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69,【超人類】のご一行、ご到着~。



「師匠、何ということをしたのだ! 

 あろうことか、あのドロシーと性交するなんて! 確かに私も人間を殺しもしたが、ドロシーは『虐殺』レベルだ。そんな怪物と──考えるだけで汚らわしい。

 だいたい師匠には、私がいるというのに。大事なことだから繰り返すが、私がいるのに! 私が! 師匠、聞いているのか!」


「……聞いてるよ」


「だいたい師匠は前からそうだった。師匠は──」


 アーダの説教が、長すぎる。

 

 にしても、ドロシーをどうしたらいいんだろ。


★★★


そのころ──


 ──ソフィアの視点──


 ソフィアが『それら』に遭遇したのは、まったくの偶然だった。


 全世界でダンジョンが吹っ飛んでから数日後。


 ソフィアは、ダンジョン調査機関の本部で報告書を作成していた。

 北条尊人のことをどこまで報告するべきか悩んでいると──


 周囲が騒がしい。みな窓から本部の中庭を見ているようだ。


 興味を覚えて、ソフィアも窓のひとつに向かう。

 中庭には、黒い球体が浮かんでいた。


「あの球体、なにかしら?」


 近くにいた顔見知りの冒険者デイビスに、そう尋ねてみる。


「さぁね。いきなり出現したそうだ」


 球体が開いて、内部から人が降りてきた。


 そう『人間』だとは思うが──まるでギリシャ彫刻のように、やたらと完璧な肉体をしている。あと衣服が微妙に変。

 身長も高い。球体から降りてきたのは全部で6人。全員2メートルはありそうだ。


 デイビスが声を上げる。


「おいソフィア、球体から出てきた奴らのステータスを見てみろよ!」


 あまり他人のステータスを盗み見るのは好きではないが──。


「6人のうち誰を見たらいいの?」


「誰でもいいから早く!」


 というわけで、先頭の男に対して〈盗見(スニーク・ピーク)〉を発動。

 そのステータスは、


 Lv 256       

 HP 65788     

 MP 45657   

 STR(力)    98999    

 ATK(攻撃力) 125445

 VIT(生命力)  58985 

 DEF(防御力)  45680

 RES(抵抗力) 36578

 AGI(素早さ)  22279


 ソフィアは驚く。


「なんなの、あのデタラメな数値は? だいたいLvの最高値は99のはずでしょ?」


 一般的なSランク冒険者でも、Lvは80前後。Lv99に到達した冒険者など一人もいない。

 ところが球体から降りてきた男は、Lv256。それどころか、残りの5人もLvが3桁だ。


 ちなみにソフィア自身の現在のステータスは、


 Lv 83       

 HP 7578     

 MP 4565   

 STR(力)    6521    

 ATK(攻撃力) 5475

 VIT(生命力)  5898 

 DEF(防御力)  2568

 RES(抵抗力) 5657

 AGI(素早さ)  8227


(あたし達とは、桁が違うわけね。【五魔王族】クラスかそれ以上)


 同じく〈盗見(スニーク・ピーク)〉していた別の冒険者が、冷めた様子で言った。


「自分たちのステータスに〈欺瞞フェイク〉をかけているんだろ。Lvが3桁なんてありえんからな」


 するとデイビスも納得した様子で、


「だよな」


 だがソフィアは納得していなかった。

 北条尊人というステータス∞の『規格外中の規格外』が存在するのだ。Lvが3桁の連中がいても、何らおかしくはない。  


 ふいにソフィアの脳内で男の声が響いてくる。


〔はじめまして、地球人の皆さん〕


 デイビスが声を上げた。


「おい、みんなもこれが聞こえているか!?」

 

 他の冒険者たちが、


「ああ聞こえてるぞ」

「私もよ。男の声ね」

「お前たちもか? オレもだ」


 つまり、これは〈念話(テレパシー)〉だ。

 球体から降りてきた者から、本部にいる冒険者全員に対しての。


〔私の名前は、オギルニアス。

 我々の話をしよう。我々は別の世界から来た。君たちからしてみれば、我々は【超人類】といったところだ。我々の目的は、この惑星に蔓延るモンスターどもを駆逐することにある〕


 ソフィアは何となくだが、オギルニアスというのは先頭の男な気がしてきた。


 デイビスが能天気に言う。


「よく分からないが、オギルニアスとかいう奴の言うことが本当なら、俺たちの味方ってことだよな?」


 ソフィアは呆れた。昔から、デイビスは危機管理能力に劣っていたっけ。


 オギルニアスが続ける。


〔そして、我々はここに新天地を築くだろう。だが安心してほしい。君たち地球人は、我々の奴隷種として繁栄するからだ。

 ただし、全人口を奴隷種として迎え入れるわけにはいかない。厳正なる選別が行われることだけは、理解していただきたい〕


「な、なんだってぇぇぇ!」


 とデイビスが叫ぶ。


 ソフィアはとくに驚かなかった。

 どうせそんなことだろうと、思っていたので。


(自分たちで【超人類】なんて名乗っている奴らが、善良なわけないわよ)


 しかし、オギルニアスたちのステータス数値が本物だとすると──


(あたしたち人類じゃ、太刀打ちできないわよね)


 いずれにせよ、ステータス数値の真偽はすぐに分かりそうだ。

 

 本部内でも武闘派の冒険者たちが、中庭に降り立った。オギルニアスたちと対峙する。


 ソフィアは固唾をのんだ。


 

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