だけど、あんたから横取りしようなんて考えちゃいなかったんだ。そこは信じてくれよ?」


 話せば分かるものだなぁ。みなが話し合う習慣を得たら、この世から争いはなくなるなぁ。


「分かってくれればいいんだよ」


「そうかいそうかい、ハッハッハッ」


 ガギースは朗らかに笑っていた。

 ところが、ふいに険しい顔になると指を銃の形にして、死滅卿を撃った。


 胸部を撃ち抜かれた死滅卿が、後方に吹っ飛んでから倒れる。


 いま指から、『何』を撃ったのか? 【五魔王族】の防御力を突破する威力のものだ。少なくとも、おれのスキルリストにはないな。


「悪いがなぁぁあ北条尊人さん。我ら【超人類】はよぉ、欲しいものは手に入れるんだ。この地球の統治権も、地球に生息している新たな奴隷種もなぁぁ。そして、当然ながら〈滅びのダイヤ(ペリッシュ・アウト)〉もだぁぁぁ」


 おれは頭を抱えた。


「うーん。おかしい。このままでは、いつもの『惨殺コース』に入ってしまう。【超人類】の人たちの首を、おれが引っこ抜いて終わりになってしまう。しかし、それでいいのか?」


「なにをゴチャゴチャ言ってやがる?」


 おれは〈アイテム創造〉で、リラックスセット(和風バージョン)を出した。セット内容は、座卓、座椅子、そしてお茶の入った湯呑。


 座卓に腰かけて(座椅子いらね)、湯呑を見て気づいた。おお、茶柱が立っている。心が落ち着くなぁ。


「おい、北条さぁぁん。お前、なんのつもりだぁ? 頭、沸いてんのか?」


 ガギースが近づいてこようとするが、その前にアーダが立った。チェーンソーを、ガギースへと突き付ける。


「それ以上は、師匠に近づかせんぞ。貴様は、この私──【北条四天王】が1柱、アーダが相手しよう」


 ガギースが嘲笑する。


「お前ひとりで、オレ様たち2人を相手にするのかぁ?」


「そっちの薄気味わるい女は、僕が始末するよ」


 そう言って、死滅卿がむくりと起き上がる。撃ち抜かれた胸部は、《自己再生(セルフヒール)》で治癒ずみだ。


 ガギースが軽く驚いた様子で、


「生きていやがったのか」


 もちろん【五魔王族】が、あの程度の攻撃で死ぬはずがないよな。


 アーダと死滅卿が、チラチラとこっちを見てくる。まさかの指示待ちか。


 おれはお茶をズズズと飲む。話し合いが決裂したので仕方ないか。結局、この世から争いは尽きんなぁ。

 

「アーダ、死滅卿。そいつら、殺していいよ」



気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ